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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第九章~動き始める者達~
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第二百九十八話~限られた人手~

 セヴランの口から語られた内容は、いたって簡潔……しかし、リーナがの意見と、キル達の心配を少しでも緩和できる案として、三人を納得させ


「確かに、国の代表としてと言うなら、向こうも無下にはしないだろうからな」


「あぁ……かりに国の代表を攻撃してくるような者が代表ならあれだが、ヴァンセルトという人の成りを見た意見として、そんな人間には感じなかった」


「だろうな。あいつは口はあれかもしれねぇが、規律なんかは遵守する奴だ。それに、皇帝の前まで行けば、こっちが無作法でもしねぇ限り、向こうも手は出せねぇだろうよ。ま、向こうの皇帝に嫌われてなければだがな」


 ヴァンセルトを、今最も知ると自負するバーンズは、その案は悪くないと肯定する。キルも、パラメキア皇帝へと会う機会を無理矢理にでも得るならば、他に案はないと下がる。

 敵国の皇帝に封書を届け、自分達から会いに行く。相手の都合など知らないというこの考えは無礼だろうが、元々戦争を仕掛けられているのだ。そう考えれば、無礼など些細な問題に過ぎない。セヴランは、パラメキア皇帝への手紙は、急ぎ後で作るとし、決めなければならないことがあと一つ残っていた。このパラメキアへの潜入、そして今増えた皇帝への謁見は、一番の目的はパラメキアのことを調べ、戦争を終わらせるための材料探しだ。そのために、敵国の中心まで共に行ける仲間が必要であり……


「どんな面子で行くか、その選定だよなぁ…………」


 残る大きな問題として、その面子をセヴランは悩む。敵国に潜り込むのならば、それだけ命を落とす危険は高く、様々な点で能力の高い者が必要だ。

 まず思い浮かぶのは、キル以下隠密部隊の者達。彼らは、斥候としても動け情報収集、潜入、破壊工作と、この作戦にはうってつけの者達だ。実力も申し分なく、安心して作戦を任せれるだろう。

 次に上がるのは、セヴランも含めたブラッドローズ将官ともいえる五人だろう。セヴランを入れて、皆それぞれ得意な分野は違うが、それでもどんな状況だろうと作戦行動を展開できる実力は持ち合わせている。これも、作戦に導入できるだろう。

 後、可能性があるとすれば、モース達各小隊長ぐらいだろうか。だが、流石に小隊長達では実力差も少しはあり、またロイヤルガード相手には話にならない為に戦力としては不安がある。

 上げれる面子はこと程度であり、まずは隠密部隊の動員を考えるが……


「隠密部隊……動かせないよなぁ」


「……下手に動かせば、構築している情報網が無駄になる……やるなら、他の奴を使うしかないだろう……」


 隠密部隊を使いたくとも、隠密部隊の戦力には限りがある。レギブスにいる者も多く、パラメキアに潜入している者は、既に任務を受けた上での潜入……追加で無駄に難易度の高い作戦に動員などできず、隠密部隊は使わない方向で作戦を立てるしかない。

 と、キル側の問題を解決したと思えば、今度はバーンズが手を上げ


「んじゃ、お前ら頑張れよ。俺様は、あそこじゃあ顔が割れてるからな~」


 バーンズは自分の存在は、パラメキアでは顔もバレている有名人だと、この作戦に参加できないと笑う。確かに、これまでの話を聞いていても、パラメキアとの関係も深く、英雄として名がしれ渡っていることは想像に難くない。ならば、バーンズの言葉は確かにそうだと、セヴランはこの作戦に組み込めないとし


「あと、エメリィも無理だろうなぁ。あいつ、こういうのには向かねぇからよ」


「……やっぱり、そうか」


 バーンズはついでにと言わんばかりに、エメリィの参加も無理だろうと、椅子をこぎながら天井を見上げて話す。考えれば分かることではあるが、確かにエメリィは隠密などの作戦行動には向かないだろう。元々、研究の系統であり、魔法があるからこそ戦場で戦っているに過ぎない。そんなエメリィが、わざわざこの面倒な作戦に参加したがるとは思えない…………まぁ、セヴラン達もそれが楽しくて参加するわけではないが…………。


 ここまでで、既にこの任務に参加できる面々が限られ、セヴランは頭を抱え


「……それで、俺にリーナ、キルか。最低でも、あと一人は欲しいんだがな……」


「なかなか人がいないわね~」


「呑気に言わんでくれ……」


 これだけ大きな作戦を行おうとしているにも関わらず、今確定で動けるのが三人という事態。流石に、人手が足りない故に、誰かを動員するしかないが……


「なら、モースでも使えばいいんじゃ?彼、充分強いほうでしょ」


「それはそうだが……いけると思うか?」


 後は、小隊長達……一応は、ブラッドローズの将官ともいえる彼らから、連れていくしかない。だとすれば、候補に真っ先に上がるのはモースであり、他に選択肢はなかった。


「なら、計四人の、二人ずつでの行動とするか?けど、四人か……」


「どうせ、あの皇帝の所に突っ込むんなら、あと二人ぐらい連れてけよ。ほら、遊撃隊上がりの、お前の部下二人とか」


「バウルとギーブか?そりゃあ、人手は多いに越したことはないが……」


 バーンズから、計六人での行動する案を上げられ、セヴランとしてもそれを否定する理由は見つからなかった。




 そして暫く細かい作戦の修正案などを出し合い、最終的にはセヴラン、リーナ、キル、モース、バウル、ギーブの六人でのパラメキア潜入ということで作戦は決まった。後は、他の者に作戦を伝達することと、残る者達への指示であり


「さぁ、早くパラメキア、ついでに皇帝の所まで乗り込まないと、いつ全面戦争を仕掛けられるか分からないわ。そうなったら手遅れなんだし、それまでに急ぐわよッ!」


 リーナの号令で、セヴラン達は頷き、次の行動へと急ぐのだった…………

どうも、作者の蒼月です。

さてさて、そろそろパラメキアへ出発しますよ~そして、巻き込まれることとなるバウルとギーブ……バウルはいいでしょうが、ギーブなんかは胃が締め付けられるでしょうね。御愁傷様です……


パラメキアへ潜入してからは、もしかしたら、パラメキア側の平和な日常も少し書くかもしれませんね(大胆な内容追加は作者の特権)


では、次も読んで頂けると幸いです。

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