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ケットシーにカレーを 4

「出来たぞ、早速」

 焼き上がり、皿に盛ったお肉を一枚を料理長は口に運んだ。


「やべ、美味い」

 この一言に、さっきからカレーの香りが気になってチラチラ見ていた厨房スタッフが一斉に動いた。


「料理長だけずるい」

「わたしにも」

「俺も、俺も」

 次々と手を出す。


「そう言うと思って、お前らの分も有るぜ」

 料理長は出された手に、次々とお肉を置いていく。


「美味しい」

「新鮮な味ね」

「コショウや辛子とも違った辛さがいいわ」


 評判は上々だった。


 料理長は自分の手柄のようにウンウンと頷いてから、

「おい若いの・・・いや、勇者様だったか」

 武茶士が勇者として凱旋したのを思い出したのだ。


「はい、なんですか?」

「これ、作り方教えて貰えねぇか?」

 真剣な顔で無茶士の顔を見る。


「う~ん、困ったな。教えるのはモモエルとの約束なんで構わないんだけど、先にカレーライスを作りたいから、その後になりますよ」

 モモエルとの約束は、カレーライスを作ってそれで魔道研の収益を増やす事なのだ。


「モモエル様との約束・・・」

 モモエルはこの研究所の所長、魔道研の最高権力者。


「モモエル様との約束があるなら仕方ない、先にそっちをやってくれ」

 宮仕えである以上、上司の要件が先になるのは異世界でも同じだった。


「ところでよ、カレーなんとかってなんだ?」

 ライスという言葉はこの世界には無いから当然の疑問だろう。


「ライスって炊いたお米の事でですよ。さっきの粉を野菜を煮詰めた中に入れて、炊いたお米の上にかけた奴がカレーライスです」

 カレーライスの説明を簡単にする。


「今ので野菜を煮詰めて飯の上にかけるのか・・・」

 料理長は味を想像する。


「美味そうだな」

 味を想像してニコッと笑う。


「美味しいですよ、ボクの国じゃ国民食でしたから」

 美味しそうと言われ、武茶士はホクホクの顔で返事をした。


「それ、ここで作るのか?」

「はい」

 きっぱりと返事をする。


「それはまずいな」

 料理長が顔をしかめる。


「ま、まずいんですか?」

 急に話の流れが変わって慌てる武茶士。


「いやあ、これ香りが良すぎてよ。ここで作ると食堂の方まで流れるからよ・・・」

「あっ、なるほど」

 意味が判って納得する。


 カレーの香りはかなり強い。


 味を知っている人間なら、この香りを嗅ぐと口がカレーの口になってしまう程に。


 知らない人間でも、食堂に入った途端にカレーの香りで食堂が満たされていれば何事かと思ってしまうだろう。


「これはモモエルに相談しないとまずいかも」

 いきなり思わぬ状況になって慌てる。


 その後、食堂では窓を全て開いて食堂からカレーの匂いを追い出す事となった。


 それを横目で見ながら武茶士は、再びサビエラにモモエルを呼び出して貰う。


                       (Copyright2025-© 入沙界南兎いさかなんと)

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