第04話 成長と方針
彼は7才になった。
リーク家は四人家族、妹のルリが産まれアルクは御満悦だ。
夜泣きはするし、すぐ何処かへ這っていく。
最近は歩ける様になり、そこらじゅうで転んでは泣く。
大変手がかかる。一家総動員で面倒をみる。
生まれて初めてこんなに大変な日々を味わったアルクは、毎日が本当に楽しい。
彼にとって家族の為の苦労は買ってでもしたいものだった。
妹が昼寝に入ると彼は遊びに出掛ける。
村の人ロはおよそ200人、子供の数は20人と意外に少ない。
彼と同い年の子供はコオリだけだ。
彼はコオリとよく遊んだ。
「コオリ、今日はかくれんぼをする」
「かくれんぼ?」
「そう、鬼になった人が隠れた人を探しだす遊びだ」
簡単なルールを教え、かくれんぼが始まる。
村のあらゆる所を範囲にすると、まず見付ける事が出来ない。
今日はこの範囲だとか、茂みの中は禁止等といって範囲を絞る。
彼は遊びの中に訓練を見出していた。
石投げを極めれば投擲スキルが手に入る。
ちゃんばらがうまくなれば剣術スキルが、ママごとで演劇スキルなんてのも手に入った。
だからかくれんぼでは、気配感知や潜伏等のスキル取得を目指す。
彼は遊びにも手を抜かない。
付き合わされる方も楽しくてついついむきになる。
彼らの遊びは、既に本物の訓練に引けをとらないものとなっていた。
傍から見れば楽しそうに遊んでいる子供。
実際楽しく遊んでいるのだが、そのレベルはすごい事になっている。
「アルクみっけ!」
アルクは用水路の陰、水中から顔を出す。
「水浸しだとお母さん達に怒られるよ?」
コオリから注意を受ける。
「う〜、しょうがない一度家へ帰るか」
彼は今日、水中移動のスキルを取得した。
LV1とはいえ有得ない早さだ。
二人で家へ帰る。アルクはメルクに怒られながら自分の服を洗濯する。
彼の家事スキルはLV6だ。
ステータス画面は自分以外は見る事が出来ない。
紙や水晶に転写する方法はあるが一般的には自己申告だ。
彼らのスキル郡は通常のそれを大きく外れ始めていたが、誰も気付かない。
アルクはコオリに言っちゃだめだとロ止めしていた。
今はまだ大した事はないが、今後遊びを続ければ親に心配を掛けるかもしれないと。
彼は考えている。
この世界では強さは必須であると。
ステータス等という能カが目に見えるシステムがこの世界にはあるのだ。
それに伴うイベントやら不条理が襲い掛かってくる可能性は十分にあると。
このシステムを十全に利用する術を学ぶべきだと。
システムの裏をかく方法を模索するべきだと。
なんなら世界に喧嘩を売れるだけの方法を知るべきだと。
彼は目的を忘れない。
今日も命一杯遊びに邁進する。
「アルクー泥んこになるとお母さんに怒られるってば〜」
アルクは土遁の術を手に入れた。