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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第六章~世界を覆いし終焉~
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第百三十話~力を与えし者~

 セヴランの提案した意見。だが、これにバーンズは苦笑気味に笑い


「あのなぁ、俺だってそれぐらいはもう考えたさ。……けどな、そう簡単に見つらないから苦労してるんだよ。この手紙がどこから来てるのか調べようとしたが、どうやって俺の下に届けてるのかさえ分かんねぇんだ」


 バーンズはお手上げだと言わんばかりに手を上げ、セヴランの考えは無理だと答えた。

 勿論、普通に考えればセヴランの考えは誰もが思い付くものであろう。バーンズも同じことは考え、幾度となく手紙の送り主を探そうとした。しかし、伝書鳩を使って手紙を運んでいることは分かっても、その鳩の後を追うことに成功したことはなかった。

どれ程の訓練を行った鳩なのか、各森などを縫うように移動し、移動する足に自信のある諜報部隊の者達を難なくあしらってきたのだ。

 お手上げと言うバーンズ。それは皆納得できる話であり、セヴランの意見は諦めるかのように思われた。しかし、セヴランだけは冷静に手紙の主のことを想像し


「……バーンズ、今その手紙はあるか?」


「ん?あ、あぁ。あるけど、これがどうかしたのか?」


 バーンズは自身の服の内ポケットを探り、小さな紙を取り出した。これをどうするのか、誰も分からずセヴランに視線が集まる。

 すると、セヴランは紙を机の上に置くと……鏡とは何か違う、透明なガラスのような物を取り出し、それごしに紙を見始めたのであった。


「セヴラン、それなに?」


 その場にいた全員が不思議そうに眺める中、他の者達の気持ちを代弁するかのようにリーナが呟く。セヴランは何かおかしいことでもしたかと不思議そうな顔を返して、手に持つ物を見せ


「これは形の変わったレンズを組み合わせたものなんだが……これがどうかしたのか?」


 レンズを組み合わせる。正直なところ、セヴランの言っている言葉の意味はリーナ達はあまり理解出来なかった。なにせ、ここにいる者は知識があるといえど、あくまでそれは戦闘や政治に関してである。道具等の仕事は、本拠地に残っている武具関連の生産する親方シドの役割である。リーナ達は、そこまで道具というものに対する知識に興味はなかった。それでも、セヴランの持つ道具に対する興味は尽きなかった。


「それ、何が出来るんだ?」


「私も気になります」


 ここで、今まで場違いとは言わないまでも、発言できる空気でなく黙り混んでいたバウルとギーブが覗き込み、セヴランの持つ道具に近寄ったのであった。

 二人はセヴランの手元を覗き込むように視線を向け、そして一つのことに気づく。


「おいおい、なんだこれ。なんか、向こう側が歪んで見えるぞ」


「バウル、これは歪んでるのとは違うでしょ。……小さくなっているって感じですね」


 二人の驚きに、バーンズにリーナにエメリィ、更にはキルまでもが覗き込んできたのであった。

 セヴランは自身に集まる皆に更に疑問の表情を向け


 ……これ、そんな珍しいか?確か、レンズだけなら本基地にもあったよな?


 セヴランは全員にレンズを見せると、それを紙に近づけ、レンズ越しに紙を見るのであった。その様子を皆も覗き込み、七人で小さなレンズに集まるという、なんとも変わった様子が生まれていた。


「セヴラン、それでそのレンズを使って何が分かるの?」


 リーナの質問に、セヴランは作業を続けたまま答え


「これで、紙の表面を見てるんだ。鳩が運んでるってことは、どこかの土や草なんかがついてるかもだからな。それを、このレンズで確認するんだ。これを通して見れば、普段は見えにくいような小さな物も、拡大してみれるからな」


 セヴランの説明に、リーナ達は理解と驚きを示し、セヴランの作業を待つのであった。


「あのレンズ……あんな小さく作る技術はまだ無かったわよね?」


「あぁ、シドがもっといいガラスを寄越せとかぼやいてたからなぁ」


「でも、じゃあなんであんなものをセヴランが持ってるのよ?」


「さぁな」


 セヴランが紙を調べる作業中、その後ろでするバーンズとリーナの会話はセヴランの耳にも聞こえ、自身が何か特別おかしなことをしたかとセヴランは不安に包まれ


「なぁセヴラン……少し、質問をしてもいいか?」


 バーンズに話し掛けられ、セヴランは作業を止めて振り向き


「どうしたんだ?」


 バーンズは何かを躊躇うように一度視線を外し、少ししてから口を開き


「お前にそれだけの力を与えたという師匠……それは一体、誰なんだ」


 バーンズは笑みを消した表情でセヴランに問いかけ…………同時に大剣に手を掛けていた。

 そのバーンズ質問は理解できた。用は師匠についての質問であると。しかし、どうしてそこで、剣に手を掛けるのか。その理由が、セヴランにはまったくもって理解出来なかった。


 ……なんだこれ、なんでバーンズが俺に剣を?それに、何かキルからも殺気を感じるし……一体、なにがどうなってるんだ?


 焦り、セヴランの心を表すとしたら正にこれであった。理由が不明の敵対心。何故、これ程までにバーンズが過激な動きを取るのか。分からないことは多かったが、一つ確実に言えたのは


 ……下手な発言をすれば、殺されかねない感じだな……


 自身に向けられている殺気、これが本物であることは本能的に理解し、ここでの回答が重要だと考え、嘘偽りのない答えを述べた。


「俺の師匠は……名前は知らないが、元フィオリス軍にいた兵士らしい」


 セヴランは、間違いなく真実を述べた。だが、その返答を聞くなり、バーンズは唖然とした表情を見せたのであった。

どうも、作者の蒼月です。

ようやく、師匠のお話を出せますね~。ここから、少しづつでもセヴランとリーナの過去に触れていくので、回想なんかも増える感じですね。他のキャラの過去はその後になりそうです。


というか、この世界の技術水準ってなんかちぐはぐなんですよね~(自分で作っておきながら)

もう少し詳しく書きたいんですが、あまりそこには触れることが出来ないので、ご都合主義と思われないように説明を入れながら書きたいところです(なんせ、魔法があるのに科学技術があるのってなんで?みたいな感じですからね)

ここらへんは、FINAL FANTASY辺りと似た感じですかねぇ~(こんな凄い作品とは比べ物にならないぐらい、私のは幼稚なものではありますが(-_-;))


では、次も読んで頂けると幸いです。

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