表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第八章~交錯する英雄達の想い~
274/560

第二百五十七話~回復魔法~

 扉の先、廊下には数多くの仲間達の姿。武装を終えた、一部の者と魔導部隊の者達。その先頭には、これまで話題に多く上がってきた……普段は大人しく、しかし負傷者に対しては全力で看護の為に強気になるリーシャ。

 …………だが今の彼女は、最早出てきた彼らを止めることは無理だと理解したのだろう。既に諦めを通り越し、呆れた表情で患者であるモースらにため息を吐き


「はぁ……リルムが止めたけど、その様子だと意味は無かったってところでしょうか。……それで、行かれるおつもりなんですね?」


 リーシャのこの発言は、あくまで看護兵としてのものだ。負傷した者達を繋ぎ止め、こうして生き長らえさせているのは、間違いなく彼女が筆頭としての功績だろう。

 そしてその彼女が止めるのだ、モースらの体の状態は良くはなく、万全とは程遠い。けれど、だからといって休む訳にもいかず


「すまない……ここまで我々を助けてくれたこと、感謝している。でも、だからこそ、我々は戦わなくてはならない。守られる為ではなく、人々を守る為にここに立っているのだから……」


 モース達は、確かにイクス相手に恐怖を覚える戦いを経験した。叶うのならば、もうあんな化け物とは誰だって戦いたくはない…………。しかし彼らには、もう帰る所もなく、その為に剣を手にとったのだ。例え恐怖を覚えようと、この戦いを終わらせる。その覚悟故に、彼らは立ち上がるのだ。

 負傷者全員の覚悟の強さを悟り、自身も覚悟は決めていることを示す為に、ただ首を縦に振る。そして、この時の為に用意してきた――と言うべきだろうか。リーシャはリルムや、他の魔導部隊の者達と視線を合わせ、何かを確認するように頷き合うと


「では皆さん。少し、廊下に出て広がってもらえますか」


「???」


 モースやバウル達は、困惑しつつも廊下に広がる。元々、廊下は相当な幅であり、まとまっていれば問題なく出られる。特に疑問も無かった為、彼らは揃って出ると……そのまま周囲をリーシャ達に囲まれた。


「あぁ、成る程。でも、大丈夫ですかね?」


「ギーブ、お前何か知ってるのか」


 彼女らが何をしようとしているのか、ギーブはおおよその見当がついた。ただ、それの説明は別に要らないだろうと判断し、バウルからの質問は放置する。そして、魔導師の一人から、想像もしていなかったものが、差し出された。

 それに真っ先に反応したのは…………腕を落とされたジーンであった。それもその筈…………差し出されたのは、彼の腕そのものだったのだから。


「な!?お、俺の腕ッ!?」


 ジーンが驚きを隠せないのも無理はない。それは、モース達も同じ状況なのだから。自身の失った筈の腕を見せられれば、流石にそれ以上同様を隠すことは不可能だろう。

 その腕を差し出してきた者――それは、隠密部隊の者で、ここまで途中から行動を共にしていた者であり、彼は無表情とは言わずとも、微妙に表情が動きつつ


「俺達は、それぞれ別々に任務が与えられてるからある程度自由に動けるが……共通して与えられている任務があってな。あのイクスに関しての情報は、常に追っている状態だ。だから、さっきの戦場にも、後を追わさせてもらってたが……手出しは出来ないからな。この程度しか、俺には出来なくてな」


 男は、死体も回収したかったの述べたが、流石にあの状況で一人では無理と判断し、唯一可能であった腕だけを回収したと告げる。無論、そこにはブラッドローズの情報が少しでも漏れない為の、処置か対応という意味が込められているのだろうと皆が理解しつつも、自分達には出来なかったことをしてくれた。その事実には揃って感謝するのであった。


「まあ、腕を持って帰ったからって、どうこう出来るとは思ってなかったが…………これは嬉しい誤算だろう」


 男は、その腕を持ったままジーンへと近づき、その腕とジーンの腕を合わせるようにした。


「おま、何してるんだ!」


「黙ってろ……これでいいんだな」


 ジーンは何をされるのかと警戒するが、男はそれを無視してリーシャに視線を向ける。すると、それにリーシャは頷き、魔導部隊の者達は白き魔法陣を展開さし、詠唱を始める。

 初めは、モース達は何の魔法かと疑問が浮かぶが、その白い魔法陣と、体に感じる温かさで何をされているのかを理解する。


「回復魔法か……でも、これは一体……」


 皆、回復魔法は知っている。使える訳ではないが、今回の傷の回復にも使われたものだ。しかし、今回のこれは、それまでの回復魔法とは違う感覚であり、別の魔法なのだと理解する。


 回復される者達は、これまで抱えていた痛みや披露が無くなっていく感覚を覚える。また――――ジーンは、その腕が繋がり再生していくのだった。


「な、こ、これは……」


 切断された腕が繋がるなど、これまででは考えれない光景が多くの者の目に映る。奇跡、まさにそれ以外に相応しい言葉を、ここにいた者で知る者はいない。魔法陣の輝きが消え、魔法による回復が終わった……。ただ、そんな奇跡を前に彼らは子供のように目を輝かせ、魔導部隊に駆け寄り


「すげぇ、今の魔法ってなんだ!?」

「こんなものまで、うちの部隊って持ってたのかよ」

「俺の腕が……返ってきた…………」


 どの者も、思い思いの感想を述べ、また感謝の言葉が魔導部隊に送られる。魔導師達も、当然のことをしたまでとは言っていたが、少しでも仲間を助けれたのは嬉しかったのだろう。その表情は明るく、彼らの士気はみるみる上がってゆく。

 そんな仲間達の姿は、指揮官であるモース達からしたら嬉しいものであり、そして激を飛ばす。


「さぁ!魔導師達も我々を助けてくれる。次は、我々が役目を果たすぞッ!」


『うおぉぉおおぉぉぉ!!!!!』


 魔法により、明るい照らされた深夜の館に、ブラッドローズの若き声が戦場の端で響くのだった…………

どうも、作者の蒼月です。

さて、魔法って便利ですよね~色々設定はありますが、やっぱ奇跡の力ですからね。科学では出来ないようなことも出来ると考えれば、やはりファンタジーの世界はいいと思います。


まあ、魔法は万能ではないですし、今回の魔法も爆発四散する可能性があったんですけどね(今更)

今の魔法の文明は、とても進んでいるとは言い難いです。戦争は発明の母と言いますが、少なくともこの世界は、数百年は大きな戦いなど一度も無かった奇妙な世界です(裏での理由はありますが)故に、科学も魔法も、どちらもまだそこまで進歩していません。これが、この世界での魔法文明と科学文明の進歩の始まりの時代であると、軽く補足しておきます。


では、次も読んで頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ