ケットシーにカレーを 1
「うぉ~~、もう辛抱たまらん。カレーを作るぞぉぉぉぉ!」
武茶士は起き抜けに叫んだ。
寝ている時に、生前の自分が美味しそうにカレーを食べている夢を見たのだ。
口はもうカレーの口。
だが、この世界にはカレーは無い。
「何故無いんだ~~~!」
心の底から絶叫する。
「お米は手に入る、日本のお米と少し違うがカレーなら問題なし」
こちらで手に入るお米は少しパサパサしていて、日本のお米のようなもちもち感に少し欠けるのだ。
武茶士は生前お米マニアだったので、海外産のパサつくお米を食べる為のノウハウも持っている。
異国のお米でもお米はお米、お米に貴賤は無し。
どこの国のお米でも、それに合った炊き方をして美味しく頂く。
それが、生前の武茶士のお米への愛だ。
そして、お米と同じくらいに愛していたのがカレー。
カレー粉はスパイスから何度か作った事がある。
お店に出す味には及ばなかったが、それでもちゃんとカレーの味に出来ていたので満足だった。
「もちもち感の無いお米ならピラフかカレーにすれば問題ないよな。バターはあるから、バターライスにすればカレーにバッチリだ」
お米の対策は既に頭の中にある。
お米自体はもう購入済みで、毎日炊いて食べている。
それだからこそ、カレーへの渇望が強くなったのかもしれない。
「ネビュラ・ナナ様に貰ったコーラレシピ、あれを使えばケットシーでも食べられるカレーは作れるはず」
コーラもスパイスを使って作るので、ナナ様に貰ったレシピに、ケットシーでも大丈夫なスパイスの一覧が細かい説明付きで書かれていた。
「覚えている範囲だと、コリアンダー、ターメリック、チリペッパー、ジンジャー、黒コショウは少しなら猫でも問題なし」
一覧の内容を思い出そうと頑張る。
「それと、クミン、カルダモン、シナモンはケットシーなら問題なしと」
ケットシーは人間化が進み、猫では食べられないモノが食べられるようになっていたのだ。
「これだけ使えれば、カレーは問題なく作れる」
心の中ではニンニク使いたいと思いながらも、ネギ科の植物は猫にとって命に関わる毒となるので、
『ケットシーでも絶対ダメ』
の判子が一覧にしっかりと押されていたのだ。
なのでニンニクは泣く泣く諦めるしかなかった。
「これだけ揃えるとちょっと大変かな?」
コショウは魔道研がハウス栽培に成功して、王都で出回る分を作っているので安く買えたが、ジンジャーと唐辛子以外のスパイスは国外からの輸入頼り。
当然値段も高いし、手に入れるのも大変になる。
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