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女神降臨!?


テセイと名乗る祭司長は、恐れを抱きながらもラトナを睨みつけていた。

バベル教の祭司として・・神に仇なす異教徒や魔族を罰することは、己の務め。

特に魔族の象徴たる“魔法使い”を撲滅することは、最上級の使命であった。


これまで数多の者を“魔法使い”と疑い、または仕立て上げ、そして葬ってきた。

だが、目の前の少女は・・いつもとは違う。

そう、本物の“魔法使い”なのだ。


しかも、手を触れることなく、遠くから人の命を奪う化け物。

祭司長テセイは今、恐るべき存在と対峙してしまっていた。


間違いなく・・戦って勝てる相手ではない。殺されてしまう。

ならば、唯一の方法は・・神の威光による説得、これしかない!


偉大にして全能・・祝福の女神バベル公姫の神威と御心によって、改心させるのだ。


「そなたが心を入れ替え、神の意に背く"魔法使い"をやめるなら・・女神バベル公姫は、そなたを赦すであろう」


祭司長テセイは必死に言葉を紡ぐ。

だがラトナにとっては、それはただの“笑い話”にしか聞こえない。


・・・明らかに、“女神バベル公姫”とは私のことだろう!

" 私が私を赦す!? 魔導士をやめろって!? あっははは~ "


いったいどういう経緯があったのかは知らないが・・・この200年の間に、私は神に祀り上げられてしまったらしい。

まぁ、確かに200年前、魔導を駆使して色々とやらかし・・・

魔導の神様と言われていたこともあったが・・本当の神になるとはねぇぇぇ(遠い目)





◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇ 


かつて“魔導士”と呼ばれた者たちは、いつしか“魔法使い”と呼ばれるようになり、異端、迫害の対象とされ姿を消していった。

こうして・・"魔法使い"が姿を消すと、次なる異端の烙印は"黒い髪"を持つ人々となった。

彼らは魔法使いと同一視され、同じように弾圧の嵐にさらされることになる。


( ちなみに、黒髪と魔導士(魔法使い)にはなんらの関係もない。魔導士に髪の色は関係ないのだ。)


このように異端政策を推し進めたのは、200年前には存在しなかったバベル教。

祝福の女神・バベル公姫を祭り上げ、異端者を弾圧していった。


だが、その女神として祀られているのは、他ならぬ・・(ラトナ)自身なのだ。

なぜだ!? どうしてだ!?

この200年間に、いったい何が起きたというのか!?


◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇




祭司長テセイは、本物の“魔法使い”ラトナを前に、恐れを抱きながらも心を奮い立たせ、真剣に説得を試みる。


だが、ラトナは、どこ吹く風とばかり聞き流す。そして、同じ言葉を繰り返し聞くのに飽きた・・

別の展開が必要だ。

「ふっふふ」・・ここは一つ、面白いことをしてみよう。



「そうそう、私の自己紹介を忘れていたね」


ラトナが静かに言葉を発すると、祭司長テセイは何かを期待するかのように、ゆるりと目線を上げた。


「・・・私の名は」・・・と、彼女はもったいぶったかのように一拍を置いた後に・・・


「"バベル公姫ルシャル・ノン・ラトナ" ルシャーナ帝国初代皇帝ルドラシイムの第一王女だ」・・と宣う!



「うっ!」


その宣言を耳にした瞬間、祭司長テセイは言葉を失い、やがて怒りに染まる表情へと変わった。

なんということだ! なんて恐れを知らない奴だ!


「貴様・・! バベル公姫を名乗るだと! こ、この不届き者め!」


それに対して、ラトナは嘲笑を浮かべ、鋭い眼差しで返す。


「お前たちが崇める神とやらは、それは、お前たちが忌み嫌う魔導士、私のような魔法使いの姿そのものなのだ。 どうだ! どうだ! 滑稽ではないか?」


勝ち誇るように顎を上げ、口角を吊り上げるラトナ。


「馬鹿な! そんなはずはない。虚言を弄するな!」


テセイの怒声が響く。だがラトナは余裕の笑みを崩さない。


「さてさて、そうかな!? 私はこれでも400年・・・生きているのだよ! バベル教とやらが誕生する前からね!」


「400年だと・・・あり得ない。

だが・・それが事実なら、貴様のような魔法使いは、この世にあってはならぬ存在! 神の威光を汚す、邪悪なる者だ!」


テセイは悪鬼の如く怒り、いまにも殴りかかろうとするが、理性がそれを押し留めた。

あの少女はただ者ではない。 その華奢な姿の奥底に、計り知れぬ武力と魔族の力を秘めているのだ。

殴ってはならぬ。あくまでも・・・冷静に! 冷静に!



だが、不意の出来事が発生する。

何らかの殺意が彼の身体を貫き・・祭司長テセイの口から血が溢れだしたのだ。

世界が赤く染まり意識が遠のいていく


「な、何が・・いったい!?」


テセイは目前のラトナを見つめるが、彼女は冷ややかな瞳で返すのみ。


「やはり、貴様は・・・悪魔!」


その言葉を最後に、声は途絶え、永遠の眠りへと落ちていった。

赤い血が地面を覆う。




祭司長テセイはラトナによって殺されたのか!?

いや、違う!


ラトナの傍らで座り込み、放心していた少女・・・

その手から放たれた魔弾が、祭司長テセイの命を奪ったのだ。


未熟で魔導の扱いも覚束ないとはいえ、彼女には確かに魔導の心得があった。

そう、この時代で生き残る・・数少ない"魔法使い"の一人だったのである。


そんな少女は叫ぶ。瞳を涙で溢れさせながら・・・・


「うちは・・・あいつを知っている! バベル教を敬え! 献金しろ! と称して

村人や家族から金も土地も奪った・・極悪人だ! だから殺した。うちは間違ったことはしていない。みんなの仇」


その慟哭に、ラトナは目を細め、静かに少女を見据える。

そして、ゆるやかに頷いた。


「なるほど復讐か・・それはそれで正しき行いであろう」


そう、ここは血と誇りに生きる・・中世時代。

どこかの先進文明世界とは価値観が違うのだ。


ラトナは一歩近づき、柔らかな声音で問いかける。


「勇気ある少女よ・・名を教えてほしい。私の名はラトナ・・魔導士だ」

その声は、怒りに震える少女の心を包み込むように、静かに響いた。


「ラトナ・・様!? あっああ〜 うちを助けてくださって 本当にありがとうございます」


少女は震える声で礼を述べ、自分の名前を明かした。


「私は"アユリーナ"・・エルドス村の出身です」


そこから彼女は・・ゆっくりと自らの境遇を語り始めた。


「あの男、あの祭司長と名乗る男が、うちらの住む村を脅した・・・

この村には・・黒髪が多い、それだけで異端だと・・“魔法使い”だと・・決めつけたのです!」


声は僅かに震え、怒りと悲しみが入り混じる。


「たしかに・・うちの家族は先祖代々“魔法使い”の家系でした。

でも、それはただの伝承。直に魔法を使えたのは・・・私だけだったのに!」


再び・・アユリーナの瞳に涙が滲む。


「あの人たちが狙ったのは・・うちらの家族ではなく村人全員だったのです。

黒髪というだけで・・・それだけで! 

金品も土地も奪い、奪うものがなくなると・・・みんな、殺されたのです!」


言葉は嗚咽に変わり、胸を締めつけるような痛みが滲む。


「私は・・その日、村にいなかっただけ。

ただ運がよかっただけ・・・でも、みんな・・みんな殺されてしまった・・!」


アユリーナの声は途切れ、静寂の中に悲嘆だけが残った。


ラトナはそっと彼女を抱き寄せ、震える肩を支えながら涙を拭った。

だが、ラトナは何も声を発しない。

励ましの言葉が、思いつかなかったからだ。




かつてあの時代・・400年前。

父王ルドラシイムとともに、ラトナは戦場を駆け抜け、幾度も命を賭して戦い続けた。

そこでは誰しも被害者であり、加害者!

民の命を奪うことさえ、避けられぬ現実とされていた。


ラトナ自身もまた、人に誇れるような行いをしてきたわけではない。


ただ信じるものは己の正義・・そして、それを実現するための強さ。

・・それのみが心の支えなのだ!


そう、目前の少女・アユリーナにも同じことがいえるであろう。


「強くなれ!」・・・とラトナの低い声が、静かに響くと・・・

彼女は小さく「はい」と返事をした。





--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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