第8話 晶外に出る
「さてと妖狐さんの思いも無駄にするわけにはいかないし、出ますか。とその前に」
妖狐さんとの融合が終わった晶は自分の体がちゃんと動くかどうかを試してみた。軽くジャンプしてみたり、手を握っては開いてを繰り返して体に違和感がないかを確かめた。
一通り動かした後に、ふぅと一息ついて気になっていたので自分のステータスを確認した。
名前:佐々木 晶 LV:1
人間族 性別:男 年齢:17
HP 800
MP 500
ATK 230
DEF 240
AGL 250
INT 150
魔法属性 光 火 雷
称号
《異世界人》《はぐれ勇者》 《妖狐を継ぎし者》
称号に《妖狐を継ぎし者》が増えていた。
称号を指で触れてみると説明が見えた。
《妖狐を継ぎし者》
妖狐の呪いを受けて力を継いだ者に与えられる称号。
魔獣人化することによってステータスが大幅に上昇する。
魔獣人化中は妖術を使えるようになり、火属性の魔法が大幅に上昇、火に対する耐性も大幅に上昇する。
すごいな魔獣人化。
これなら確かに洞窟を出ることはできそうだな。
晶は期待を込めて、
「魔獣人化」
と呟いた。
すると体が熱くなり周りに黒い煙が出てきて体を包み隠した。煙で体が見えなくなると直ぐに煙が消えてそこには、
灰色の髪に狐のような耳が生え、狐のフサフサした尻尾が3本生えている晶の姿があった。
魔獣人化が終わって晶は自分の体を見たり触ったりして一言。
「......めっちゃ触り心地良い」
そう呟いた。
尻尾を動かしてみて、自分の前に持ってきては手で触ってみたり、抱きしめたりそのフサフサした尻尾を堪能した。
思いっきり自分の尻尾で遊んだ晶は、魔獣人化した状態で身体に魔力を流してみた。魔力の使い方は妖狐さんと融合したことでやり方が頭に入ってきた。身体に魔力を流し続けると、肌に赤紫色の模様が出てきた。ある程度魔力を流して身体を慣らし祭壇の逆方向まで軽く走ってみる。
最初は何時間もかかったが、壁まではものの数分で着いてしまった。
「これはすごいな、どれだけ身体能力上がってんだよ」
尋常じゃない上がりかたをした、身体を苦笑しながら、
「出るか」
その言葉とともに晶は左足を前にだし、右足を後ろに引き右手を握り拳の形にして、拳に魔力を流せるだけ流して
右拳を思いっきり突き出した。空手の正拳の形だ。
壁に拳がめり込み何かが割れる音とともに壁は崩れた。
崩れた所から日の光が差し込み、晶を照らす。
晶がこの世界に来てから初めての空であった。