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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第十一章~踊らされる運命の駒~
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第五百十四話~赤髪の魔女~

 ブラッドローズは跳躍する。次々と駆け、レギブス軍へと迫る。死体すら残らなかった戦場部分を抜け、レギブス軍へと突撃。フィオリス軍は防衛用として放置し、攻撃を行えるのは彼らのみ。しかし、問題はなかった。


「うおおおぉぉぉッ!!!!」


「はああぁぁぁぁッ!!!!」


 列の先頭をバウル、リーナが行き、敵の戦列へと切り込む。盾を真正面から叩き割り、衝撃で人間ごと吹き飛ばす。他の隊員達も同様に、その後ろから切り開かれた道を、左右に押し広げて行く。しかし、流石に数の差がありすぎる。幾ら圧倒的速度をもってして戦うとはいえど、真正面から突撃しているに過ぎない。突撃したブラッドローズの何人かは、反撃を受けてその場に崩れる。

 それをリーナ達は理解してはいるが、今止まることは許されず


「止まるなぁぁぁ進めえぇぇぇぇッ!!!!」


『うおぉおおぉぉぉッ!!!!!!』


 剣で切り裂き、首を飛ばし……肉体は速度に軋み、敵の刃に引き裂かれ……敵を足場に、前へと……敵を倒すことよりも、今は前へと進むことを目的に突破する。


「リーナ様ァァッ!!!」


「邪魔はさせねぇぇぇッ!!!」


 リーナは先陣をきっている。どうしても攻撃に真っ先に晒される位置であり、危険をその身に引き受けている。だが、それを許す程ブラッドローズの面子は馬鹿ではない。リーナに攻撃が向かえば、その身を犠牲にしてでもリーナを守る。この五年間で培った忠誠心は、簡単に揺るぐものではない。リーナさえいれば、ブラッドローズは戦える。その一心で、皆はリーナを前へと進ませる。


 ……すまない、皆…………


 リーナは自身の為に犠牲となる仲間の姿に心が揺るぎそうになりながらも、一切の弱音を捨て、今は心を鬼にして突き進む。


「ハインケルゥゥゥッ!!!!」


 レギブス正規兵の軍団を無理やり突破し、七極聖天の構える空間へと出る。鬼の形相で血を流し、何故動いているのかと聞きたくなる状態。しかし、リーナが止まる様子はなく、流石の七極聖天達も驚愕する。

 リーナはハインケルへと一直線に飛び込んでくる。無論、それを許すことはなくライラとライル、二人が短剣と杖を持ち飛び込む。


「邪魔ぁッ!!!」


 しかし、リーナの重い一撃を、直接戦闘を主としない子供二人が止められる訳はない。弾き飛ばされ、リーナは進む。

 そして次に飛び込むのはゼノン。巨大な両刃剣を盾のよう構えリーナを受け止める。だが、それでもリーナは止まることを知らない。力任せに剣を振るい、地面へと叩き落とし前へと。

 まだまだと、リーナの前にはオーガストが立ちふさがり、そして遂にリーナの突進と完璧に受け止められる。リーナの刃はオーガストの拳に止められ、しかも、その身を後ろから叩き落とした筈のゼノンに串刺しにされる。そして体が硬直し、息さえ行うのが難しくなり


「ハイ、ン……ケル……」


「残念だったな」


 ハインケルにはその刃が届かず、ただ笑みを向けられるだけ。しかし、まだ負けられないと、その手を伸ばし


「……まったく、世話が焼けるわね…………」


 何処からともなく聞こえてきた女性の声。しかし、リーナはそれに聞き覚えが…………


 ……まさか、この声……


 ハインケル達も気づく。そして誰よりも早くマリーンが反応して叫ぶ。


「エメリィィィッ!!!!」


 高く見上げられた視線。空中に、優雅に漂うそれ。赤き髪をなびかせ……魔女は杖を掲げた。


「爆ぜなさい」


 次の瞬間、レギブス軍の構える平原は、爆風と炎に包まれた…………

どうも、作者の蒼月です。

さて、久しぶりなキャラが登場ですよ~ブラッドローズの捨て身の突進も、いい感じにレギブス軍を突破出来ましたからね。おかげでフィオリスの方面軍は態勢を立て直せれます。中々に辛い戦況でしたが、その要因はブラッドローズの戦力が分散している上に主戦力が抜けていたことですからね。これは大きく変わってきますよ~


では、次も読んで頂けると幸いです。

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