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魔導兵器"シンルーラ"


東方大陸の覇者・ルシャーナ帝国にとっての対外勢力は西方大陸の中小国家のみ。

それゆえに軍の配備は大陸西方地域に集中していたのである。


しかし・・

その反対側、海に面した東方地域は、ほぼ無防備だった。 

軍の影すらなく、守る者もいない。駐屯しているのは治安部隊のみ

この東方地域は西方とは違い、東は大海・・地平線まで続く大海原だと信じられていたのだ。

それが、すべての誤算だった。


そう、この水域に突如として現れた未知の敵・・通称“海の民”

東方の彼方から、船団とともに数万の兵団が上陸し侵略を開始する。

そして、瞬く間に帝国都市が陥落していった。


ここには防衛すべき戦力が無いのだ。

帝国側が備えを整えるよりも早く進撃する“海の民”

しかも略奪、殺戮、破壊・・その猛威は止まることがない。

まるで全てを喰らうイナゴ、バッタのごとく


そしてついに、誇り高き都・帝都クラウムまでもが奴らの手に落ちたのだ。

初代皇帝ルドラシイムによって建国されてから200年、はじめて起きた屈辱と悲劇!

あってはならぬことが起きてしまった。


しかも、現国王ナリュタは行方知れず、王宮は炎に包まれ、街路には幾重にも死体が積み重なる。

“海の民”は、他の都市で行ってきた蛮行を、この帝都でも容赦なく繰り返したのだ。


標的は王宮だけにとどまらない。

貴族の邸宅、商家、そして一般の民家に至るまで、すべてが略奪の対象となった。


見つけた者は殺し、金品は奪い去る。 女子供とて例外ではない。

帝都の街は、奇声をあげて暴れ回る兵士たち(海の民)によって、略奪と殺戮の地獄へと変貌していった。


「「殺せ! 殺せ! 殺せ!」」「「奪え! 奪え! 奪え」」

「やめてー! 助けてー!」


血と炎で赤く染まる空に叫び声がこだまする。




そして、次なる矛先は帝国の象徴・・"バベルの巨塔"へと向けられた。

だがそこは大河イグナの中州、天然の要害、そして帝国創設の時代から生き続ける魔導士にして公姫・・ラトナがいた。



-- -- -- -- -- -- -- -- -- --



"バベルの巨塔"へと至る道は、ただ一本!

風に揺れる、細く頼りない木橋のみ。


重装の兵が数人乗れば、たちまち崩れ落ちてしまいそうなその橋は、まるで"誘う"かのように静かに揺れていた。



事実上・・"バベルの巨塔"攻略には船が必要となる。

だが・・船での接近も困難となろう。


なぜなら、"バベルの巨塔"から放たれる幾つもの魔弾が水面を穿ち、水柱が天を突く。

その一撃は、船をもろともに沈める力を持っていた。


「ちっ、かなりの兵が、あの塔に立てこもっているな。

もしかすると・・取り逃がしたナリュタ王も、そこに・・・!」


そう吐き捨てるのは、黒い鎧に身を包んだ巨漢の男・レイガン。

“海の民”を率いる族長の一人である彼は、巨大な剣を地に突き立て、 天にそびえる忌まわしき巨塔を、鋭く睨みつけていた。


中州の周囲には、すでに五千の兵が布陣を終えている。

しかし、その巨塔はまるで難攻不落の砦のように、 空から“海の民”の軍勢を見下ろしていた。

その威圧は、まるで塔そのものが意志を持つかのように・・・




◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



「さ・・殺戮! 略奪だと! やっ・・やつらめ! よくも」


その悲痛な叫びが、塔の石壁を震わせるように響き渡った。

その声の主は、公姫ラトナ。


初代皇帝の王女にして、200年を超えて生きる魔導士。

時を越えてなお若々しいその瞳は今、怒りに燃えていた。


彼女が立つは、"バベルの巨塔"の中腹にある石造りのバルコニー。

高所から見下ろすその視線は、対岸に陣を敷く“海の民”へと向けられていた。


「殺す! 絶対に殺す! 一人たりとも生きて帰しはしない」


その叫びは、激情に満ちていた。

かつて父であり、初代皇帝ルドラシイムと共に戦った頃から変わらぬ・・彼女の、激烈なる性格が今もなお燃えさかっていた!




魔導士ラトナは・・すぐに迎撃準備を開始した。

そう、この"バベルの巨塔"の各階には・・万が一に備えて、ある魔導兵器が封印されていたのだ。


それはかつて・・父にして初代皇帝ルドラシイムと共に戦場を駆け抜けたあの懐かしき時代に、ラトナ自身が設計・開発した傑作・・人型二足歩行兵器"シンルーラ"


その巨体・・身長は2 ラヌル(メートル)を超える鋼鉄の魔導機械。

人の姿を模したその姿は、威圧と威厳を兼ね備え、まさに戦場の覇者と呼ぶにふさわしい。


「実に懐かしい! 200年ぶりの稼働なのか!」


ラトナの瞳に宿るのは、戦いへの高揚と、過去への誇り、そして帝都を破壊した奴らへの復讐

今、再び牙を剥く。


-- -- -- -- -- -- -- -- -- --


雲の向こう・・成層圏にまで達する巨塔"バベル"の地下深くに、塔の心臓部ともいうべき空間が存在した。

その名も・・・"魔導の間"

そして その床一面に描きこまれている魔導の刻印。

これが"シンルーラ"・・人型二足歩行兵器の中枢にして、1000体もの魔導機械を制御する指令室なのである。


ここで、魔導士ラトナは静かに歩み寄り、刻印へと念を込めた。

その瞬間、部屋全体が光に包まれ、空中に立体映像が浮かび上がる。


それはまるで某異世界のパソコンOSが起動するかのような光景。しかもBGM付き! ラ~ラ~♪

そして、これらのシステムが立ち上がった後に・・無数の文字と数値が走り出す。


これらの情報は“シンルーラ”の内部構造を示すデータ群・・通信プロトコル、動力系統、制御回路。

どれも異常なし。すべてが、正常稼働だと示していた。


「よし、起動初期段階に問題なし! 200年前と変わらない」


ラトナは小さく頷き、そして指先で印を切った

すると・・塔全体が、ゆるやかに震え始める。


そう、動き出したのだ。 帝国の秘匿兵器が、永き眠りから目覚めたのだ。


「200年前、この帝国ルシャーナを築き上げた勇者たちよ・・立ち上がれ!」


その叫びとともに、立体映像に映し出される・・外部の景色。

そう、そこには"シンルーラ"たち、総勢1000体の素晴らしき勇姿がいた!


そして・・対岸に向かって魔弾を撃ち始めた。

彼ら"シンルーラ"は魔導士なみの魔導攻撃が可能なのだ!



--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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