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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第六章~世界を覆いし終焉~
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百五十四話~祠の試練~

 全員の心構えを終え、洞窟へと入ったセヴラン達。入って暫くすると入り口から射し込んでいた光は失われ、薄暗く闇とも言える空間が広がり、そこには肌寒い空気が流れていた。

 洞窟は自然のもののため、人が歩くことなどを考えた整備は当然されていない。ある程度は歩けるところが存在するが、殆どは岩が剥き出しの荒い道であり、慣れていないキル以外のリーナ達三人は足場に注意しつつ進んでいた。ただ、そんな三人の苦労が嘘かのように、セヴランは一人軽々と皆を先導してゆく。


「なんでそんな簡単に進めるのよ、歩きづらくて仕方ないわ」


 リーナは、足場の悪い道に対しての愚痴を漏らし、先を行くセヴランについて行く。だが、足場が悪いことに対して愚痴を漏らしてこそいないが、エメリィとバーンズもリーナも同じ心境であった。言葉にせずとも、その心境は表情から感じ取れる。いかなる場所でも活動をするキルであればそこまで苦には感じないだろう。しかし、戦場ばかりを回り自然の中に身を置く機会が少ない三人にはなかなか苦を強いていた。そのことを理解し、先を進んでいたセヴランは振り向き


「皆、後少しで開けた場所に出る。そこから道は楽になるから、そこまで耐えてくれ」


 セヴランは全員に気休めではない事実を告げ、後少しという広間まで急ぐ。ただ、そんなセヴランの背を追いつつ、バーンズは小声で


「道は、ねぇ……」


 セヴランの言葉に、バーンズは嫌な予感が過り苦笑いを浮かべたのだった…………。




 そして更に暫く進むと、セヴランの言葉通り五人は開けた空洞へと足を踏み入れた。そして同時、セヴラン以外の四人は広がる空洞の光景に、思わず感嘆の言葉を漏らしていた。


「凄い綺麗…………」

「こんな代物、初めて見たぞ…………」

「これは鉱石なのかしら?」

「………………」


 そこに広がっていたのは、様々な色で輝き、透き通る水晶のような結晶が至るところに生え、おとぎ話に出るような幻想的な空間だった。

 それぞれが思い思いの発言をするが、そのどれもが好奇心を隠せない。生まれて初めて見る物に対し、興味をそそられるには充分な光景であった。


「だいぶ驚いてるな。まあ、ともあれようこそ、生命の祠へ」


 セヴランは両手を大きく広げ、自身の修行を行った洞窟への歓迎を見せる。だが、そんなことよりもと、四人の中でこの洞窟に最も興味を示して興奮気味のエメリィはセヴランに近づき


「ねぇねぇ、この鉱石みたいなのは何なの!?なんでこれは光ってるのかしら!?それとそれと――」


 エメリィは知識欲から来るのか、その好奇心でセヴランに質問を畳み掛ける。しかし、セヴランは急にエメリィを突飛ばし……………………迫ってきた魔法を、間一髪で回避した。


「え!?な、何!?」


 エメリィは攻撃を受けたことだけは辛うじて理解するが、それでも何が起きたのかと現状を把握するには至らない。しかし、それでも杖を構え、瞬時戦闘態勢へと移行した。


「ここからが本番だ!師匠が連続で攻撃を仕掛けてくる、全員で奥まで突っ走るぞッ!」


 セヴランは一回転の回避中に剣を抜き、合わせるように魔法の詠唱を開始する。その詠唱内容は銀世界のソレであり、リーナ達もこれが冗談で済まされる戦闘ではないと理解した。


「もう!なんで人一人に会うためだけに、こんな戦闘をしないといけないのかしらッ!」


「お嬢、無駄口を叩いても仕方ないですぜ。それに、俺様の予想通りセヴランの師匠がディルムンク将軍だとしたら、下手したらここで死ぬかもしれませんからねぇ」


「あ~もう、光るこれとかもっと調べたかったのに~」


「……そんなことはどうでもいいだろ……この攻撃、凌ぎきれるか怪しいな…………」


 五人全員がそれぞれの武器を構え、態勢を整える。そして、今にも動き出す合図となる言葉を、セヴランは詠唱の終わりとともに吐き出し


「凍れ、銀世界…………」


 言葉は共鳴し、周囲の光の結晶がその輝きを増し始める。そして洞窟内の地面は今までにない速度で凍りつき、セヴランの舞う戦場を形作った。


「リーナ、合わせられるな」


「当たり前でしょ、余裕よ」


 セヴランとリーナのやり取り、たった一言ではあったが、それは信頼から成せるやり取りだ。また、それを体現するように、二人目掛けて放たれた矢をセヴランが叩き落とし、その見せた背中を守るように後発の矢をリーナが叩き割った。


「おうおう、お二人とも飛ばすねぇ」


「バーンズ、貴方達もとっとと追ってくるのよッ!」


「へいへい」


 魔法の矢は何十と連続して放たれくる。だが、セヴランはそのことごとくを叩き落とし、見せた隙はリーナが守る。最後尾のエメリィを守るように、二人が逃した矢はバーンズとキルで対処してゆく。こうして、セヴラン達の洞窟の奥へと進む為の長い戦いが、更に加速してゆくのだった…………。

どうも、作者の蒼月です。

やっと戦闘に入りました、この戦闘はそこまで長くなる予定ではないですが、一応必要な物なのできちんと書きますよ~


さてさて、奥からセヴラン達へと攻撃を仕掛けるディルムンク、彼は一体何を考えているのでしょうか……(今回は書くこと特に亡いんです……)


では、次も読んで頂けると幸いです。

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