第2話 何も見えない
「いつっ」
身体が痛み、感覚が戻ってくる感じを身体に感じつつ、佐々木晶は目を開けた。
「……なんも見えない」
言葉のとおり、晶は目を開けているが、周りはおろか、自分の手でさえ見えていないのだ。それ位に暗い、いや暗いどころではなく、光がない。黒一色といった具合だ。
「やばい、マジで何も見えない。てかここどこだ?」
周りが見えないのは見れば判るが、いや見えていないのだが、自分がなぜこんな事になってるのかが分かっていない。
「確か今日は学校行って、部活の朝練行ってから、昼飯たべて、橘先生の授業中にトイレに行こうとして……あっ」
今日一日あったこと振り返っていたら、授業中にトイレに行こうとしたら、教室がいきなり光ったのを思い出したのだ。
「そういえば、あったな原因らしきものは……。
まったく、なんなんだよあの光。」
原因が光であると予想し、あのひかりに対して悪態をつく晶、そこでふと、他のみんなはどこにいるのかという疑問が出てくる。教室で東が言っていた異世界召喚がどうとかの話をしていた事を思い出し、まさかなと一人で考えていた。
「おいおいマジで何処だよ、東が言ってたみたいに、いきなり異世界とかみたいな落ちかよマジで」
東に言われて面白いからと異世界系のゲームを貸してもらっていた晶は、何となく現状がすごくそれに似ていることに、冷や汗をかき始めていた。
「とにかくみんなを探そう、それからだ」
今考えていることを棚上げして、他のみんなを探すことにした晶。そして一歩踏み出そうとしたら、石か何かに躓き、倒れそうになるのをなんとか踏ん張り、ため息を吐いた。
「これじゃあ何も見えないし、移動も出来ないな」
と考えていると、そうだと思い制服のズボンのポケットに手を突っ込み中にある、スマートフォンを取り出し画面を見る。
「圏外か……」
そう携帯電話で連絡を取れないかと思ったが、電波が入らなく圏外のままである。
「まあ、ライト機能を使えば懐中電灯代わりにはなるか」
そう呟き、スマートフォンのライト機能を使い光を出す。
そして地面を照らしながら、壁に手を当てながら進んでいく、手の感触から石か土かわからないような感触を味わいつつ、進んでいく。
スマートフォンの時計で15分ぐらい進んだところで前方に壁が見えた。その壁を手で押してみるも動く気配も無さそうだ。
「こっちじゃなかったのか…。じゃあ逆方向だったのか?」
晶はこの壁にたどり着くまで、壁に手を当てながら進んできたのだか、曲がり道などなく、一方通行だったのだ。
曲がり道が無いのなら、探す道が少なくて良かったと考えながら今来た道を逆方向に戻る晶。
そしてまた暗い道をずっと歩いていくと、心なしか明るくなっているのに気づき、歩くスピードを速めた。
そしてまたずっと歩いていくと、曲がり角らしきものを見つけた。初めての曲がり角にへんな期待を抱きつつ、曲がり角を曲がりそして驚いた。
「なんだこりゃ……。祭壇が?」
晶が言った通り目の前に現れたのは神社とかに歩いて祭壇である。しかも何故かここだけ横に松明が並べてあるのだ、こんなに明るかったら曲がる前に気づくのにと疑問に思ったが、そんなことゆりと考えて祭壇の周りを調べ始めた。
「ない…か…。此処が一番奥って事になるのかなやっぱり」
そうなのだ、祭壇の裏は壁になっていて、隠し通路らしきものもなく行き止まりなのだ。
「はあ〜。どうするかな、出口も無さそうだしなここ。
このままのたれ死ぬのかな俺……」
ため息を吐きながらこれからの事を考えていると。
「御主どうやって此処に入って来たのじゃ?」
そんな声がいきなり祭壇の近くから聞こえてきたので、
驚きながら素早く立ち、身構て祭壇の方を向いたまま問いかける。
「だ、誰だどこにいた?」
そう問いかけてみても祭壇には誰もいない。
「ほ〜、身構えるまでが早いの〜。安心せい、何もせんわい。今見えるようにするから待て」
そう声の主がそう言った瞬間、祭壇から何かが出てくるように見えた、否何かが出てきたのだ。まるでそれはさながら……。
「……幽霊?」
のようだった。