獣人族の村 ― 氷門の伝承
戦いを終えた後。
雪原を抜け、ヴァルグが案内する獣人族の集落へと向かう一行。
丸太の砦が並び、焚き火が絶えず燃える村。
そこに、影に侵された仲間たちが安静に横たわっていた。
「……影に呑まれた仲間は
まだ意識が戻らぬ……」
ヴァルグの声は低い。
イリナは優しく肩に手を置いた。
「大丈夫。まだ手はあるよ。」
カイルが胸を張る。
「たぶん……僕じゃなくてマスターが!です!」
「カイル、成長したね!」
イリナが頭を撫でる。
(扱いが完全にペット…)と獣人族の心の声。
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木造長屋の奥――
白い毛並みの老狼族、長老ザニアが杖を突いて現れる。
「雪猿王を止めたのは、そなたらか……人の騎士よ。」
イリナは礼をして名乗る。
「私はイリナ、七星騎士団《星槍》。
この村に、助力しに来た。」
ヴァルグが加える。
「彼女は敵ではない。命の恩人だ。」
長老の瞳が、深く光った。
「では……そなたらに見せねばなるまい。
**“氷門の記録”**を。」
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壁面に刻まれた巨大な壁画。
それは――
氷の大樹
影を縛る鎖
虚界から覗く黒い眼
そして一本の剣を掲げる英雄
長老ザニアが静かに語る。
「氷の門は、虚界へ通じる“封印鎖”。
それを守るのが氷冠竜。
だがその力も、影の震えで弱まりつつある。」
ヴァルグが歯を噛み締める。
「だから……影が各地で漏れ出しているのか。」
長老は獣の爪で壁画の《英雄》を指した。
「影核が復活すれば、門は砕ける。
ゆえに必要なのだ――
封印王の継承者が。」
イリナ
「……封印王?」
長老は頷き、次の言葉を続ける。
「最近、この北方へ一行が向かった。
“画家”を名乗りながら――
影を断ち、仲間を癒す術を持つ者だ。」
カイル
「(それ完全にレオン様では……!?)」
イリナ
「(ふふ、マスター秘密主義すぎ!)」
長老は厳かな声で言い放つ。
「その者は“筆を剣に変える”ほどの達人と聞く。
その従者もまた――獣人族を凌ぐ身体能力らしい。」
ヴァルグの耳がぴくりと動く。
「……人間が、俺たちよりも強い?」
イリナは得意げに胸を張る。
(内心)
うん!レオン様とクラリスさんのことだよ!
だが口には出さず、丁寧に言った。
「その方は……信頼できます。
私たちも、その行方を追ってきました。」
長老は手を差し伸べる。
「獣人族は共に戦おう。
影が我らの誇りを奪う前に……!」
ヴァルグが胸に拳を当てて吠える。
「誇りを守る戦いだ!
我ら狼族は、人と並び立つ!!」
村中が燃え上がるように叫んだ。
「オォオオオーー!!!」
イリナ
「よーし!みんなで影を滅ぼすぞーッ!!」
カイル
「マスター、熱量だけなら影核より危険ですッ!」
(※ツッコミ担当は今日も元気)
――こうして獣人族は、
知らぬ間に 不死王の盟友となる道を選んだのだった。




