第7話 やさしい呪い
7話ですよろしくお願いします。
「脱出の方法があるのか?」
妖狐さんの脱出できるかも知れないという言葉を聞いて安堵した。
(このまま出られなきゃ普通に食べ物なくて死ぬしな)
そんな事を思っていたら、妖狐さんが、
「方法はある。しかしそれには条件があるし、わしからの願いもある」
「条件に願い?」
妖狐さんが言った言葉を聞いてなんだろうかと、考えてみるが全く分からない。
「そうじゃなまずは条件じゃが、この洞窟の内側にされている結界には実は欠点がある」
まじか、聖女がした結界に欠点があるなんて、聖女って勇者に並んですごい人のイメージがあったんだが。
「欠点とはの、この結果は魔力を無効化をするが物理的な衝撃にはもろいのじゃよ」
「なんでそんな中途半端な結界を」
「わしを封印するのに肉体を消し霊体のまま結界内に封じたからじゃな。普通外からは入る事はできないし、わしもこの姿のままじゃ触れることもできんしの、後はわしを封印するのに力を使いすぎたのもあるの」
妖狐さん凄かったんだな、聖女が完璧に封印できなかったって。
「わし一人じゃったらどうしようもなかったのだか、今は肉体のあるアキラがおるしな、あとは今のお主にこの壁を破壊できるだけの力があれば大丈夫じゃ」
「力って言われても、俺は壁を破壊できるだけの力なんてないぞ、魔法も使えないらしいし」
俺にはそんな事はできないと妖狐さんに言ってみると。
「そこでわしの願いじゃ」
「願い?」
ああ、と妖狐さんは頷く。どんな願いなのか。
「アキラよ、わしの力をもらってくれないか?」
「は?」
妖狐さんが何を言っているのか解らなくて間抜けな声を出してしまった。
「どういう意味だ妖狐さん?」
妖狐さんがどういう意味で言ったのかが理解できなかったので説明してくれるよう頼んだ。
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妖狐さんがいうには今の俺の力じゃどうやっても壁を破壊することは出来ない。けどもし魔力を使わないで力を増やす方法があったならば壁を破壊し外に出ることができるそうだ。
そしてその力を得る方法が妖狐さんの力を貰うことなんだそうだ。
妖狐さんが言う力を渡す方法は一種の呪いなんだそうだ。妖狐さんの今の霊体を妖狐さんの妖術で実体化さした俺の霊体と融合させるんだそうだ。そうすれば妖狐さんの霊体が俺の霊体と混ざり一種の獣人化の様にできるかも知れない。
「知れないって確証はないのか?」
「初めてやるからの成功するか判らんよ」
「今の説明だとずっと俺は獣人のようになるのか?」
「いやそれはない。霊体がキレイに混ざるまではそのままだが、キレイに混ざるとアキラの霊体が獣人のようになっているだけになる。肉体は普通の人だがこの呪いを使えば肉体が霊魂に引っ張られて、獣人のような姿になるということじゃ」
「なるほど」
「ちなみに獣人化した状態じゃともとの状態の3倍ぐらいは力がますぞ」
「3倍......出過ぎじゃないか?」
「獣人はそれくらいに身体能力が優れとるということじゃ。
それにわしは上位魔族じゃったからなそれぐらい融合して直ぐでもそれぐらいの力はでるぞ。完璧に融合したらもっと力も増すじゃろうしな」
「まじかよ、3倍以上って出すぎだろ。しかも魔族だったなら獣人化じゃなくて魔獣人化だろそれ」
と突っ込んでみたら、妖狐さんは。
「なるほど魔獣人化かよい呼び方じゃな」
そこかよ。でもここから出る方法がそれしかないのならそれをするしかないのか。出るためならやるか。
「......わかった。妖狐さんその呪いやってくれ」
「よしわかったぞ。すぐやるから目を瞑っていてくれ」
そう言われたので目を瞑ってその時がくるまで待っていた。
どんな感じになるのだろうや外に出たらどうしようなど、そんな事を考えていると、ここに来てから妖狐さんに世話になってばっかりの事を思いだしこれが終わったらお礼しようと考えてふと思い付く。妖狐さんと融合したら妖狐さんはどうなるんだ?さっきの口ぶりだったら霊体が融合しても俺が主体のような言い方だった、なら妖狐さんは?
そう考えて目を開けて聞いてみようとしたら。
「大丈夫じゃよ」
と妖狐さんの声が聞こえた、目を開けようとしても瞼が張り付いたように開かない。
「わしがお主と融合しても完璧にわしが消えてしまうわけではないよ、霊体同士が融合して意識はお主のままじゃが、わしもまたお主の一部になるだけじゃよ。消えるわけではないよ」
妖狐さんはそう言うが、けど妖狐さんはそれで良いのか?
千年も封印されて、それで終わりでいいのか?
俺の気持ちが解ったのか妖狐さんは優しい声音で、
「いいんじゃよ。元々は死んだ命であったし、わしは命を散らしすぎた。あとは滅びることしかなかったこの身で、お主に会えたからの。お主との話は面白かったぞ、久しぶりに人と話すことができてよかったわい。だから大丈夫じゃよ」
そう言ってくれた。
その言葉の後に体に何かが入ってくる感覚があり、目を開けると目の前には妖狐さんはいなかった。
胸に手を当ててみると胸が少し暖かいような気がして俺は、
「......ありがとう妖狐さん」
と呟いた。
読んでくれてありがとうございます。