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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
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第百十六話~進行の意図~

 ヴァンセルトとセヴラン、リーナの三人が戦闘をしている最中、他のブラッドローズの面々と方面軍の面々、そしてロイヤルガードとの戦いは激戦となっていた。


 前衛部隊を率い、リノームを抑え込むように命令を受けたバーンズ。しかし、抑え込むことはかろうじてできていたものの、それは一部の兵士のみでの奮戦であった。


「くそッ!無事なのはどんだけいるッ!」


「さぁ、全体で見ればほぼ壊滅じゃないですか。」


 ブラッドローズの部隊がリノームに突撃を掛ける中、少し離れた位置でバーンズは自身の後ろに向けて確認の声を送る…………が、それに反応するのはバーンズの隣にいたバウルだけであった。

 バーンズは己の後ろに視線を向ける。そこにあったのは、ハーフプレートの上から体を斬り裂かれた兵士の骸と、辛うじて生きてはいるものの重症で動けない方面軍の兵士達であった。

 こうなった状況にバーンズは軽く舌打ちをするが、無理もない話であった。ここまでリノームはヴァンセルトとは違い、バーンズらブラッドローズの面々を無視し、方面軍への攻撃を優先していた。勿論、ただ見ている訳ではなくバーンズらも反撃はしていたが、リノームに傷を与えれる人物は限られていた。リノーム一人相手に、バーンズらは苦戦を強いられていたのだった。


「この様子じゃあ、うちの連中もいつまでもは持たねぇ……一人ででもやるしかねぇか」


 バーンズは決意する、軍勢を相手にする化け物の一人であるリノームを一人で抑え込むことを。現状、確かにバーンズであればリノームを一人で相手にすることは可能である。そうすれば、ブラッドローズの隊員達にも無駄な被害を出すことは抑えれる。

 そして大剣を構え直す。が、それはバーンズだけではなかった。


「あんた一人だけってのは流石に無茶だろ。セヴランの指示なんだし、俺もやらせてもらうぜ」


 バーンズ一人に無茶はさせられないと、隣のバウルもその大剣を再び構える。バウルは実力こそあれど、所詮は身体強化の魔法さえない普通の人間である。それはバーンズも同じであったが、バーンズとは年季の差がある。故に、ここでバウルがリノームに挑むというのは死と同義であり、それにはバーンズも驚きの表情を見せる。


「はっ、バウル、お前さんは頭は悪いとは思ってたが、あれに挑むとか馬鹿じゃねぇのか」


「あんたもあれに挑むんだ、馬鹿の仲間が増えただけだろ?それに、ロイヤルガードが今攻めてきた意味も見えない。この戦争を止める為には、今はまだ兵力を失う訳にはいかないんじゃないか」


「……………………」


 バーンズはバウルの言葉に返せなかった。そう、現状ロイヤルガードが攻めてきた理由を誰も理解出来なかったのだ。




       ――数時間前、馬車にて――


「ロイヤルガードの進行……想定よりも早いな」


 セヴランは腕を組み、国の書かれた地図を睨みつつ呟いた。


「何が早いのかしら?」


 セヴランの呟きにリーナは不思議そうな表情で問い、これにセヴランは持っていたペンで地図に記されたアイゼンファルツ基地を指した。


「いや、ロイヤルガードの今までの戦闘の記録なんかは資料で読んだ。どれも化け物だったが……気になるのはその進行速度だ。なんで、一騎当千と吟われるロイヤルガードはこうも早く動けた……キルから聞いた話だと、ロイヤルガードがレギブス方面の戦線を離れてからそうは経ってないはずだ。なのに既に攻めてきている。これじゃあ、たとえ基地を落とせても占領が出来る程の戦力で進行は無理だろ」


 セヴランの疑問にリーナは分からないと首を傾げ、同じ台車に乗っていたバーンズが意見を上げた。


「まあ、あいつらとしては部隊を使わなくてもこの国を落とすのは簡単ってことじゃないのか?一騎当千の化け物なのは確かだ、正直なとこ三人相手に一方面軍を滅ぼされてもおかしくない実力を持った連中だからな」


 バーンズはあきれぎみにロイヤルガードが化け物だと笑う。事実、この一ヶ月程前には、ヴァンセルト一人にアイゼンファルツ基地は一度陥落しているのである。バーンズの言葉通り、軍を動かす必要がないという判断でロイヤルガードが動いている可能性は充分にある。しかし、それでもセヴランの疑問は消えず


「今回の進行、国よりも何か別の意図があるんじゃないか…………」


 セヴランはロイヤルガードの進行から見え隠れする別の意図に、謎の違和感を抱いたまま戦場へと急いだ…………。




「こりゃあ、セヴランの言った通り何か目的があるんだろうな」


 バーンズはセヴランの言葉を思いだし、その意図を思考する。が、そう簡単に分かる訳もなく、バーンズは目の前の仕事を片付けることに集中するのであった。


「よし、行けるかバウル」


「いつでもいけらぁ、とっととあれを抑えてセヴラン達を助けてやらねぇとな」


 バーンズが視線でバウルを見ると、その表情は笑って入るものの緊張は隠せずにいた。バウルも覚悟こそ出来てはいたが、ロイヤルガードの実力を目の当たりにして死の感覚を味わっていたのだ。

 そんな緊張状態なのを察し、バーンズは軽くバウルの背中を叩き


「気楽に行くぞ、大丈夫、死ぬときゃ死ぬからよ」


「……やっぱ、バーンズ将軍ってのは馬鹿なんだな」


「元、将軍な」


「どっちでもいいだろ」


 バーンズの普段と変わらない姿。これに、バウルも緊張は僅かにほぐれ、目の前の戦闘をしているリノームに鋭い視線を向けた。

 そして…………


「行くぞ、バウルッ!」


「おうッ!」


 そしてバーンズとバウルの二人は刃を向け、リノームへと駆けていった。

どうも、作者の蒼月です。

なんか、想定よりこの戦闘が長引いてますねぇ……まあ、必要な話なので仕方ないですが。

そして、前回の話は変な形での更新で申し訳ありません。今後は、また普通に新規で投稿するのでお許しをm(__)m


まあ本編は、今回は戦闘シーンほぼなしですからねぇ~次はありますが、リノームの活躍の回になるかと(敵の活躍を書いてどうするって話ですけどね)


では、次も読んで頂けると幸いです。

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