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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第八章~交錯する英雄達の想い~
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第二百二十四話~戦略級の力達~

 リターシャの二刀は、倒すべき敵に向けられる。だが、それからどうするか、それが問題であった。


「おらおらおらおら!!!!ガンガンいくぜぇぇぇッ!」


 剣を構え、実力も確かなリターシャへと、その拳一つで恐れを知らずに挑むオーガスト。だが、その動きは早く、一瞬でリターシャとの間合いを詰めてくる。それまでオーガストがいた場所にも、その姿はある。しかし、目の前にも姿があり、その動きは残像を残していたのだ。


「くッ!」


 そこまでなら想定内故に、リターシャは反射的に後ろへと跳び跳ねて距離をつくりながら、剣を自身の体の正面で交差させて構えた。そしてそこへ、狙ったかのように拳が打ち付けられた。重く、鈍い一撃。衝撃に手は震え、その足はぐらついた。ただ、オーガストの攻撃はその一回にとどまらず


「楽しいよなぁぁぁ!!!!」


 二撃、三撃……連続して七撃が、容赦なく打ち込まれる。ただ、リターシャはその全てを、ギリギリのところで受け止めていた。受け止める度に後退り、余裕はなかったが、それでも傷を負うことはなかった。


「はぁ……」


 なんとか攻撃を防いだことでため息を漏らすが、そんな余裕がないことは、自分自身が一番理解していた。拳を全て防がれ、何が嬉しいのかニヤニヤするオーガストから視線を外し、その背後を見る。そこには、高速で滑空してきた不死鳥の聖獣の姿があり…………オーガストは、次の瞬間には体を倒して地に四足姿勢に移っていた。

 これは、オーガストの攻撃に注意を向けさせ、本命として不死鳥の体当たり。その大きさ故の威力は、たとえロイヤルガードとて無傷では済まない。だからこそ、オーガストは笑ったのだろう。口にすることもなく、ただ心の内で答えを導き


 ……まあ、どうせこれだけではないでしょう。とりあえず、今は受け流しますか。


 迫る不死鳥、その体の炎は実体を持ち、剣で斬れば手応えも返ってくる。それを見越して…………リターシャは、後ろへと軽く跳躍した。迫る不死鳥の頭に、自身の足がくる程度まで、一回で飛ぶ。更に、不死鳥の迫る速度より、僅かに遅い程度の速度も出す。そして、速度と高さを合わせたリターシャの足先には、狙い通り不死鳥の頭が来た。

 ここまで完璧に合わせきったリターシャは、そのまま不死鳥の頭を蹴り、空中で後ろへと跳びつつ、後転するように舞ったのだ。その動きで、滑空して迫り、リターシャへ低空から突撃を行った不死鳥はその上を跳ばれ、攻撃を回避されたのだ。更にそれだけでなく、リターシャの回転の途中では剣が手の内で回され、逆手に握られた。その動きは一連の流れに組み込まれ、自身の回転の終わりには下を通り過ぎる不死鳥に、刃を突き立てたのであった。


「キェェェェェェェェェ!!!!!」


 自身の翼の付け根に二本の剣を突き立てられ、痛みを感じているのか不死鳥が悲鳴にもとれる叫びを響かせる。


「静かにしてください、あまり叫ばれても困ります」


 冷静に、自身の言葉が通じるか分からない不死鳥に、リターシャは普通に語りかける。剣を不死鳥突き立て、それを動く足場のようにして立つリターシャは、不死鳥の墜落が始まると共に剣を引き抜き、そこから跳躍して離れる。

 不死鳥が地面に墜落するが、それでも大した時間稼ぎにもならないと、内心自分自身の技量に呆れ、リターシャは次なる行動に構えようとする。しかし


「……死ね……」


 その冷たく、また低い声と共にリターシャの視界に、銀の一線が光る。それが何だと理解するよりも早く、動きが先に生まれる。この一瞬で、次の攻撃を仕掛けてくるのが、声からゼノンと分かる。ゼノンの武器は幅広の大剣であり、一撃の重さを武器とすることが想定できる。故に、リターシャはそれを受け止めるよりも受け流すのが正解と判断し、身を半歩分右にずらして体勢をつくり、剣を斜めに構える体勢をとってからゼノンを見る。

 そして、そこにいるのは想定通りの攻撃を仕掛けようとするゼノン。ならばと、一直線に向けられる大剣を、外へ流すように剣で受け流す。そのまま、受け流した際に後ろへ巻き込まれる力を利用し、自身を内側へと回転させる。左足を軸に、一度後ろへと振り返り、止まることなく外側、そして元の正面へと速度をつけて回転する。そしてそのまま、自身へ迫ったゼノンに、その攻撃を利用した反撃を、叩き込もうと剣を叩き込み――――


「はぁッ!」


 リターシャの声と共に広がったのは……剣が鎖に止められた、金属の擦れ合う音であった。


「ッ!?」


 ゼノンは、攻撃を受け流されて動ける訳がない。オーガストも、拳以外に鎖などもってはいない。不死鳥も、墜落して動けず、また鎖などの武器を所有していない…………そこから至る結論は一つであり


「一対四というのは、やはり簡単にはいきませんね」


 残る一匹、四足の馬のような足を持ち、上半身は竜とも言えるその独特の姿。翼も持ち、一体何と呼べばいいかも不明瞭な聖獣。ただ、その手には何重もの鎖が握られ、その内の数本がリターシャの剣にまとわりついていたのであった。

 ただ、厄介な敵ばかりだとリターシャ苦笑しながらも、その剣を鎖から強引に引き抜き、なんということはないと冷静さを見せる。しかし、これは策略に嵌められたのか、綺麗に四方向を囲まれる布陣となり、自分が囲まれたことで失敗したと反省をしつつ


「さて、そろそろ部隊の戦闘も開始でしょうし、早く戻らないと怒られますね」


 他二人程の優位は保てなかったが、それでも多数を相手に対等に渡り合い、ロイヤルガードの三人ともが、レギブスの七極聖天の動きを拘束することには成功したのだった。

どうも、作者の蒼月です。

いやぁ、久し振りに毎日投稿が出来ませんでした。疲れがたまって、帰って来てからそのまま寝落ちしてました。なんとかこと時間には出せましたが、意味ないんですよね~

今日はまた、普段の時間通りに出せるよう頑張りますが


さて、内容としては、案外リターシャも一対四で善戦したのではないでしょうか。まあ、ぶっちゃけ皆全力とは程遠い状態で戦ってるのであれですが、それでもリターシャも頭がおかしい力なのは再確認出来ました(ロイヤルガードは頭がおかしい戦力という証明……)


そろそろ、時間的にもロイヤルガードとレギブス、それぞれの本隊がぶつかる頃合いです。それから、ブラッドローズ側の視点に戻るかなぁと。そういった次第です。頑張らないとなぁ……


では、次も読んで頂けると幸いです。

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