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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
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第九十七話~二度目の模擬戦の決着~

 セヴランとリーナ、そしてモース達の戦う様子に周囲の観客席で見ていた者達は熱狂的な程までに盛り上がっていた。

 ブラッドローズの戦闘要員のうち、セヴランの実力を信用しきれていなかったのが八割を超えていた。しかし、目の前で繰り広げられた攻防でセヴランの実力を認めざるを得なかった。


「す、すげぇ!あのモース隊長に一歩も比毛をとらないぞ!」

「あぁ、しかもニンズウ差は九倍だぞ。普通、とっくに終わってる筈の戦いなのに……」

「やっぱり、リーナ様が言ったようにあのセヴランって人の実力は確かなんじゃないのか?」


 セヴランの実力を初めて目にした者達、彼らは驚き、驚愕し、しかしそれを否定する者は既にいなかった。


 観戦するブラッドローズの様子に、こうなることを理解していたバウルやギーブは満足気に笑みを浮かべていた。


「まったく、ようやく実力を理解するとは、遅いものです」


「まあ、そう言ってやんなよ。だが実力が伝わったところで、問題はこれからだろ」


 バウルは視線を戦うセヴラン達に向け、ギーブも合わせて視線を向けると二人は笑みを消して、真剣な眼差しでセヴランの現状を観察した。


「いくらセヴランでも、あの異様な速度を持つ連中を同時に相手するのは不利だろ」


「えぇ、あのリーナさんの実力が確かなのは分かりますが、それでも人数差の穴は大きい。それを打破できるなにかがあるかどうか……」


 ギーブは、現状のセヴランがかなり不利であると判断していた。セヴランの最大の武器は『銀世界』による高速戦闘、しかし、同じ高速戦闘という土俵で戦うのであればセヴランの魔法はいささか使い勝手の悪いものであった。

 己の体に対する負担を鑑みず速度を引き出す『銀世界』、対してブラッドローズの部隊が用いるのはリーナと同じ自身を強化して速度や高い身体機能を引き出す魔法。その根幹にある性質は全くの別物であり、長期戦となるのであれば体に負担の少ないブラッドローズの隊員が有利である。

 魔法による不利、更には人数差による不利、それらの条件の中でセヴラン達の勝てる道があるのかどうか、バウルとギーブはセヴランとリーナが負けないことを祈りながら、ただ信じて見守るのであった。




「本気だと?お前達二人だけで、何が出来るッ!」


 セヴランの自信溢れる言葉に、モースは負ける気など微塵もなく答える。だが、モースはそのセヴランの自信がはったりではないことを、身をもって知ることとなる。


「お前達、一斉にかかるぞッ!」


『了解ッ!』


 モースの号令の下、兵士達はセヴラン目掛けて一斉に飛びかかる。

 しかし、その攻撃は放たれることはなかった……


 セヴランは動く、敵の攻撃をもらわない為の回避の動き。しかし、それだけではなく、セヴランはほんの一瞬だけ全力の殺意を解放した。


「――――――ッ!」


 セヴランの殺意、戦場で培われたそれは獰猛な獣のようなものであり、実力の高い者程それに気づいてしまい、動きに僅かな遅れを生じさせた。

 それを見逃す程セヴランは優しくはなく、迫る兵士達へとセヴランは自ら飛び込んでゆく。


 迫る複数の刃、セヴランはその全てを見切り……一瞬でモース達の視界から消えた。


「なッ!どこに行った!?」


 モースや兵士達は辺りを見渡す。が、セヴランの姿、そしてリーナの姿も見当たらない。

 しかし、姿がなくともそこには音が響いた。


「グ……ガハッ!」

「な……何が……」


 モースは背後の仲間の声に振り向く。するとそこには、地面に叩きつけられて倒れ付した四人の仲間の姿があった。

 モースは現状の把握が出来ず、セヴランの姿を探そうと周囲を見渡し


「な!?く……どこに――――ッ!」


 モースの言葉は止まる。それ以上を口にすれば、首に当てられた冷たい刃が己の首を狩り取ると本能が理解したからだ。

 冷たい冷や汗が額を流れ、心臓の音が早くなると更に恐怖は大きいものとなっていく。


「どうした?さっきまでの威勢は何処に行ったんだ。まあ、これが戦場ならお前は既に死んでいた訳だが」


 モースは己の背後に立つセヴランに向かって振り向けない。本能がそれを拒んだのだ。


 ……何故だ、どうして背後をとられたんだ!?何でこいつは視界から消えたんだッ!


 モースの中に疑問が連鎖する。理解が及ばず、そこには焦りが生まれるだけであった。


「何が起きたか分からないってところか」


「――――――――――ッ!」


「当たりだな。そんなに感情を剥き出しにしてたら、お前の考えることなんて手に取るように伝わってくるぞ」


 モースはセヴランに心を読まれたことに全身が硬直する。嫌な汗が流れ、恐怖心は増大の一途であった。


「じゃあ答え合わせだ。リーナ」


 セヴランはリーナの名前を呼んだ。そして生まれたのは、十三の剣撃の閃光と、残っていたモースを除いた十三人が倒れる光景であった。


「お前達!な……何故……彼らとて実力は確かな者達だぞ!」


 モースは簡単に仲間が倒されたことに納得がいかず、叫びをセヴランにぶつけた。しかし、それに答える声を生んだのはセヴランではなかった。


「どうしたのモース、貴方達の教えた通りの剣で私に敵うと思ったの?単に速さだけで撹乱して、正確な一撃ばかりを放つ貴方達の攻撃なんて、想像するのは容易よ。だったら、後は攻撃を避けて一撃を叩き込んだら……こういう風になるのよ」


 そう言うと、リーナは地面に倒した兵士の一人を剣の鞘でつついてみせた。


「リーナ、流石につつくのは……まあいいか。それじゃあモース、今後の為にも、俺達の実力を認めてもらう為にも今の戦闘の解説といこうか」


 こうして、あっという間に模擬戦の決着はついた。こうして、実戦を戦い抜いたセヴラン達の実力は確かなものと伝わり、ブラッドローズに認められることとなるのであった。

どうも、作者の蒼月です。

想定通り遅れました、スミマセンm(__)m

でも、モンハンというより私生活が忙しいのが問題ですね~モンハンも今回はそこまでやってる訳じゃないので。

どうにかして、小説の執筆時間を確保したいですたい…………


では、次も読んで頂けると幸いです。

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