雪猿王暴走 ― 星を抱く二人
白い息が風に消える。
雪猿王は暴れ狂い――
影晶が脈動し、さらに禍々しく変貌を始めた。
「ガガガァアアアア!!!」
暴風のような一撃が地を破壊し、
岩塊が砕け散る。
ヴァルグと獣人戦士たちは圧倒され、後退を余儀なくされる。
「な、なんだあの力は……!?
あれは……もはや獣ではない……!」
「影に喰われた者の末路か……!」
獣人族が狼狽するその前で――
女騎士は、まだ余裕の笑みだった。
「暴走パート入りました~!
ボス戦の音楽、もうちょい盛り上がらないかな~?」
弟子カイルが突っ込む。
「そんな余裕あるなら助けてくださいってぇ!!
このままじゃ自分死にますよ師匠!!」
女騎士の眉がぴくり。
「……カイル?
私は何て呼べって言ったっけ?」
「ま、ままま、マスターーー!!!」
「はいよろしい♪
じゃあいっちょ――マスターが
本気の“一割”を見せてあげよう。」
> 一割……?
ヴァルグたち全員の脳内で
「?」が浮かんだ。
---
女騎士が槍を構え、
穂先に夜空のような光が収束する。
空気が震えた。
風が渦巻き、雪が光へ引き寄せられる。
「序列――第七位
七星騎士団《星槍》イリナ」
ついに名乗った。
「ちょ――師匠マスター名乗り出ちゃってますけど!?
正体隠すんじゃなかったんすか!?」
イリナは満面の笑みで親指を立てた。
「あとで忘れてもらえば平気!」
「雑ァァァ!!」
雪猿王が咆哮し、頭上から叩き潰すように襲いかかる!
ヴァルグが叫ぶ。
「避けろォ――!」
その瞬間――
女騎士の姿が、風ごと掻き消えた。
---
「《星閃・ミーティアランス》》」
星の軌跡が一本――
雪猿王の腕を貫き、夜空へ突き抜けた。
爆風。
雪煙が舞い上がり、影が霧散する。
ヴァルグたちは息を呑む。
> 「……あれが……人間の力か……?」
カイルが追撃の構えを取る。
「マスター!トドメを!」
「もちろん♪
影は――希望を曇らせるもの。」
イリナの瞳が、星空のように輝く。
「だから私は、闇に光を穿つ――
七星の騎士だから!」
槍を振り抜き、叫ぶ。
「《スタークルセイド》!!》」
星弾が炸裂し、
雪猿王の影晶核が砕け散る!
巨体が、静かに膝をついた――。
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獣人族、絶句
風だけが鳴った。
ヴァルグ
「……ば、化け物……?」
隣の老戦士
「いや、化け物はあっちだろ……」
若い狼戦士
「星を……纏ってやがる……」
イリナはくるりと槍を回し、
カイルとハイタッチ。
「勝利っ!星は我々に微笑んだ~♪」
「すごいっす師匠!!」
「だからマスターって言えってば!!」
「\マスターー!!/」
(……恐ろしい師弟だ)
ヴァルグの心の声。
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イリナは獣人たちへ手を差し伸べた。
「私たちは、襲いに来たんじゃない。
一緒に戦いに来たんだよ。」
ヴァルグはしばし黙ったが――
ついに頷く。
「……助力、感謝する。
星槍の騎士よ。」
「仲間でしょ?
影なんて、殴って追い払えばいいだけ!」
カイル
「殴って追い払うだけ……?
僕はまだその域に行ってないっす……」
「それは修行が足りない!走り込み1000周!」
「ぎゃああああ!!」
人間と獣人族の誤解は解かれた。
いつもありがとうございます。また近日更新します。
次回、獣人族の村 ― 氷門の伝承




