表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
112/560

第九十六話~実力の差~

「はぁぁぁぁぁ!!!!」


 先制攻撃を仕掛けたのは、構えるセヴランとリーナの二人に向かい突撃を敢行したモース側の兵士達であった。

 リーナが口にしたように、身体強化の魔法を使用している彼らの速度は早く、それぞれの間の距離を一瞬で詰めてきた。


「早いッ!」


 セヴランとリーナは、それぞれ自身に向けられた複数の剣先を己の剣で弾いた。だが……


「――――――ッ!」


 セヴランはとっさに膝を曲げて姿勢を落とし、背後に迫った殺気に反応した。

 見ると、寸前まで自身の上半身があった場所にはモースの剣の軌跡が走っていた。


「今のを避けるとは、それなりに実力はあるようですね。しかし、その程度は当然ですねッ!」


 モースは剣を振り下ろし、姿勢を落としたセヴランに向けて隙を与えないように二撃目を放つ。これにセヴランは回避を取ろうと動きを見せるが、モースもそれを許さず


 ……逃げさせてはくれないか


 セヴランは己の回避の為に周囲を見渡したが、セヴランが回避を行える場所には既に敵が展開していたのだった。

 回避を行えば敵の迎撃、回避をしなければモースの一撃をくらい負け、故にセヴランは躊躇せずに行動を起こす。


「何ッ!」


 モースはセヴランの行動に驚きを隠せなかった。

 セヴランが行ったのは単なる受け流しであった。しかし、モースが驚いたのは受け流しそのものでなく……


「あのタイミングで、見ずに間に合うのかッ!?」


「タイミング?よく分からんが、あの程度で驚くようじゃまだまだだな」


 セヴランが行ったことは簡単であった。後ろを振り向かず、モースが攻撃してくるであろう軌跡を予想し、そこに己の剣の角度をつけて受け流しをしただけであった。

 言葉にすれば簡単なこの一連の動作、しかし、これを戦いの中で迷いなく行えたセヴランの実力にモースは驚きを隠せなかったのだ。

 セヴランはモースが驚く間に体を引き起こし、体勢を立て直す。見ると、リーナも他の兵士達の攻撃を全ていなしきり、互いに体勢を立て直したことを理解した。


「それでモース、お前達の攻撃は終わりか?」


 セヴランは、リーナの言葉から知り得たモースの名を呼び、実力を出させる為に挑発するように笑ってみせた。


「馬鹿にするつもりかッ!」


 モースはセヴランの挑発に乗り、敵意を剥き出しにしてセヴラン達に再び攻撃を狙い始める。


「はぁぁぁぁぁ!!!!」

「逃がすかぁぁぁ!!!」


 ……こいつらは獣か何かなのか?


 セヴランは叫びながら高速で突撃してくる兵士達を獣と評した。

 リーナまでは及ばなくとも、身体強化から得た速度はセヴランといえど目で捉えるのは困難であり、感覚は獣に追われるそれであった。

 兵士達は正確にセヴランの心臓や首といった弱点を狙い攻撃をしてくる。

 迫る攻撃の数々をセヴランはどれも紙一重のところでかわすか、剣で受け流して無力化さしてゆく。

 リーナも同じように回避と受け流しを続け、兵士達の猛攻が休むことなく続けられる。




 セヴランとリーナは繰り返される攻撃を暫くの間避け続けていると


「避けることしか出来ないのかッ!」


 モースはセヴランに向け、挑発するように攻撃とともに言葉をつくる。しかし、その程度の挑発にセヴランが乗るはずもなく


「お前達こそ、十八人もいてたった二人を倒せないのか?」


「減らず口をッ!」


 モースは己の向けた挑発をかわされ、更には挑発に再び乗り怒りの形相でセヴランに迫る。


 ……まあ、そろそろいいか……


 セヴランに迫るモース。勿論、モース以外の兵士もセヴランに向けて刃をへ迫らせる。しかし……


「遅いな……」


 セヴランに迫った刃は、その全てがかわされ、更には弾かれていた。


「な、ど、どこにッ!?」


 モースの視界から、セヴランは消えていた。正面に捉えていたはずのセヴランが一瞬にして消え、しかし、響いて聞こえる声にモースは「どこ」という問いの言葉を叫ぶ。

 その問いに、セヴランは優しく答えることとした。


「ここだよ」


 その一言とともに、セヴランはモースの肩を後ろから軽く叩いた。モースは背後を取られたことに体を震わせるが、後ろへと振り返りはしない。

 よく聞くと、モースの鼓動はあがっており、恐怖でも感じたのかという状態であった。その周囲の兵士達も同様に、セヴランの動きを捉えられなかったことに唖然とし、動きを作ることが出来なかった。

 その様子に、セヴランは期待していた気持ちは冷め


「はぁ……この程度で動けなくなるようじゃ、まだまだだな。俺は単に攻撃を回避して、モースの後ろに回っただけだ。その速度を目で捉えられなかったからといって、戦場でそうやって動きを止めるのか?」


 セヴランの問いに答えはない。あるのは、ただ状況の理解を急ごうとし、セヴランに視線を向けつつも静止した兵士達だけであった。

 故に、セヴランはここで戦う意味を教える為に……


「なら教えてやる、俺達がどんな戦いを生き抜いてきたのか。今度は、手を抜かずに本気で挑んでやるよ…………」


 セヴランは刃を向ける、モース達に向けて。

 そして、遂に解放する。戦場で敵に向けて放つ、本気の殺意を…………。


 こうして、遂にセヴラン達は本当の意味での模擬戦を開始することになった。

どうも、作者の蒼月です。

またまた投稿遅れましたね~申し訳ないです


ここから私事なんですが、モンハンxx買っちゃいました。やるつもりはなかったんですが、友人に誘われたので買っちゃいました。

マズイですね~これ、投稿遅れる流れだ…………

まあ、小説の投稿に影響が出ない程度に楽しみたいと思います。


では、次も読んで頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ