第6話 妖狐
妖狐さん説明回
妖狐さんからステータスの説明をしてもらった晶は、早速魔法を使ってみたかったので、妖狐さんに使い方を教えてもらえないか相談してみた。
「妖狐さん、魔法使ってみたいんだけど?」
「使ってみたら良いじゃろ」
「いや使い方がわからないから」
「そうなのかの?」
と意外そうに聞かれてしまった。
「いや分からないから、勇者が誰でもすぐ使えるわけじゃないからね」
使えないことを言うと、なるほどと納得してくれた。
「じゃがの晶よ、たぶんここじゃ使いにくいか、使えない可能性があるぞ」
なんて事を言われてしまった。どういう意味だ?使えないかも知れないって。
顔に考えが出ていたのか妖狐さんは、
「この場所はの魔力を無効か、もしくは弱体化するような場所なのじゃよ」と言った。
「えっ?なにそれ?なんでこんな洞窟にそんな機能が?」
マジかよ、じゃあ魔法つかえないじゃん。てかなんでそんなことまで妖狐さん知ってるの?なんでも知ってる狐でも知りすぎじゃね?改めて思ったけど妖狐さんって何者なんだ?
疑問だらけである。だから晶は率直に、
「妖狐さんて何者なんだ?」
と聞いた。
質問を聞いた妖狐さんはうーんと唸ってから、まぁ良いかと呟いて、長いけど良いか?と聞いてきたので大丈夫と俺は答えて先を促した。
「わしはの魔物なんじゃよ、一応」
「...魔物?...妖狐さんが?」
「そうじゃよ、まぁ順を追って説明するとな......
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妖狐さんは妖狐と呼ばれる前は、山に住んでた普通の狐だったらしい。しかし冒険者に攻撃され、傷をおって崖から落ちたらしい、そのまま死ぬと思っていたらなぜか強い憎しみが生まれてきたそうだ。憎しみの他に怒りや嫉妬、負の感情が自分を満たした。その感情ととてつもない飢餓によって目が覚めて、それから近くにいた魔物や生き物を片っ端から食べたらしい。妖狐さんが言うには崖の下は魔力溜まりになっていたようで、死にかけの体に魔力が傷から入り魔獣化したようだ。
そのあとも色々なものを喰いまくって気がついたら自我が戻っていたそうだ。
魔族は共食いを大量にすると自我が表れるらしい、それを上位魔族と呼ぶ。その上位魔族が共食いを繰り返した結果が魔王なんだそうだ。
「じゃあ妖狐さんは魔王なのか?」
「魔王とまではいかんな魔王よりの上位魔族じゃな」
「なるほど、初めて見た魔族が魔王に近い存在なんてな......」
「らっきーじゃな」
「ラッキーなのかな、てかなんで知ってるのそんな言葉」
「まぁまだ話は終わっとらんよ」
上位魔族となって自我が生まれた妖狐さんは、山奥でひっそりと暮らしていたらしいのだが、妖狐さんは共食いのやりすぎで人から畏れられていた(その時に妖狐という名称がついたそうだ、上位魔族には呼び名などが付けられるらしい)そしてとうとう冒険者たちに討伐依頼が国からきたらしい。妖狐さんは何度も撃退したようだか、ついに国が勇者に討伐を依頼したんだそうだ。結果勇者と冒険者によって討伐されこの洞窟に封印されたようだ。それが千年前で、この洞窟には聖女が魔力を外に出せないように結界をはり、外からは物理的な衝撃を吸収する結界を張ったそうだ。封印される時に肉体は消され、今のような幽霊の姿になっているそうだ。ちなみにあの幽霊の姿は魔力と妖狐さんの固有魔法の妖術によって保たれているらしい。そうして千年もたちあと少しで滅びるところで、俺がここに飛ばされてきたらしい。
「なるほどね」
晶は妖狐さんからの話を聞いて納得した。なんで妖狐さんがいるのか、なぜそんなに詳しいのか。
「妖狐さんはここに封印される前は何歳だったの?」
「千、いや二千だったかの~」
「まじですか......」
めっちゃ長生きですやん妖狐さん。
はぁ話を聞けたのは嬉しいけど、それだったらここから出る方法がないじゃないか。聖女がした結界って絶対無理だろ。
「どうやって抜け出したものか」
抜けだしかたが考えつかなくてつい口にでてしまった。
その言葉を聞いた妖狐さんは。
「脱出の方法はあるにはあるぞ」
と真面目な表情で言った。