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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第六章~世界を覆いし終焉~
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第百三十二話~疲れる心~

 バーンズがセヴランの言葉を信用出来なかった訳、その理由は何となく理解できた。何年も前から行方不明であり、探していた人物がそう都合よく見つかるというのは出来すぎている。反対の立場であれば、バーンズと同じようにセヴランも疑っていたであろう。

 ここまでの完璧すぎる誘導。セヴランを戦いへと導き、ブラッドローズを編成させ、他の大国と渡り合う為の準備を影から進めていたであろう、バーンズの元上官に当たる前将軍ディルムンク。セヴランの師匠の可能性が高く、現状様々な事情を知っているであろうディルムンクに合う必要性が高まるのであった。


「はぁ……これからどうするよ、セヴラン」


 バーンズに視線を向けられ、セヴランは部隊の指揮官として判断を迫られた。この案件に関して言えば、セヴランは事情を今知ったばかりだ。しかし、自分達を取り巻く状況、この世界で何が起きているのか、自身は何故この戦いに巻き込まれたのか、聞きたいことは山程あった。


 ……あぁ、でもこれ、師匠が元フィオリスの軍人ってのが嘘なら最悪だよなぁ……これ、あくまで師匠が嘘を言ってないのが前提条件だしな。


 セヴランは今話し合ってきた話し合いが、とても不安定な足場で構成されていることを認識せざるをえなかった。しかし、そんな不確かなものでさえ、今のセヴラン達は頼らなければならない程、情報が不足していた。故に、ディルムンクは無視できず


「……よし、次の目的は俺の師匠……そして、同一人物ならば、ディルムンクから話しを聞き出すことだ」


 セヴランは周囲にいた全員を見渡し、異存がないかの確認をとる。真っ先に反応したのはバーンズであり


「あぁ、何がなんでもディルムンクを見つけ出さねぇと……」


 バーンズは、もはやセヴランの師匠がディルムンクであるとあたりをつけ、自身の考えが正しいと信じきり疑う様子はなかった。


「まあ、セヴランが言うならそれでいいんじゃない?ここまで来たのが、少し馬鹿らしいけどね~」


「大丈夫よリーナちゃん、私がいる限り暇になんてさせないわッ!」


「もう、そういうの本当にいいから……」


 リーナも、ここまで来たことが無駄骨になったこと以外は問題ないようであり、エメリィも特に意見を言うこともなくリーナをつついて遊び始めた。その様子に迷いや不安といったものはほぼ感じられず、流石にここまで来ているだけはあるとエメリィを評価できた。

 他にも、部屋の中ではバウルとギーブが話し合いを始め


「これ、次はどこに向かうんだ?」


「話から考えなさい、セヴランの師匠がいる場所でしょう」


「だ・か・ら、その場所を聞いてんだよ!お前って本当に頭固ぇよな~もう少し柔らかく考えれねぇのかよ?」


「……ッ、貴方はもう少し固く考えたほうがいいんじゃないです?いちいち私に聞かないと考えれないんです?」


「んだと!?喧嘩売ってんのかッ!」


「貴方の方が先に挑発じみた口調だったでしょッ!」


 バウルとギーブは平常運転であり、いつも通りの口喧嘩に発展していた。セヴランは頭を抱えたかったが、これが二人のもはや日常であり、喧嘩する程仲がいいという言葉がぴったりであった。


 ……こいつらは問題なさそうだし、後は…………


 セヴランはこの場で、最後まで反応を見せない者……キルに視線を向けたのであった。

 キルは壁にもたれ掛かった姿勢で、目を閉じたまま何も語らなかった。セヴランからしても、キルの考えていることは基本分からず、謎な部分が多い。

 笑顔か無表情かどちらかのキルは感情を見せず、今後の動きに賛成するのかが分からず


「キル、次の向かう場所だが――」


「……好きにすればいい……この部隊の隊長はお前だ…………」


 セヴランの言葉を聞くより先に、キルはセヴランの作戦を肯定した。一体、何故先読みされたのか。セヴランは疑問を抱きはするが、今は今後の動向に全員が賛同したことに、ひとまず一息をつけるようになった。


「なら、これで次の動きは決まったな。まあ、この基地の門の修繕もあるし、他の連中の疲れもある。今日はここで休みたいと思うが、皆はどう思う?」


「賛成~ここ城塞都市だし、町の方に行きたいわね~リーナちゃんも一緒にお買い物どう?」


「それもいいかもね~」


 エメリィは楽しみなのか、笑みを浮かべながらリーナと買い物に関する話し合いを始めていた。ここまで、王都から強行軍で動き、ロイヤルガードとの戦闘を行い疲れは誰もが少なからず抱えていた。少しでも、休める時は時間を与える必要があるというのがセヴランの考えであり、無意味に兵士を消耗させないように心掛けた為の考えであった。


「バウル、ギーブ、他の連中に夜まで自由に休んでいいと伝えてくれ。ただ、どこでもいいから一小隊だけはここの方面軍のしているパラメキア側の監視に協力させる。時間で交代させるから、まあどこか適当に連れて来てくれ」


「了~解」


「では、ここに連れてきますね」


「あぁ、頼む。じゃあ、夜まで自由ってことで。解散」


 セヴランの号令の下、部屋で行われていた数時間にわたる会議は終わった。しかし、対ロイヤルガードや己を取り巻いている何か、様々な事柄に縛られて、セヴランの心は休まることはなかった…………。

どうも、作者の蒼月です。

またまた遅れてすみませんm(__)m


今回から、少し平和そうな回ですね。まあ、平和ではないんですが……さて、次の回はリーナ達の買い物シーンとかですかね?(詳しい内容を決めてない作者)

皆が休むなか、心休まらないセヴランが少し可哀想……(まあ、この主人公に休みなんてないですけどね)


では、次も読んで頂けると幸いです。

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