表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第十章~散りゆく命~
353/560

第三百三十五話~セレンの名~

 リーシャから返された返答に、セヴランは沈黙をつくる。それは、自分の中で納得をするために必要な時間であり、大げさなリーシャの言葉を受け止めようと……


「いやいや、いくらなんでも世界が終わるなんて……それは言い過ぎだろ?」


 セヴランは一応は理解しようとするが、どうにも無理であった。ここ最近、セヴランが聞かされる話は規模が大きすぎ、セヴランの手に負えるものではない。またしても、今度は世界が終わるなどと言われて、はいそうですか、とは流石にならない。

 だが、そんなセヴランの気持ちは理解できなくはないと、リーシャは言葉を強く重ね


「これは、冗談ではありません。本当に、この結果次第では世界が滅びます」


「…………冗談、と言ってほしかったな……」


「こんなところで冗談を言えるほど、自体は良くないですから」


「なら、それがどういうことか、聞いておこうか。何故、俺が?」


 セヴランは仕方ないと、そういうものなのだと話を進める。リーシャも、簡潔に内容をまとめ


「終焉の話は、既にいろんな人から聞いているでしょう?あの終焉には、意味が複数あるの」


「意味が?」


「そう、一番分かりやすいのは、世界の滅亡という意味での終焉。けどそれは、古の竜に滅ぼされることを意味してるの」


「それは、確かに話を聞いている。師匠やソフィア、後はヴァンセルト辺りからか」


「他の意味については、ここでは話さないでおくわ。これは、まだ当分先の話だから……まずは目先の問題、竜の進行について……そこで、エメリィ様の力は必ず必要になるわ。でも、今のままでは、次のマリーンとの戦いで、エメリィ様は命を落としてしまう……」


「……何故、そんなことが言いきれる?確かにマリーンの強さは本物だ。けど、前だってエメリィは――」


「事実です」


 セヴランの疑問をする言葉に、リーシャは強く言い切り言葉を止めさせる。普段おとなしいリーシャ故に、それだけ強く言い切ったことにセヴランは面食らい


「悪い、信じてないわけじゃないんだ」


「いえ、信じてもらえなくて当然です。ただ、今は信じてもらう他ありません……」


 リーシャは、セヴランに信じてもらえなかったことにショックを受けたのか、視線が徐々に下へ傾き始める。そのことに、セヴランは慌てるように流れを変え


「それで、聞いてなかったが俺である理由は?こんな重大なこと、俺である必要はないはずだ」


 この話において、正直なところエメリィのことはどうにかする予定であり、特に何か変わるわけではない。しかし、何故これをセヴランに頼んできたのか、それはどうしても知っておきたく……


「貴方が、終焉に対する鍵だから……その心の強さが」


「心の、強さ?」


「今はこれだけしか言えない……けど、忘れないで。貴方の心の強さが、この世界を救える鍵だっていうことを」


「…………???」


 理解不能、それがセヴランの出した結論だ。これが意味するのは、何か重要なことなのだろう。ディルムンクが言っていたこととも被り、セヴランという存在はどこか特別なのだ。自身にその自覚がないとしても…………。

 現状では、それに対しどう答えを出すかは決めきれない。そして、リーシャもそれは理解した上で、答えを求めているわけではないと笑い


「ごめんなさい、色々変なことを言って。でも、心の隅に留めてくれれば」


「とりあえず、今は分かったと言っておくよ。どのみち、エメリィのことは何とかするしな」


「エメリィ様を、よろしくお願いいたします……」


 この瞬間、部屋を隔離していた術を、セヴランに気づかれないようにリルムは解除する。これで、三人は元の空間に戻ったことになり、忙しい現実に帰ることとなる。

 話し合いは終わったとセヴランは席を立つが、不意に疑問が浮かび上がり、同じく席から立ち上がったリーシャへ


「リーシャ、君の名前はセレンと言ったが、これからどう呼べばいいんだ?」


 名前を隠していることには、何か意味があるのだろう。そんなセヴランの考えから、気を効かせたつもりでの質問だったが、リーシャはあっ、と何かに気づいたように


「名前は、これまで通りリーシャでお願いします。ロイヤルガードのリターシャさんからとって適当につけた名前ですけど、その方が助かるので」


 リーシャは、その名前の元がリターシャであるなど、初耳な情報を出したが、重要なのは最後の一言であった。


「ただ、もしどうにもならなくなった時、私の――セレンの名を呼んでください。きっと、助けになれるかと思いますので」

どうも、作者の蒼月です。

まあ、会話パートは一旦終わって、また次に話を進めていきたいと思います。あと、だいぶフラグ立ててますし、そろそろエメリィを攻略しなければ……これ、攻略しないと本当に危険ですからね。

物語を書きながら、キャラと戦う作者の図……。


では、次も読んで頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ