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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第二章~旧トワロ街道攻防戦~
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第十七話~物質輸送作戦開始~

 フィオリス訓練兵舎門前、並べられた台車の前にカーリーは立ち、集合した四小隊計四十八名に視線を向ける。 カーリーの隣には部下の二人とセヴランが並ぶ。

「これより、国境方面軍への輸送物質護衛作戦の最終確認を行う!まず各小隊長から一言」


 カーリーの言葉と同時に並んでいた三人が一歩前に進み


「第三小隊小隊長のマクールだ、よろしく頼むぞ」


 マクール、カーリーの部下の一人で恰幅のいい大男であり、常時見せる絶えない笑顔は武人の者とは思えないが背に担ぐ巨大な戦斧から並の強さの武人ではないことが伝わる。


「第四小隊小隊長のチェルダー、君達の活躍に期待している」


 チェルダー、カーリーの部下の一人で細いからだからはややか細い印象を受ける、しかし模擬戦でも一人で複数人を相手に出来ることからもマクール同様に優れた武人であることが伝わる。

 二人が一言を終え、セヴランも口を開き


「第二小隊小隊長のセヴランだ、皆と同じ新兵ではあるが小隊長に相応しい活躍が出来るよう努力に務める」


 ……かなり口調をきつくしたが、これでよかったのか?


 セヴランは目だけで周りから不満がないかを確認する。特に変わった様子もなく誰もが視線を前に向けていた。

 セヴランの不安は杞憂であった。昼の模擬戦の結果から新兵の誰もが彼の実力を認め、小隊長という役に不満を漏らす者は誰一人いなかった。三人が一歩下がるのを確認すると


「各小隊長はこれで分かったはずだ、今後は各小隊長または私の命令で動くように。君達は訓練課程を省かれまともな訓練を受けていない、それぞれ腕はあるが勝手な判断で動かれては部隊は戦えない、故に指示には確実に従え!君達は既に兵士なのだ!」


 カーリーが言葉をいい終えると、少し離れた位置のフェザリアンを引いて台車を動かす。台車が新兵の前まで来るように動かすと


「この台車にあるものはフィオリス正規王国軍の装備だ、武器などは使い馴れた物を使っても構わんが鎧や兜など防具はここにあるものを使ってくれ」


 カーリーの示す台車、そこにはフィオリスの職人が作り上げた一級品の装備の数々が並べられていた。どれもが軍での使用に耐えうるものであり、新兵が今まで使用していた粗末な服などと比べると最高級ともいえるものだ。新兵達目の前に広げられた装備に目を輝かせ台車に集まり各々が装備を装着してゆく。

 新しい装備を嬉々として手にする仲間を横目にセヴランは一つの装備を手にしカーリーの元へ歩き


「カーリー隊長」


「なんだ?」


「装備は味方か分かれば良いのでしたら、これでもよろしいでしょうか?」


 セヴランが手にしていたのはフィオリスの紋様が施されたマントであった。本来雨などの際に着る、服となんら変わらない代物にカーリーは疑問し


「それは防具じゃないぞ、そんなものでいいのか?」


「えぇ、私の魔法と戦い方には鎧は向きませんので」


「お前がそれがいいなら好きにするといいが」


「はっ、有難うございます」


 セヴランは敬礼をするとカーリーのもとから離れ、第二小隊の仲間のもとへ移動する。

第二小隊のメンバーも既に装備の交換を終え、各々話で盛り上がっていた。カーリーのもとから戻ってくるセヴランと視線があった一人が近づき


「隊長、鎧はつけないのですか?」


「あぁ、俺はこの方が動きやすいからな。ところで、ほぼ年も変わらないのに敬語は使わなくていいんじゃないか?」


 セヴランの言葉に兵士はにこやかに笑い


「いえ、軍においては上官に敬語を使うのは当然です。それに、昼の模擬戦で自分と近い年齢の隊長の活躍に感服しました。ですので、敬意を払う意味も込めて敬語で話させていただきたいのですが!」


 兵士の力強い言葉に押され、セヴランは仕方ないと諦め


「分かった、敬語はそのままでいい。その代わり俺のしゃべり方は変えないからな」


「えぇ、隊長はそのまま堂々としていてください」


 笑顔の兵士にセヴランは考えることを止めた、色々考えても疲れるだけだ。兵士と会話をしていると第二小隊の仲間が集まってくる。皆、軽鎧を身に付け武器の準備も終えていた。

 小隊の仲間それぞれにセヴランは挨拶を終え、同時にカーリーの集合の号令が闇夜に響く。


「装備の準備も終えただろう、各小隊準備はいいか!」


「第三小隊準備終わりました」

「第四小隊いつでもかまいません」


 マクールとチェルダーに続きセヴランも声をあげる


「第二小隊準備完了!」


 各小隊、小隊長も含め計五十人がカーリーの前に整列する。カーリーは士気の上がった新生中隊を見渡し


「それではこれより、物質輸送護衛作戦を開始する!諸君らにとってこれが初の任務である、輸送物質の内容はどれも食料、今後の兵站を支えるためにもこの作戦は必ず成功させなければならない!また、食料を狙った山賊の襲撃も予測される。各員戦闘に備え、初の実戦を生き抜き、栄光ある王国兵としての活躍を期待している!」


『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』


 静寂に包まれる真夜中、兵舎門前は初の実戦への期待で熱気に包まれ叫び声がこだまする。

 カーリーは剣を引き抜き一度空に掲げる、松明の明かりの反射する刃をレギブス方面に降り下ろし


「全軍、我に続け!!」


 カーリーは先頭の台車に立ち、部隊が移動を開始する。

 予め伝えられていた手はず通り、第一小隊と第二小隊が台車の周りを囲み警戒に当たる。第三小隊と第四小隊は各台車に乗り込み交代までの間休息に入る。

 

 訓練も無しに部隊行動をとる新兵の技量が高いのか、あるいは新兵をまとめあげるカーリーの手腕が凄いのか、あるいはその両方なのか。フィオリス王国の歴史の中でも異様に高い士気と練度を誇る新兵の護衛作戦は始まった。

 時をほぼ同じくして、旧トワロ街道にて哨戒兵二名が殺された報告は、この時はまだ誰にも伝わっていなかった。

どうも、作者の蒼月です。

やっと作戦開始、ここまでの話を少し分割しすぎたかと思いますが一回あたり二千字だとどうしてもこのぐらいなんですよね。

次はリーナサイドの話もあります。

それでは、次も読んでいただけたら幸いです。

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