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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
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第九十三話~集まりし部隊~

 セヴラン達を乗せた昇降機は地下の草原へと降り、その大地へとセヴラン達は足を着けた。


「おぉ……土と草だな、本当にここは地下なのか?」


 大地へと降りたセヴランは、足裏から感じる土の感触が確かに本物の物であると理解した。見上げる頭上には、太陽があるかのような明るさと青い空のような空間が広がり、地下と思うことなど難しかった。


「ん~~ッ、はぁ……ようやくこれで休めるわね。このリフトの移動は遅いから疲れるのよね~」


 セヴランの隣で背伸びをしながら、リーナはリフトと言うまたも聞き慣れない言葉を使用した。それが昇降機のことであるとセヴランは予想し、これからは言葉を覚えることが仕事になると理解せざるを得なかった。


「それでリーナ、俺達はあそこに行くのか?」


 セヴランは疲れている他の者達の足が止まらないよう、目指すべきであろう兵舎を指差した。

 それにリーナは「えぇ」と返し


「さあ、後少し歩いたら到着よ。全員頑張りなさい!」


 リーナの激励、それはない力を振り絞るには充分な理由であり、ブラッドローズの部隊は兵舎へと重い足取りながらも確実に進んでいった。




 リフトの乗り場からほんの少し歩いたら場所、草原に建てられた巨大な兵舎群にセヴラン達はたどり着き、門に吸い込まれるように全員が収用された。


「はぁ……ようやく休める……」

「あぁ、ここまで休みなしだからな。他の連中は限界だな」

「でもまあ、それは我々もですね……」


 セヴランに続き、バウルとギーブの二人も基地に入るとその場に座り込んだ。


「あらあらお疲れ様ね~」


 座り込むセヴラン達を覗き込むようにリーナは屈み、並ぶように隣に座った。


「リーナは、あいつらの指示はしなくていいのか?」


「いいのよ、ほっといてもバーンズがなんとかしてくれるわ」


 リーナは手で払う動作を見せ、半目でどうでもよさそうに残されたブラッドローズの面々に視線を向けた。

 セヴランも視線を向けたが、そこにはリーナの言うとおりバーンズが指揮を執る姿があり、リーナの役目は終わっていたのだと理解した。

 だが、リーナが指揮の全てを執ることなく、バーンズも指揮を執るのは一部だけ、この現状は部隊としては異様な光景であり


 ……なるほど、これが俺を指揮官として欲した理由か。全体を指揮出来る指揮官がいなければ、どんな部隊も有象無象の集団と変わらないからな。


 セヴランは自身がこの部隊に呼ばれた一番の理由を、広がる光景から理解した。

 部隊がどれだけの力を持とうと、集団となればその動きは個人と違い全てを発揮出来ない。指揮官はそれを管理し、状況から適切な指示を送り、部隊の力を引き出すのが仕事となる。セヴランが任されたのは、つまりはそういう仕事だった。だが……


「なんで将軍とかのバーンズじゃなくて、俺みたいな新兵を選ぶかねぇ……リーナとの個人的な繋がりで選ばれたとしたら、あの青年じゃなくても反感は買うだろうに……」


 ここで指す青年、それはブラッドローズでセヴラン達を認めなかった青年であり、現状最も反感を買っているであろう人物であった。あの青年から反感を買っているのは分かるが、セヴランの選ばれた理由によっては彼以外にも反感をすることをセヴランは危惧したのだった。

 しかし、そんなセヴランの心配にリーナは心配いらないと首を振ってみせ


「別に貴方を選んだのは何もそれだけじゃないわ。新兵でありながら二大隊の指揮をこなした、その実力を評価してのことよ」


「大隊の指揮……実際は何もしてないんだが」


「してるわ、貴方が認めようと認めまいとね」


「そういうものか…………」


 セヴランは自身につけられた評価を自身で認めることは出来なかった。大隊の指揮を執ったといえど、それは臨時での話であり、そこにセヴランの実力などはあまり意味のないものと本人は考えていた。だが、セヴランの意思とはかけ離れた出来事ばかりがセヴランを取り巻くのであった…………。




 地下基地へとセヴラン達がたどり着き、暫く息をつく時間を経た後にリーナは立ち上がり


「それじゃあ、全員に伝えなきゃね。誰か、キルのとこの部隊はいる?」


 リーナの呼び掛けは虚空に響く。そして、それに反応するかのように座って休むセヴランの周囲に影が現れた。


「……何でしょうか、姫様…………」


 セヴランが目で捉えた影の集団は、リーナ達と同じく黒い制服に身を包んでいた。リーナ達と違いがあるとすれば、それはローブで頭までを隠し隠密そのものであったことだ。


「皆をここに呼んで頂戴、今から部隊の説明をするから」


「……了解…………」


 こうして影は消えていき、各方面へと散っていった。


「さて、それじゃあ皆集まるし、休憩はそろそろ終わりにしましょうか」


「あぁ、そうだな」


 リーナはそう言って立ち上がり、合わせるようにセヴラン達特別遊撃隊も全員が立ち上がった。




 影が散ってから少しの後、セヴラン達が休んでいた建物入り口の広間に続々とブラッドローズに所属する部隊員が集まってきた。その人数は軽く二百を超えており、集まったのが戦闘要員とすればこの人数はなかなかなものであった。


「それじゃあ、戦闘要員は全員集まったわね。これから、ここにいる新しい仲間の紹介をするわ、全員これからは楽しくなるわよ」


 リーナは部隊全体に笑みを浮かべた。子供のような無邪気さと、妖気さをともなわせた悪魔のような笑みを…………

どうも、作者の蒼月です。

なんとか今日は更新できました。明日も続けたいなぁといったところです。

さてさて、今回は内容が本当に何も進んでいません。あったのはせいぜい、リフトという単語をセヴランが覚えた程度ですね~

しかし、次かその次には私の本領発揮ができる場面(雑魚の本領発揮なんで対したことない)があるので、それまで頑張りたいところです。


では、次も読んで頂けると幸いです。

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