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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第十章~散りゆく命~
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第三百七十五話~魔女の手助け~

「ふははははッ!!!!」


「おらぁぁぁぁッ!!!!」


 ヴァンセルトとバーンズは互いに歪んだ笑みを見せて笑い合い、周辺へと破壊の余波を広げながら戦いを繰り広げる。ヴァンセルトも既に剣を回収しており、二人は万全の状態である。それ故、一撃一撃が重く爆風を生み出し、その度に周辺の兵達は飛ばされてゆく。ただ、そんな被害が増えていく中で、戦場にはある一つの人間が近づいていた……。




 セヴランとリーナ、ラディールの三人は戦場で思考を巡らせていたが、状況を打開する案が出せなかった。そうしているうちに時間が経過し、その焦りは大きなものへと変化していった。


「各員、戦場から少しずつ距離を取るように。だが、無理には動かないような。今下手に動けば、ヴァンセルトとバーンズの飛ばしてくる石なんかにやられるぞ」


 通信機からブラッドローズへと指示を最低限飛ばし、どうにか部隊をまとめられないかと苦悩する。しかし、ヴァンセルトとバーンズの戦いの余波の影響は大きく、今は敵も味方も下手に動けない状態。リーナやラディールも案は幾つか上げるが、そのどれも実行に至るものではない。

 何も出来ないまま時間だけが経ち、指を加えているしかない自分への苛立ちがセヴランの内には沸き上がり


「くそッ!何か……何かないのか……」


「焦っても仕方ないって言ってるでしょ、落ち着きなさい」


「……分かってるッ……」


「リーナさんの言うとおりだ。今、君に一番必要なのは冷静さだ。隊長がそれでは、示しがつかないぞ」


「ラディール大将まで……私は冷静です。ただ、この状況を打破する何かが見つからないだけで――」


「そんな困ってるリーナちゃんに、私からプレゼントよ~」


 あまりにも状況が悪く、徐々にその空気を悪くしていったセヴラン達の会話には棘が生まれ初めていたが、そこに呑気な一人の女の声がセヴラン達の耳に伝わった。

 その声は、聞けば誰かは一瞬で分かる。しかし、ここにいない筈のその声に、セヴラン達は振り向き


「マリーン!?どうして此処にッ」


「あら、バーンズだって持ち場を離れてここに来てるじゃない?まぁ、別にパラメキア兵は一度撤退して、基地の人手は空いているもの。私達が来なかったら、貴方達が死んでたかもしれないわよ」


 マリーンがこの戦場へと、わざわざ仲間を助けに来たことは想定外であった。無論、マリーンが仲間を放置できないという気持ちでバーンズと共に飛び出してきたという理由は考えれなくはないが、あまりマリーンのすることには思えない。ならば、これはバーンズの指示だろうかと考えつつも、セヴランはその目的を問い


「それで、プレゼントってのはどういうことだ。何か作戦が」


「あの馬鹿みたいな二人が暴れてて動けないんでしょ?なら、私の魔法で守りながら移動すれば動けるでしょ。それだけのことよ」


「それだけって……いや、今は少しでも時間が惜しい。早速部隊を集める、マリーンは用意しててくれ」


 セヴランは通信機を用いて部隊に即座に指示を飛ばし、仲間を自身の元へと集結させる。そして、マリーンの風の魔法による防御を行いながら、ブラッドローズはバーンズの戦う隙に撤退をした……。


 部隊に幾らかの被害は出したが、壊滅することなく生還。これはパラメキア帝国を相手にしたことを考えれば、充分と言える成果だろう。だが、その内容としては厳しいと言わざるをえないもので、お世辞にもフィオリスの勝ちとは言えない。最後も、バーンズとエメリィの力がなければ逃げることも出来ず、部隊が壊滅させられた可能性もある。

 だからこそ、この日の戦いを評価するならば……フィオリス王国の完敗であった…………

どうも、作者の蒼月です。

マリーンの救出キタコレッ!って感じで、セヴラン達はどうにか撤退が出来ました。ただ、これはただバーンズに助けられただけなんですよね。勿論、国としてみればそれもありです。ただ、それはバーンズがいなければ勝てないということであり、軍としては意味がないんですよね。


さて、惨敗をしたセヴラン達。まだ暫く描写は続きますが、どうやってパラメキアやレギブスへの対策をしていくのか。


では、次も読んで頂けると幸いです。

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