表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
133/560

第百十七話~古き実力者、若き希望~

「……そろそろ、その戦法も見飽きました」


 ため息混じりにそう言葉を漏らすのは紅き帝国騎士、ロイヤルガードのリノームであった。

 リノームの周囲には幾つもの黒き影と、白を基調とした鎧姿の兵士達が群がっていた。だが、リノームを除けばそこに無傷の兵士はほぼおらず、殆どが手負いとなっていた。

 

「はぁぁあああぁぁぁ!!!!」

「これでおわりだぁぁぁ!!!」


 そんな手負いの中から、ブラッドローズの隊員である二人がリノーム目掛けて飛びかかる。二人とも、ブラッドローズの隊員達全員が使用する身体強化を用い、リーナやセヴラン程ではなくとも常人には出すことの出来ない速度で迫る。人数差を生かした、左右からの挟み撃ちの展開。一人は上からの降り下ろし、一人は下からの切り上げと、リノームが対処しづらいように立ち回る。

 この基本的ながら効果的な攻撃方法。これをブラッドローズの若き兵士が行えるのは、この時の為に積んできた五年間の訓練の成果であった。

 現に、実戦経験のある方面軍の兵士達でさえロイヤルガード相手には殆ど手出しが出来ない中、ブラッドローズの隊員は経験の差を魔法による身体強化と互いの連携で補っていた。だが…………


「はぁ…………見飽きたと言った筈ですが」


 高速で迫る二人に対し、リノームは再びため息を吐いた。そして、その手に握る異様な剣……その柄からも刃が伸び、中心に持ち手を持つ己の背程ある剣を構えた。


 ……先に来るのは右か。まずはそっちの対処からだな。


 リノームは一瞬で、迫る兵士の対処する順番を決めた。そこからの動きは流れるようにスムーズであった。

 リノームは右からの攻撃、降り下ろしの攻撃に対し、迫る刃に対して突きを放ち、的確に攻撃を弾いた。


「――――ッ!」


 だが、リノームの攻撃が持ち合わせるのは的確さだけでなく、その爆発的な威力で刃を弾かれただけでありながらその影は後ろへと吹き飛ばされた。

 だが、それだけでリノームの動きは止まらない。右へと向き、突きを放ったリノーム。その背は無防備を晒しており、迫っている切り上げの攻撃にたいする対処が必要であった。

 故に動く。背後へと僅かに視線を向け、そして…………柄から伸びる反対側の刃で突きを放った。

 通常の剣ならば不可能な攻撃。その動きは、剣というよりは槍の尻柄での攻撃のようであった。だが、リノームのその動きは鋭く、迫っていた刃に難なく命中させた。


「くそッ!」


 ブラッドローズ側の攻撃は失敗に終わる。こうした攻防を、リノームは既に二十分以上続けていた。だが、誰一人としてリノームに掠り傷一つ負わせることなく、戦いはフィオリス側に負傷者を出すだけであった。


 二人の攻撃を無力化したリノーム。だが、そこで次に迫った気配に気付き刃を振るった。

 刃を振るった先、全力で振るった刃は迫っていた刃にぶつかり高い音を鳴らせた。


「ぐ――――ッて、不意討ちとは言わないまでもいい攻撃だと思ったんだがな。やっぱロイヤルガードの名は伊達じゃねぇよな、リノーム」


「ぐッ――――バーンズ・カーマイン、私と競り合うとは流石と言ったところでしょうか」


 リノームに斬りかかったのはバーンズであった。バーンズは二人の攻撃を囮とし、リノームに斬りかかる隙を作り出して擬似的な不意討ちを行った。だが、結果としては失敗に終わり、二人は全力でつばぜり合いをすることとなる。


「お前さん、相変わらず自己評価高いねぇ~。お前みたいな青いガキに、俺様が遅れをとるかよ」


「ふん、それはもう何年も前の話です。昔の私と今の私は違う、今は誇り高き帝国騎士、ロイヤルガードそのものですッ!」


「そうかいそうかい、ヴァンセルトに続いて厄介なもんだな」


 二人が戦うのはこれが初めてではなかった。過去に、まだ戦争の始まっていなかった頃、帝国パラメキアとフィオリスの軍事演習を行った際、ロイヤルガードとバーンズは手合わせをしていた。無論、その際はどちらも本気の殺し合いではなかったものの、バーンズはリノームとリターシャの二人に勝っていたのだ。

 だが、バーンズは感じる。その時よりも確実に、リノームの実力が上がっていることを。


 ……やべぇな、こいつはとんだ化け物になってやがる。一体、何をしたらこんなに強くなるのかねぇ。


 バーンズは思う、現状が不利であると。このつばぜり合いも、力比べでは若干ながら押されているのであった。今は辛うじて保っているものの、その均衡はいつ崩れてもおかしいものではなかった。

 そんな危ない状況に、バーンズは冷や汗を流すと同時にほくそ笑み


 ……まあ、誰も俺一人で戦う訳じゃないしな。


 そして、バーンズの予定通りことは進んでいた。


「!?」


 バーンズと力比べを続けるリノームであったが、最も警戒していたバーンズに集中していた為に新しく迫った攻撃に気づくのが僅かに遅れた。そして、その声は響く


「これでも喰らえぇぇぇぇッ!!!!!」


 その声は、リノームの背後から大剣を振い飛びかかるバウルのものであった。

どうも、作者の蒼月です。

今回はまあまあまともな戦闘でしたね(主にモブ)。モブと言っても、一応は精鋭なんですよ?これでも。そこらへんの説明は、また本編でするのでここでは割愛しますが。


あと書いてて思うのが、名前が似すぎですよね。リノームとリターシャとか、バーンズとバウルとか。本当にややこしい(はい、決めたの私です。分かりづらくてすみませんm(__)m)

会話文があれば、少しは分かりやすいですかね?なんとかしたいとこです。


では、次も読んで頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ