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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第二章 氷冠の再誓(ひょうかんのさいせい)

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雪牙の使命 ― 南谷の影を追え

北方山脈の麓――灰狼族の集落〈雪牙の谷〉。

氷風が吹き荒れる夜、焚火の明かりだけが闇を割いていた。


灰牙狼団《Fang-Gris》若頭

ヴァルグ・スノーファングは、

仲間の報告を受け、険しい顔をしていた。


「……南の雪猿族が倒れ始めたと?」


飛来した鷹人族の偵察兵がうなずく。


「はい。黒い霧を吐いて仲間を襲い始めたと……

 自我を失った“影食い”の症状に似ています。」


焚火の周りで、仲間たちが不安げに唸り声を漏らす。


「瘴気か……」

ヴァルグは低く呟いた。


思わず、雪原で拾った黒い結晶――

影晶の欠片を取り出す。


「これが……増えている。

 このまま放置すれば、

 雪猿族だけでなく全ての種族が呑まれる。」


仲間の一人が焦りを露わに叫ぶ。


「どうする、ヴァルグ!

 我らだけで止められるのか!?」


ヴァルグは静かに立ち上がり、

月に照らされた鋭い牙を見せた。


「止める。

 これは“獣の脅威”だ。

 人間との争いより先に――

 この影を喰い破る。」


戦士たちの目に、再び光が宿る。


鷹人族の偵察兵が、か細い声で問う。


「……人間には、知らせますか?」


その言葉に、静かな沈黙が落ちた。


ヴァルグはわずかに眉をひそめる。


(南では“人間が闇を招いた”という噂もある……

 だが、確証はない。

 今は――戦うべき敵が他にいる。)


「必要になれば知らせろ。

 だが今は、雪猿たちを守ることが先だ。」


その決断に、仲間たちが唸り声で応える。


> 「灰牙狼団、出るぞ!

影に呑まれた仲間を救いにッ!!」





---


数刻後 ― 南谷


雪が赤黒く汚れていた。

山肌のあちこちに、爪で斬り裂かれた跡。

そして――


「マ、マ、マ……!!!」


雪猿族たちが狂った叫びをあげ、

仲間を噛みつきながら倒れている。


黒い霧が口から漏れ、瞳は闇色に濁っていた。


ヴァルグは仲間に命じる。


「噛まれるな! 影晶の毒だ!

 拘束と鎮静――殺すな、救うぞ!!」


灰狼族の戦士たちが雪猿の群れに飛び込み、

縄を投げ、氷柱で足を封じ、

襲いかかる相手を捌いていく。


しかし――


「――ッ! 数が多い!」


仲間が押し負けそうになった瞬間、

ヴァルグが咆哮と共に突撃し、

氷の牙を纏った拳で道を切り裂いた。


> 「雪牙は仲間を捨てぬ!

影に負けはせんッ!!」




吹雪が彼らの戦いを隠し、

月光がその牙を照らしていた。

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