三百三話(裏)~影で勤しむ者達~
今回、これは外伝的扱いです。次は本編だと思われます。
帝都の路地裏でロイヤルガード達の、小さな宴会――とは言わずとも、それに近いものが行われている時……帝都の闇に包まれた区画では、ある二人が動いていた。
黒きローブに身を包み、フードとマスクで隠した傍目からは怪しい者達…………そして、怪しい者、という客観的評価は正しく、その二人はブラッドローズの隠密部隊であった。彼らは、パラメキアの情報を掴む為に、潜伏を繰り返している二人。その腕は折り紙つきで、並み――いや、ある程度の実力を持つ者でも、彼らを見つけるのは至難の技だ。そんな、闇夜に溶け込む二人は、今日に限っては普段とは違う状況に置かれていた。彼らは、情報を集め、それを複数の筋から確認し、確かだと確証を得れた情報を上げるのが任務。無論、中には不確かなものでも報告することはあるが、基本的には確かな情報を集める必要がある。
そして、今日もそのとある情報を仕入れ、それを確かめに行く最中であったが…………その情報が、爆弾のようなものであった。
ロイヤルガードが集まり、ある店で密会をする。
二人が得たその情報がもし事実であれば、そこでは何か重大な情報を得られるかもしれない。危険は多いが、虎穴に入らずんば虎児を得ず、とその店を突き止め、内部に潜るなりしようとしていたその時…………普段なら気付ける筈のトラップに引っ掛かり、毒矢を紙一重で避けたところであった。
二人は、声にだすことはなく、手の形でおおよその会話を行い
『どうする、これより先には行けねぇぞ』
『回り込もうにも、全方面トラップかよ……どうなってやがる』
『まったくだ。こんな仕掛け、これまではなかってのに』
二人がトラップに掛かった理由……その一つが、そもそもトラップなどいつもはなかったのだ。帝都内の事細かな変化は調べているし、トラップなどは細心の注意を払って警戒している。それが、大げさなまでの仕掛けが現れ、理解の範疇を越えたのだ。
そしてもう一つが、常に二人も警戒は行っている。ただ、その上でトラップを見つけれなかったことに、驚きを隠せないのだ。これまで、幾重の死線をくぐり、隠密としての能力は高い。慢心することもなく、その実力は常に磨いていた…………けれど、それでも見つけることは出来なかった。気付いた時には、その毒矢に迫られたという始末。
これまでにない、不落要塞にも感じれるその店に、二人はより一層の警戒を強め
『ここは、一旦下がるしかないや……キルさんに指示を仰ぐか』
『いや、それより武器関連を先に行こう。情報が確かなら、近いうちに、キルさんを含めて姫様達もここに来るようだしな』
『そういや、そうだったな……なら、先に兵器関連で、集めれるだけの情報を集めに行くか』
手での会話を終え、二人の影は闇に溶ける…………。
これは、とある英雄の息抜きの裏であった、小さな戦いの一つである…………
どうも、作者の蒼月です。
昨日(水曜日)に更新出来なくて申し訳ありません。ちょっと、中の人が現在とある研修で時間的余裕が一切なく、今回も苦肉の策として外伝を投稿しました。
おそらく、金曜日には書ける筈なので、金曜日の夜(8時以降?)に本編を更新すると思います。
内容としては、まあ物語は一つの視点ではなく、色々な視点――そして物語があるということです。
こうした外伝は、結構後に書くつもりでしたが、まあある意味試験的にも良かったかなと。
次は、どうにか本編頑張ります。
では、次も読んで頂けると幸いです。




