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族長レイガン


遥か天空の彼方、巨塔バベルの頭上を切り裂くように落下する・・一振りの剣!

それは光をまとい、剣先を真下に向けながら、一直線に降下していく。

目指すは、大河イグナの水面。

そしてその標的は、渡河中の兵士たち・・“海の民”のど真ん中だった。



ズドォォオオオオォォン


空が裂け、閃光が走る。

雷鳴が轟き、衝撃波が大河を揺るがす。


その瞬間、中央部にいた兵士たちの姿は消えた。

いや、彼らは、空へと舞い上がったのだ。


重い鎧を身にまとっているにもかかわらず、くるくると回転し、水面へと叩きつけられる。

その様は、まるで空から降る人間の雨。


「ぐぅぅああぁぁぁ」「うぎゃゃぁぁぁぁ」


対岸を目指し、先陣を切って突進していた族長レイガンは叫び声のする方角に振り向き・・驚愕する。

そこにいるはずの、兵士たちがいないのだ!

そう、陣形は崩れ、後方に見えるのは赤く染まった水面・・


「な・・なんてことを!」


上空からの謎の飛来物、おそらく敵の魔導攻撃によって、100名近くの兵士が吹き飛んだのだ。

族長レイガンの瞳が燃える。恐れではない。怒りだ。 仲間を喰らった謎の魔導攻撃を呪った。


「奴ら・・よく!よくも!」


怒声が空を震わせる。 この落とし前は・・必ず取ってやる。

そう心に誓った瞬間、第二射が炸裂したのである。



レイガンの位置から見て斜め後方・・最も兵士たちが密集していた場所にあの剣が落ち・・炸裂したのだ。

これで・・500名以上の兵士が吹き飛んでしまった。

全体の一割以上の兵士が・・・たった二撃で消えたのだ。


「こんな魔導・・絶対にありえねぇ。卑怯な!」


怒りと混乱が入り混じる。

だが、現実は残酷だった。 このままでは、対岸に達する前に・・全滅する。

敵にタッチすることさえかなわない。

しかも・・敵の圧倒的爆発力、火力によって味方兵士たちの士気が落ち始めていたのだ。


あれほど勢いづいていた命知らずの兵士たちの表情に・・“怯え”の影がまとわりつく。

それでも・・恐慌状態には陥っていない。

固い意志で踏みとどまっているのだが・・確実に進撃速度は落ちていた。


レイガンの顔が歪む。 苦々しさと悔しさが、胸を締め付ける。

敵の魔導力は、想定外すぎた。


このまま・・・無理やり突進をかけるべきか!?

いや、無理だ。損害が大きくなりすぎる。全滅もありうる。

俺の率いる兵士たちは"海の民"のなかでも精鋭部隊。へたな消耗は避けるべきなのだ!


「仕方がない!」


そう、今まで・・負け知らず、勝ち続けてきた。だが、ここが潮時か!

悔しい。だが・・族長として、ただ全滅するわけにはいかない。


「撤収だ! 引け! 引けぇぇ!」


その叫びは、怒りでも恐怖でもない。生き延びるための、最後の決断だった。




-*- - - - - - *-



これらの魔導攻撃は通称・・"剣撃の鉄槌"


それは天空より飛来する・・剣の形をした爆雷。あるいは、凝縮された魔力の塊

そう、これは決して剣などではない・・仮の姿。

魔力が剣の形を、かたどっているにすぎないのだ。


そして、この魔法を操るは、"ラトナ"

不老の魔導士にしてルシャーナ帝国の公姫。 裏ボス、影の実力者、etc.

そんな彼女の得意とする、破壊魔法の一つなのだ。


「・・・うふっ、敵が逃げ散っていくのだね。だが、決して逃がしはしないよ!」


ラトナが手を振ると・・その合図に応じて、周囲に控えていた1000体の人型魔導兵器“シンルーラ”が一斉に頷き、そして前進を開始した。

追撃の始まりである。


ドスン! ドスン! ドスン!


身長2ラヌル(メートル)の巨体が、大地を揺らしながら・・大河イグナへと踏み入れていく。

目的はただ一つ・・蹂躙と撃破! 

退却を始めた“海の民”・・族長レイガン率いる5000名の兵士たちへと向けられていたのだ。


今までルシャーナ帝国を蹂躙してきた彼らに対する、初めての反撃。

それは、帝国の怒りと誇りを込めた一撃だった。


「そうだ! できるだけ敵の数を減らせ。今後の戦いのためにも、今・・ここで削るのだ!」


魔導士ラトナの声が、戦場に響く。

情けは不要。勝利こそが、正義なのだ。


横一列に並び、魔弾を連射しながら突進するシンルーラたち。

それは鉄の壁・・まるで山が動くがごとく、逃げる"海の民”たちを圧迫し・・粉砕する。


そして大河イグナは・・血で赤く染まった。

それは一方的な蹂躙。

逃げ惑う“海の民”に組織的反撃はできないのだ。



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --



一方・・その時、“海の民”の族長レイガンは、味方を逃がすため軍の最後尾・・殿(しんがり)を務めていた。


彼の目の前で、仲間たちが次々と倒れていく。

あの奇怪な鉄の(シンルーラ)から放たれる魔弾が、容赦なく兵士たちを吹き飛ばすのだ。


レイガンは、歯を食いしばりながらその光景を見つめていた。

怒りと悔しさを胸に秘め、それでもなお・・彼は退かない。

味方を一人でも逃がすために・・ここで踏ん張り続けるのだ。



それが族長としての使命であり誇り! 名誉だ! 

そして・・強き戦士の証明となる。


「“海の民”は我々だけではない。他の部族軍が到来してくれるまで、ここで踏ん張ればよいだけだ!

さぁ、この俺に力を与えたまえ・・愛する戦女神たちよ」




黒き鎧に身を包んだ巨漢・レイガン。 その体格以上に目を引く大剣を両手に構え、 大河イグナの中央、腰まで水に浸かりながら・・彼は一人、歩を進める。


レイガンの前に立ちはだかるは、魔導によって駆動する二足歩行の鉄塊(シンルーラ)・・その数、1000体が唸りを上げ・・魔導砲を次々と放ってきた


だが、レイガンは止まらない。 その巨体からは想像もできないほどの俊敏さで、 放たれる魔導砲を右へ、左へと身を翻し、砲撃の雨をすり抜けていく。


水しぶきを上げながら、彼は一気に加速。

次の瞬間・・大剣で水面を叩き跳躍! 空中で一回転しながら、鉄塊の頭部へと剣を振り下ろす!


グァァァァーン


鋼鉄の装甲が悲鳴を上げるように軋みを上げ、 魔導砲が命中することなく、レイガンの一撃が炸裂・・・鉄塊の頭部が宙を舞う。


「まずは一体!」


その声は、戦場に響き渡る。

ここは鉄塊のど真ん中・・海の民の族長・レイガンの死闘が、今まさに始まったのだ。




--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


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