表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

レイルールの隠れ家 ★☆(周辺地図を掲載)☆★



挿絵(By みてみん)



私が目を覚ましたのは・・・・暗闇の中だった。

「ここは・・どこだ!?」


何も見えない。息が苦しい。 身体が重く、意識はまだ霞んでいる。

いったい何が起きた?

私は・・誰だっけ?


記憶を手繰る。「えっと・・えっと・・」


そうだ! 私は、“バベル公姫 ルシャル・ノン・ラトナ”。

ルシャーナ帝国、初代皇帝の娘にして、天才魔導士(うぬぼれ)w


そう・・そうだった!

私は、死んだのだ。あの巨漢と、相討ちになった。

まさか、あんな男のために命を落とすとは、なんという皮肉!


だが、そんなことよりも・・我が帝国が、どうなったのかが気になる!

滅びの予感が胸を締めつける。

死ぬに死ねない・・この魂は、まだ終わるわけにはいかないのだ。


それに・・こんな暗闇! 地獄なんぞで休息している暇はない!

(自分が天国にいけないことは、一応理解していた。道徳的に良いことはしていなかったからね!)


暗闇の中・・ここはどうやら狭い空間のようだ。

立ち上がることもできず、手足を伸ばすこともできない。

まるで、棺桶の中! 土の匂いが鼻をつき、不快な湿気が肌を這う。


「ここが・・地の底であろうが・・地獄であろうが・・私は負けはしない!」


ラトナは指を動かし・・印を描く。

自らの魔力を放ち、付近の障害物を吹き飛ばそうというわけだ。


だが・・・魔力を放出できない。

いや! 放出しているのだが、あまりにも微量すぎるのだ。


おかしい・・・かつての私なら、石の壁も鉄の扉も、容易く粉砕できたはず。

それなのに、今の魔力は・・まるで小雨。

かつての暴風雨とは、比べものにならない。


魔力が足りない。 このままでは、抜け出すことすらできない。

ラトナの焦燥が、闇の中に静かに響いていた。


「地獄に落ちたせいで・・魔力を失ったというのか!」


その言葉は、絶望ではなく、現実だった。

彼女の体に宿る魔力は、確かに減っている。 それは、疑いようのない事実!

・・・まずい。とにかく、まずい。


このままでは・・ただの美長女(不老)になってしまう(うぬぼれ)

膨大な魔力が、私の唯一の取り柄だったのに・・・・


「あっ〜 なんてこと!」


これまでの人生の中(200年間)で始めて感じた絶望感。

大量魔力による・・ゴリ押し戦法が使えなくなるではないか!



ラトナは暗闇の中・・若干パニックたのだが、冷静に考えれば、多少の魔法は使えるのだ。

そして・・今、ここで必要なものは"明かり"だ! 

何も見えないのでは話にならない!


ならば、灯そう。とにかく光を・・・


ちなみに、明かりの魔導は初歩の初歩・・微々たる魔力で行使できる程度のものだ。

案の定、問題なく発動した。


周囲が、ほんのりと照らされ始める。

かつての私ならば、この程度の魔法でも部屋全体を昼のように照らせたはず。

だが今は・・・夕暮れのような、頼りない光しか放てない。


「やはり・・魔力が落ちている!」


それでも、まったく使えないよりは、マシだ。

そう思うことにした。


ラトナは周囲を見渡す。

・・・というか、目の前は壁だった。

左も右も上も下も・・・壁!壁!壁!


予想していたが・・・ここは間違いなく、狭い箱の中・・つまり

「棺桶か!!! いや、まて違う」


そう、ラトナには、この棺桶に見覚えがあった。

これは、200年前・・あの戦争時代に、自ら設計し、作り上げた治療用・診断用のカプセル型魔導具装置!

理屈上、たいがいの傷を治してくれる万能魔導具・・まさしく、それではないか! 

実に懐かしい


「あっあああ~ そうか! 彼らが・・」


そう、愛すべきシンルーラたちが、ラトナの傷を見て判断し、慌てて・・このカプセルにまで運んでくれたに違いない。


でも・・思い出す!

このカプセルって・・たしか帝国一の名山・レイルール山の隠れ家に捨て置いてたはず。

戦争が終わり、平和になったので・・"もう使わないよね"と思い、倉庫に放り込んでいたのだった。


帝都から、かなり距離があるのに、それでも、彼らは私を担ぎ、そこまで運んでくれたのか・・・!


助かった! 普通なら死んでたよ! ありがとう・・愛すべきシンルーラたち



まぁ・・とりあえず、今の状況が掴めた!

地獄に落ちて死んでいたのではなく・・カプセル型魔導具によって、治療を受けていたのだね!


そうと分かれば、話が早い。

ここから出るのは、実に簡単なのだ。

頭部のすぐ真横にあるスイッチを押せば、外へ出られる。


そう、今まで見えなかったのは・・

ただ・・真っ暗、闇に包まれていただけなのだ。


ラトナは迷わず手を伸ばす。

スイッチは少し硬かったが、問題なし。

“カチリ”と・・ロックが外れる音が、静かに響き、そしてカプセルの上部が開いた。


「……どうやら、外に出られるみたいね」

希望の光が、闇の中に差し込んだ瞬間だった


ラトナはゆっくりと上半身を起こす・・そう、ここはレイルール山の隠れ家のはずなのだが・・・

目の前に広がっていたのは、瓦礫に覆われた無残な光景。


いや! 違うぞ、あれは瓦礫なんかではない。


それは・・私の愛すべきシンルーラたちのなれの果て。

壊れ、朽ち果て、形を失った彼らの残骸・・数百体が、そこにあった。

あれほど強力で頼りがいのあった彼ら・・・


「な、なんて・・こと!」


いったい何がおきたの!? どうして!? 破壊された!?

分からない・・意味が分からない・・



言葉にならない感情が、ラトナの胸を突き上げる。

涙が、静かに頬を伝った。


200年もの間、私に仕えてくれた彼ら。

意思を持たぬはずの彼らが、意思なきまま・・私に捧げ続けた献身。

その尽くされた時間の重みが、今になって胸を締めつける。


「ありがとうシンルーラたち」



-*- - - - - - *-


ここは、遥か200年前の戦乱の時代、もしもの時に備えて造っておいた地下の隠れ家。

いや、秘密基地だといってもよいだろう。

だが、平和が訪れて久しく・・・

100年ぐらい放棄していたので、ラトナ自身、その存在をすっかり忘れていた。


「平和な時代に・・こんな秘密基地、使わないからね!」


そう呟きながら、ラトナは周囲を見渡す。


ここは、その秘密基地(隠れ家)の地下倉庫・・ドーム状になった広き空間に、動かなくなったシンルーラたちが、折り重なるように倒れていた。


彼女は、それらシンルーラたちに近づき詳しく調べてみると、壊れた原因は・・疲労劣化によるものだったのだ。


魔導を帯びた鉄製の素材で作られているはずのシンルーラたちが、そう簡単に劣化するとは思えない。

それなのに、これほどまでに朽ちているということは・・・

1年、いや10年・・もしかして100年・・経過しているのか!?

彼らは・・私が目覚めるまで待ち続け・・そして機能が停止したのだろう。


「シンルーラたちの献身に感謝なのだが・・これは嫌な予感。

寝過ごした・・なんてレベルじゃないかも」



念のため、鏡で自分の姿を確認してみる。

ラトナ自身は変わっていなかった。


治療用・診断用カプセルの効能により、肉体年齢は衰えず、少女の姿のまま保たれていたのだ。


しかし、衣装は違っていた。

時の流れに耐えきれず、見るも無残な“18禁状態”w

布地は裂け・・破れ、もはや衣服とは呼べないほどに。


「まぁ、ここは地下倉庫だし。まだ着られる服くらい、どこかにあるはず・・だと思う」


ラトナは倉庫の奥へと目を向け・・・家捜し。


だが・・どれもこれも、どれもこれも、劣化しまくって使い物にならない。

時の流れとは・・・残酷である。

布製品はダメ、保存食品は腐敗を通り越し、奇怪な物体と化していた。


使えるものは金属製のみなのかと、落胆していたその時・・倉庫の奥に安置されていた、あるコンテナの存在を思い出す。


それは・・・時の宝庫(タイムカプセル)

この秘密基地(隠れ家)を建設した際・・記念として設置したのだった。




遠い未来、子孫たちへの贈り物

過去の遺物を後世の時代に残すための宝物庫なのだ。

その時代における様々な遺物がはいっている・・もちろん衣服も!

しかも、宝庫の中身は真空状態にしており、劣化対策もバッチリなのだ


「そうそう、遠い子孫のために、色々なものを詰め込んだっけ

それがまさか、自分のためになるとはね〜」



ラトナは 時の宝庫(タイムカプセル)に近づき、そのメーターを確認すると・・・

そこに表示されていたのは" 436年 "の文字。



やはりというべきか、予測通りだったのだ。

ラトナは、半分ショック、半分納得といった心情となり、瞳に涙を浮かべる。


「436年ということは・・・私が眠った頃から数えて200年・・200年・・200年なのか」


ラトナはお経のように何度も唱えるが・・・なにもかわらない。

事態を解決できるわけではないのだ。


ラトナは、あきらめ、悟り・・・そして静かに現状を受け入れた。


「こうなっては仕方がない! なるようになるさっ」


そう、全裸では風邪を引くのだ。

とりあえず、着るものが必要・・・当初の目的通り、時の宝庫(タイムカプセル )を開けることにした。


開封は驚くほど簡単だった。

そして、中身の鮮度は、200年前のまま。

まるで、時が止まっていたかのように。





--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ