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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
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第九十九話~常識は破られる~

「それでお嬢、まずはどうするよ?」


 模擬戦を終えた闘技場で、リーナの言葉にバーンズは次の指示を出してくれとセヴラン達に近づいてきた。

 戦闘の間、バーンズとエメリィの二人は闘技場の出入り口付近で待機しており、戦闘が終わった今は上の観客席からバウルやギーブら特別遊撃隊の者達を引き連れてきていた。

 バウル達も次に何をするのかと多少受かれているようであったが、セヴランは落ち着くようにと目線だけで指示を飛ばした。


「そうね、まずは皆を兵舎に案内しましょうか」


 リーナは闘技場の外を指差し、セヴラン達も同じ方向に視線を向ける。

 その方向にあるのが自分達の住むことになるである場所であろうとセヴランは想定し、進み始めたリーナの後を追うように闘技場を後にしたのであった。




 闘技場を後にし、リーナを先頭にセヴラン達は長い渡り廊下を進みながら何処かへ向かう。特別遊撃隊の面々もいるため、かなりの大所帯での移動ではあったが、そもそも広い面積を持つこの地下空間の建物では、軍の関係者程度しかいない為に気にする必要はなかった。

 特にすることなく、歩くだけのセヴランは地下にいるはずなのに見える青空を見上げ、ふとリフトでのリーナとの会話を思いだし


「なあリーナ、さっき……まあ少し前か。この空のことなんだが…………どういう仕組みなんだ?」


 セヴランが聞いたのはこの空についてだった。この地下につく間に見た空、それは確かに本物の光であり、地上と変わりないものであった。

 リーナは足を止めることなく、セヴランの言葉に言葉だけで返し


「あぁ、そう言えば話すの忘れてたわね~」


「おいおい、しっかりしてくれよ……」


 セヴランはリーナの記憶力の無さに心配をするが、リーナはそんなセヴランの心中を知ることもなく、説明の言葉をつくる。


「この空の光は確かに太陽の光よ。だから昼間は明るいし、夜になれば暗くなるわ」


「…………???」


 疑問、セヴランに浮かんだのはそれだけであった。リーナの言葉だけでは何を言っているのかが理解出来ず、更に詳しい情報をセヴランは求め


「どういうことなんだ?なんでこんな地下に太陽の光が来るんだ。少なくとも、ここ以外の階層はこんな光はなかったぞ?」


 セヴランの理解の及ばない二つの点。それは、一つは太陽の光をどう集めているのか。もう一つは、何故この階層だけが地上と同じような自然の状態をつくれているのかということであった。

 この疑問は、勿論セヴラン以外のバウルやギーブ達も抱えている疑問だった。故に、歩いている間も特別遊撃隊の面々は周囲を好奇心溢れる瞳で見渡していた。

 そして、そんな皆の疑問に答える為にリーナは言葉を探すが


「う~ん、そうね……よく、分かんない……って言うよりは、術式は分からないって感じかしら」


「術式?」


 魔法を起動させる為に構築する術式、その単語が出てきた理由をセヴランは考え


 ……魔法に関係……ってことは、これは魔法で光を集めている?


 セヴランが思いついたのは一つの誰でも考えるような可能性であった。しかし、それは魔法を少なからず学んだ者であれば分かることであるが…………


「魔法で光を集めるなんて不可能だろ」


 光を集める魔法、そのような魔法は夢物語のものである。熱や水、風や土など存在するものは魔法を通して操ることが出来る。しかし、光などと言う目に見えても物質として見えないものは操ることなど不可能なのである。

 それは、基礎の四属性の魔法の学べば誰もが理解するものであった。


「えっとね、それは――――」


「不可能なんかじゃないわよ」


 そんなセヴランの、魔法を学んだ者達の常識を否定する声をあげたのは、リーナの言葉を遮ったエメリィの言葉であった。

 セヴランは声のした後ろに振り返ると、そこには不可能という言葉を強く否定したエメリィの凛とした表情が見えた。


「不可能じゃない?だが、光を集めるなんて…………」


「光を物質として捉えれたら、どう?」


「は?」


 セヴランが不可能であると言おうとした言葉に被せ、エメリィの吐いた一言。それは、常識からかけ離れたものであり、理解など出来るはずがなかった。


「光を、物質として?」


「えぇ、光も他の魔法の属性と同じ。物質として操れば、光を集めることも可能よ」


「そんなことが、可能なのか……」


 セヴランは、己の中の常識が崩れる感覚がした。エメリィは魔法に関しては、この大陸随一ともいえる腕の持ち主であり、そのエメリィが言うのであればそういった魔法もあるのだろうと謎の確信を得た。

 正直なとこ、それを間に受けて簡単に信じれるかといえば難しいものである。しかし、今のセヴランには判断材料もないため、エメリィの言葉を受け入れるしかなかった。


 ……このブラッドローズの持ってる力は、まさか他の大国と本当に渡りあえるものなのか?


 セヴランは、ブラッドローズの実力をまだ知らない。しかし、ここから徐々にその全ての力を知って行くこととなるのであった。

どうも、作者の蒼月です。

まあ、今回はきちんと投稿出来ました。


内容に関してですが、今回は魔法辺りの掘り下げの準備でしたね。この世界の魔法も、まだ出ていないだけで色々あるので、今後出していきたいところです。

ちなみに、セヴランの「銀世界」は基礎四属性の魔法ではないですが、原理としては熱魔法と呼べなくもないんですよね。しょせん氷は、熱を奪った水分でしかないので。そこら辺の詳細も、本編かEX回で書いていきたいところです。


では、次も読んで頂けると幸いです。

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