ケットシーにカレーを 3
製氷機がまだ数台しかなく、倉庫にしか置かれていないので当分その騒ぎは続くだろう。
その収益が魔道研にも入ってくるのだ。
予算がいくら有っても足りない魔道研としてはホクホクだった。
「カレーって美味しいんでしょ?」
「それは勿論、俺が元いた世界じゃ国民食だったから」
その言葉にモモエルの目が光る。
「是非、やりましょう。魔道研としても全面協力するわ」
その目は明らかに、二匹目のドジョウを狙っているのが丸わかりだった。
カレー作りは、その日から始まった。
「ここを使って下さい」
魔道研の食堂の厨房に案内され、武茶士の為に一角が提供される。
「まずカレー粉作りからだな」
必要なスパイスの入った瓶が調理台の上に並べられているので、武茶士は記憶にある通りにフライパンにスパイスを入れてコンロの火にかけた。
「弱火でじっくり、焦がさないように」
へらを使い、焦がさないように煎る。
スパイスを煎る香りが厨房全体に漂う。
「ちょっとあんた、何作ったんだ?」
香りに引かれて料理長が覗きに来る。
「カレーって言って、俺の故郷の料理だよ」
「ほう?」
料理長は興味を引かれたようで、しげしげと無茶士の煎っているフライパンの中を見ている。
「それにしてもいい香りだな」
料理長が息を吸い込み、これは堪らんという表情をする。
「そうでしょ」
誉められて嬉しくなる武茶士。
「そうそう、これはお肉や魚に付けても美味しいんですよ」
嬉しくなり、つい余計な事を言ってしまう。
「なに!ちょっと食べてみてもいいか?」
興味津々な顔で無茶士の顔を見る。
「え~っ、ちょっとしか作ってないから・・・」
と言いかけて、料理長の顔を見たらそれ以上言えなくなってしまう。
「今回だけですよ」
それだけ言うと、フライパンをコンロから降ろしてカレー粉を冷ます。
「わりいな」
料理長はそれだけ言うと、冷蔵庫から肉を取り出してきた。
「軽く塩を振って貰っていいですか」
武茶士の注文に、
「あいよ、任せておきな」
料理長は肉を薄く切り並べると、塩をさっと振る。
その間にカレー粉を浅い皿の上に満遍なく広げる武茶士。
「それじゃ、そのお肉にこの皿の上の粉をまぶして下さい」
言われるままに、次々とお肉に粉をまぶすし別の皿に取り分けていく。
流石に料理長だけあって、見事な手捌きだ。
武茶士は使ったフライパンを洗い、水気を取ると再びコンロにかけると薄く油を引く。
「さっと炒めた方が美味しいですよ」
その説明に、カレー粉をまぶしたお肉を料理長は炒める。
カレーの香りと肉を炒める香りが混じった香りが、厨房から食堂まで流れる。
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