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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第十章~散りゆく命~
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第三百四十一話~近づく戦い~

 早朝、いつもの霧が出る頃合い……アイゼンファルツ基地には、普段とは違う緊張が走っていた。

 完全武装した兵士の列、フィオリス軍は戦闘態勢で構えており、何かを待つように皆はパラメキア帝国の方面を見ていた。それは警戒であり……


「そろそろだな……」


「えぇ、来るでしょうね」


 修繕されたアイゼンファルツ基地の城門上に、ラディールとセヴラン、そして他の指揮官達が集結していた。彼らはもう間もなく始まるパラメキアとの戦争、その戦いに緊張を走らせていた。

 ラディールを先頭に、そしてパラメキアを背にするように振り向き


「さぁて、そろそろ始まる。この戦いで、このフィオリスの運命が決まる。その上で、今一度確認をしておく。この戦いから逃げたい者は、今ここで剣を捨てるといい。勿論、処罰なんてない」


 ラディールは指揮官達へと向けて、最終確認を取っておく。これが、おそらく今後最後となる確認であり、もう逃げることは出来なくなる。

 誰しも、死ぬことは怖く、恐怖からは逃げ出したいもの…………しかし、その確認で動いた者は、誰一人居なかった。


「この様子なら、もう心配することはないね…………これより、パラメキア軍をここで退ける。全員、作戦開始ッ!」


『はッ!!!』


 セヴランも含むフィオリス軍の指揮官達は覚悟を固めた瞳で応え、パラメキア帝国との戦争の火蓋を切って落としたのだった。






 フィオリス王国とパラメキアの国境線付近、アイゼンファルツ基地から森を挟んだ平原に、パラメキア帝国軍は腰を構えていた。パラメキアの領土ギリギリに天幕を幾つもの構え、武装した兵が行き交っている。その忙しさは、今にも戦いが始まると言わんばかりのものであり……


「急げ!そこの武器は、まとめておけよッ!」

「急いで並べ!時間がないぞッ!」


 パラメキア軍も、フィオリスへ進行する軍の用意はほぼ完成し、部隊は横隊で広く並び見る者を圧巻させる光景を広げる。そしてその広がる部隊の最も後方、ロイヤルガードの為に用意された天幕の前には、ロイヤルガードと他最高指揮官らが集まり、フィオリスの方面へと視線を向け


「静かだな……」


「そうですね、我々が攻め込むことは分かっているでしょうに」


 ヴァンセルトは、フィオリスの様子に疑問を抱く。それは、他の指揮官も抱いているものであり、何か不穏な雲のようなものをヴァンセルトは感じとり


「さて、何が狙いか……レギブスの動きは」


「今のところ、目立った動きはないとのことだ。不気味な程にな……」


「……そうか、予定通りだな。進行の準備は」


「既に部隊の用意は完了している。後は、ヴァンセルトの命令一つで動ける」


「フィオリス……バーンズなど、厄介な者は多い。レギブスとの戦いより、下手をしたら面倒だと思っておけ」


「ははっ、それは本気かヴァンセルト。お前達三人が揃って、更にこの十五大隊……計七万を越える軍勢で、負けるつもりか?」


 ヴァンセルトと話す指揮官は、目の前に並ぶ軍勢を指して苦笑する。それは、現時点でのフィオリスのパラメキア方面軍の総数を上回り、戦力差があることは歴然だ。そしてパラメキア側も、パラメキア方面軍が戦力を増強したことは既に知っている。その上で、これまでのフィオリスよりも部隊全体の練度が低下していることも想定済みであり


「まさか、負けることなどあり得ん。ただ、この戦いで素直に負けを認める相手だとは思えないだけさ」


「ヴァンセルト、お前がそれでは、下の者に示しがつかんぞ」


「分かっているさ。そろそろ、行くとしよう…………パラメキア全軍に告げるッ!!!フィオリスへ向け、進軍せよッ!!!」


『うおおおぉぉぉおおぉぉぉ!!!!!!』


 パラメキア帝国軍は獲物に牙を剥くように、その足を進め始めた…………

どうも、作者の蒼月です。

さて、戦いが始まりますよ~フィオリスとパラメキア、両国とも少しずつ近づき始めました。

ただ、この時点ではまだ静かなものです。アイゼンファルツと平原の間には森がある関係から、すぐには戦いに移らないのがセオリーなので。

次の回には、戦いのシーンも始まる(?)かもしれないので、明日に投稿できるよう頑張りたいです。


では、次も読んで頂けると幸いです。

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