表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
124/560

第百八話~獅子と影~

 パラメキア方面アイゼンファルツ基地、その外敵を阻む城門は見るも無残な姿になっていた。石材と金属で作られ、傷つけるのも容易ではないそれを、二人の兵士と相対するヴァンセルトは生身で破壊してのけたのであった。


 剣を地に突き立てたまま不動を貫くヴァンセルト。その姿は騎士の気高さを見せつつも、その背後にある防壁の破砕された姿がヴァンセルトの力をより強調させ、正に獅子といった風格であった。


 ……化け物が……降伏だと、俺達にそんな権限があるわけないの分かってて言ってやがるな


 ……敵の狙いははなからこの国の占領、とすれば、俺達がここで引く訳にはいかないッ!


 特別な役職を持つわけでもなく、尋常でない強さを持つわけでもない普通の兵士である二人。しかし、二人は迷いなく剣を引き抜き、その刃をヴァンセルトに向けた。


「ほぉ、降伏はせずに刃を向けると。だがいいのか?降伏を受け入れないのであれば、私は諸君らにこの剣を抜くことになるぞ。それに、国の民を思えばここは引くべきではないのか?」


 ヴァンセルトは無表情とはいわないまでも、殆ど動かすことのない表情で二人に鋭い視線を向ける。その圧倒的な威圧感に二人は背筋を死そのものになぞられるような感覚に囚われる。

 しかし、それごときで心が負けるようではフィオリス国軍は務まらない。だから剣を向ける。視線をむける。死を前にした、守るものの為に全てを賭ける者の目を。


「いいだろう、かかってこい」


 ヴァンセルトは二人の覚悟を理解し、剣を引き抜くと真正面に構え、戦闘の構えをとるのであった。


「行くぞッ!」


「おうッ!」


 兵士は駆ける、ヴァンセルトの元へと。刃を地に擦りつつ、姿勢を可能な限り低くし、最速で攻撃を狙う。

 一人が左、一人が右から切り上げでの攻撃を放ち、普通の人間ならば避けることは一撃。一瞬で実力を発揮し、息の合わさった動きが出来るだけでもこの二人が充分にエリートであることを示していた。だが、相対する者が悪かったのだ…………。


 ヴァンセルトは静かに目を閉じた。そして、構えていた大剣を首の後ろまで回し


「――――ッ!?」


「――――ッ!!」


 二人は切り上げの為に振り抜こうとした剣を止めた。そして、感じ取った恐怖に対応するようにとっさに剣で体を守るように刃の腹を構えた。

 そして、その予感は的中し、二人は身を持ってしてヴァンセルトの力を知らされることとなる。


「消えろ、名も無き兵士達よ」


 ヴァンセルトは言葉と共に剣を振り抜いた。そう、ただ振り抜いた。だが、それによって生まれたのは、異様な剣圧による空間を裂く一撃であった。


「ぐッ――――あぁぁぁ!!!」


「――――――――くそッ!」


 とっさに攻撃から防御に切り替えていた二人、その一瞬の判断で身がバラバラにされることはなんとか防ぎ、剣圧によって後方に吹き飛ばされることだけで済んだのであった。

 二人は投げられた空中から地面へと体を打ち付けながら転がり、剣を地にさして制御を取り即座に体勢を立て直す。

 しかし、上げた視線の先にあったのは剣を振り抜いたヴァンセルトの姿でなく…………


「遅いぞ」


 目の前に迫り、既に剣を振り上げたヴァンセルトの姿であった。


「――――あ――――ぇ――――」


 剣を向けられた兵士は何が起きたのかが分からない。ヴァンセルトは剣を振り抜いた直後に、一瞬で移動をしていた。だが、普通の人間にそんな芸当が出来るわけがなく、正に化け物という言葉がヴァンセルトを評価するそのものであった。

 そして、ヴァンセルトの剣が降り下ろされる。それを、兵士が回避する手段はない。兵士は諦めるつもりはない、しかし、出来ることはもうない。自分がここで死ぬのだろうと容易に想像でき、その瞼を閉じるのであった。


 ……あぁ、最強たるロイヤルガード……その実力を味わえただけでも俺は運がよかったのかもな…………。


 降り下ろされる剣、それは兵士へと迫る。そして、兵士はいつでも受けれると目を閉じて待つ………………しかし、その剣が兵士を裂くことはなく、変わりに響いたのは鉄と鉄のぶつかりあった高い金属音であった。


「――――え?」


 兵士は目を見開く。そして、視界には見慣れない黒いマントを羽織った男の姿があり、その男はヴァンセルトの剣を受け止めていたのであった。

 ヴァンセルトも唐突に現れた男の姿に驚きを隠せず、今まで動かすことのなかった眉を動かし、問いを一つ投げ掛ける。


「なんだ貴様、私の剣を受けるとは一般兵ではあるまい。何者だ」


 ヴァンセルトの問いにフードで顔まで隠した男は問いをすぐには返さない。しかし、その影から覗く青い瞳は鋭く、ヴァンセルトの迫力に圧されることなく睨み付けるのであった。


「…………我らはブラッドローズ、この戦争を終わらし、お前達を終わらせる者だ…………」


 そう一言を告げ、ヴァンセルトの剣をキルは弾き返した。これにはヴァンセルトも想定してなかったこと故に距離を取り


「ほう、ブラッドローズ……聞いたことがないな。だが、我らの皇帝の意思、民を虐げる者となる貴様らを我は見逃しはしない。貴様らの力、見せてもらうぞ」


 ブラッドローズの諜報員たるキル、そして大陸最強のヴァンセルトは対峙する。獅子と薔薇の、初の戦いの幕開けであった…………

どうも、作者の蒼月です。

いや~この話、本当はもっと早くに投稿するつもりだったんですが、仕事前まで寝てて遅れました。


まあそんなことはどうでもよくて、内容ですがそろそろ5章が終わります。ロイヤルガードも出て来て、近いうちに懐かしのキャラやけんも出たり?(まあ、覚えてる方はいないと思いますが)


では、次も読んで頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ