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氷結の騎士は民を背に  作者: 蒼月
第五章~集いし精鋭、特務部隊は動き出す~
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第九十話~ロイヤルガードの実力~

 セヴラン達含むブラッドローズが王都を目指し移動を開始した次の日の朝、離れたパラメキアとレギブスの国境に一つの情報が伝わっていた。


「ふぅ…………」


「どうなされたのですか、ヴァンセルト卿?」


 早朝の太陽に照らされながら、ちょっとした岩場に腰かける紅い軍服の男、ロイヤルガードの一人であるヴァンセルトは声を掛けてきたロイヤルガードの一人であるリノームに振り向き


「いや何、ここ最近戦闘の連続で私も疲れてな。少し息をついただけだよ。それで、お前がここに来たということは、何かあったのか?」


 ヴァンセルトの的確な言葉に、リノームは頷くと一枚の紙を胸の内ポケットから取りだし


「うちの諜報部隊から急ぎで連絡が届きました。なんでも、フィオリスとレギブスとの国境戦で戦闘があったそうですが、十五万の部隊を相手に勝ったそうですよ、フィオリス側が」


 リノームの報告、その内容は普通の者ならば信じられないものであり、誰もが疑ってかかってもおかしくない。しかし、ヴァンセルトは目を瞑り、己の中でフィオリス側が勝つ道筋を想像し


「そうか、フィオリスか……あの国はまだまだ強いな。下手をすれば、我々と並ぶ強さかもしれんな」


「まさかご冗談を、我ら帝国騎士、ロイヤルガードに敗北はありませんよ」


「まあ、それもそうだな。で、レギブスを押し返したのはバーンズか?確か、前はアイゼンファルツ基地にいたようだが、レギブスの為に移動したのだろうな」


 ヴァンセルトは己の宿敵の一人であり、大陸内でも三本の指に入るバーンズの活躍だろうと予想していた。しかし、ここまで驚きを見せることのなかったヴァンセルトは衝撃の事実を聞くこととなる。


「いえ、それが……なんでも、一人の新兵が敵将カーリーの後を引き継いだとか、更には二大隊を指揮して部隊の運用まで行ったとか」


「新兵が大隊の指揮を?何かの間違いではないのか?」


「いえ、確かにここにはそう書かれています。更には、その兵の周囲の大地は凍てつき、目にも止まらぬ速さで動くとか」


 高速で動く敵、その情報にヴァンセルトは己の記憶を掘り返し


「まさか、アイゼンファルツ基地でうちの部隊が遭遇したというあれか、だが新兵というのは初耳だな……」


「いえ、それとは別……かと思います。 何せ、アイゼンファルツ基地で目撃された銀髪の女もバーンズと共に目撃されています。おそらくですが、バーンズと同等にあたる新しい兵士かと」


「ほう……バーンズと同等の実力者が二人も現れたということか……これは、早めに相手をしなければな。報告は以上か?」


「えぇ、めぼしい情報はこれぐらいですね。どうします、七極聖天もこれに合わせて一時後退するようですし、我々もここで体勢を整えますか?」


「そうだな……そうするとするか」


 ヴァンセルトはフィオリスとレギブスの動きを知ったことにより、次の行動の為に座っていた岩場から腰を上げ踵を返して陣地へと歩き出した。

 陽に照らされ始めた、千を超えしレギブスの兵の骸の山を背に…………。


「まったく、たった一人で大隊を相手にするとは、ヴァンセルト卿の実力は底がないですね」


 ヴァンセルトが切り捨てた千の骸、その山を見たリノームはヴァンセルトの実力を評価する発言をするが


「何を言ってる。お前も殆ど変わらないだろうに。どうせ、ここに来る前に大隊を相手にしてきたんだろう?」


「はは、ヴァンセルト卿には敵いませんよ」


「気にしなくても、私程度の実力ならばお前達ならすぐにたどり着けるさ。さぁ、フィオリスの攻略も本腰を入れないとな」


 大隊を一人で相手にする、文字通り人外な実力を持つロイヤルガード二人。その二人は陣地へと向かって歩くが、千を切り捨てようとも返り血一つ浴びていない様は、正に最強という言葉がふさわしいものであった。


 フィオリス王国が軍事国家レギブスの進行を防ぎきった。その事実は瞬く間に国々に広まり、パラメキアとレギブスでは危険視する声が、また、まだ二大大国に侵略を受けていないフィオリスのような小国に自信と大国に対する対抗心を芽生えさした。

 こうした小さな動きはやがて大きな波紋を呼び、残された大陸を争う戦争は、更に戦火に呑まれていくこととなるのであった…………

どうも、作者の蒼月です。

ここ最近、茶番をしたり投稿しなかったり、なかなか本編を書けなくてすみません。(しかも今回は少し短いという……)

私は、何か一つの物事に打ち込むという性格なので、今は別のことに力が入っているために投稿が遅くなるかもしれません。まあ、私はもともと毎日投稿するつもりなんてなかったので、本来通りに戻るということで


では、次も読んで頂けると幸いです。

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