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夕暮れの街
オレンジに染まる街並みは、とても幻想的で美しい。昼の世界と夜の世界の境界線。電線に止まるカラスが飛び立った。カーカーカー……と仲間に夜の影を教え合う。カラスの声が遠くにいって消えてなくなる。残ったのは、たったったっと走る足音だけ。
「待って!」
誰かが足音に呼びかけた。足音は止まらない。そして足音は道路へ…
キィィィィィィ!!!
突然のブレーキ音。しかし音も虚しくトラックは止まらない。
!!
誰も聞いたことのないような鈍い音がした。鮮やかなまでに真っ赤に染まるアスファルト。女の悲鳴。人のざわめき。駆け寄る者。電話をかける者。膝をつく者……
街は一瞬に色を変えた。