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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第九章~動き始める者達~
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第二百九十七話~姫の気まぐれ難題~

「んで、これからどうするつもりだ?」


「あぁ、エメリィは居ないが仕方ない……まずは、リーナの提案していた、パラメキアへの侵入、調査だな」


 立て続けに予想外な事態に見舞われたが、だからといってやることは変わらない。必要な情報を集める為、パラメキアへ潜入するリーナの案を上げ…………まず始めに反応したのは、影に潜んでいたキルであった。

 キルは、部屋の壁にもたれ掛かるように姿を見せ、そのフードから瞳を覗かせてセヴランに語る。


「……潜入するのはいいが、どこまで潜入する。それ次第で、作戦は大きく変わるだろう…………」


「どこまでか、そうだな……」


 キルからの問いに、セヴランもそう言えば把握してないとリーナへと向き、それを教えてくれと目で語り


「そうねぇ……領土の端に行っても仕方ないし、どうせなら王都まで行くべきよね。それに今さっき、あのソフィアもそんなことを言っていたものね。交渉でもするなら、悪くない相手なんじゃない」


 リーナは軽く、敵陣の中心意外はあり得ないと、生ぬるい案を初めから切り捨てる。リーナがそう決定した以上、やることはパラメキアの帝都への潜入だが……


「パラメキア皇帝、ナルベード・アーガリウス・デュランか……」


 セヴランは、パラメキア帝都と言う言葉から連想し、パラメキア帝国の皇帝の名を口ずさむ。

 この大陸で最も栄え、広い領土、高い国力、強い軍隊と、最も完成している国と言えるだろう。更に、皇帝の血筋も有能であり、旧時代にあった奴隷などを無くし、仕事や教育を普及させ、近年のパラメキア帝国は楽園ともいえる程平和な国であった。

 そして、この近年のパラメキア帝国を治め、賢帝の一人とされた人物が、ナルベード・アーガリウス・デュランである。だが、近年の戦争を始めた張本人ともされ、その先行きの不安はパラメキア帝国内に広がり始めていた。元々、パラメキアと同盟に近かった国にも攻め入り、自国の領土とするその行いに、侵略された側の不満があるのも事実だ。しかし、パラメキア帝国の傘下に入ったことで、その恩恵を受けている元小国があるのも事実であり、パラメキア帝国は現在、レギブスとの戦争の結果次第と国内は比較的安定していると言えるだろう。


 パラメキア帝国内に潜伏している隠密部隊の情報は確かな筋であり、セヴラン達はパラメキア国内の知識は豊富であった。ならば、後はそれを元に作戦を立てるのみ…………といけば簡単に聞こえるが、問題はまだある。

 それを理解する者として、キルは進言すると手を上げ


「……しかし姫、パラメキア帝都への潜入となりますと、いささか困難を極めるかと…………仮に潜入できたとしても、まさかパラメキア皇帝に謁見を求めるわけでもないでしょう…………」


 そう、パラメキア国内というだけなら、まだ問題はない。パラメキア帝国は広く、端であればフィオリス以下の場所も存在する。その程度の場所であれば、ここの面子ならば潜入は容易いだろう。しかし、それが帝都であれば別である…………パラメキア帝国の帝都は皇帝直轄。そして、その周囲を囲む領地は、ロイヤルガードの治める領地なのだ。つまり、最低でもロイヤルガードの領地を抜ける必要はあり、生きて帰れるかも怪しいのである。確かに、敵の情報を得るのならば仕方ないかもしれないが、具体的な案がない限り、そこまでの危険をリーナに負わせることは、バーンズやキルからしたら避けたいのである。

 けれど、そんなキルの心配など勿論気にすることもなく、リーナは怪しげな笑みを浮かべ


「……そうね、それも面白そうね」


 一体、リーナが何を思い付いたのか、誰も考えたくなどなかった……が、リーナは面白いことを思い付いたと、周囲に満面の笑みを振り撒き


「ヴァンセルトと話しても、この戦争が止めれないわけでしょ?なら、もっと偉い人を説得するべきよね」


「お、おい……リーナ、お前まさか……」


 この時点で、リーナが何を言い出すかを、三人とも想像できた。それは聞きたくないと、キルに至っては目を閉じていた。

 そしてその悪い予想は当たり、リーナは机に手をついて立ち上がり


「パラメキア帝都、皇帝の城へと乗り込んで皇帝に会ってみるのがいいわね!」


『はぁ…………』


 三人の呆れたため息は、言わずもがな練習でもしたかのように、全く同じタイミングで同様に首を振って吐かれたのだった。


「リーナ、お前馬鹿なのか?」


「リーナ嬢、流石にそりゃあ無理ってもんだ」


「……姫、お疲れできたら睡眠を取ることを具申致します……」


 三人からの、一切の理解を示されないことに、リーナは頬を膨らませてそっぽ向き


「いいわよ!そんなに言うなら、貴方達には何かいい案があるんでしょうね!」


 意見を否定されることはいい、ただ、それを否定で終わらせては物事は進展しない。最低でも、否定をするなら代案は出すべきであり…………代わりに、セヴランは一つの案を出すのだった。


「なら、こういうのはどうだ…………」

どうも、作者の蒼月です。

さてさて、そろそろ作戦もきまってパラメキアへ向かう感じですね。あと、早くしないと、また無駄にパートが長くなりますからね。どんどん巻いていきたいと思います。


あと、書いてて思うのは、なんでこんなにリーナは馬鹿なんだろう……いや、頭はある筈なのに、どこかずれてる……天然なのか!?(想定外の属性発現!?)


では、次も読んで頂けると幸いです。

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