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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第二章 氷冠の再誓(ひょうかんのさいせい)

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焚き火の夜 ― 怖がり預言者のひとこと』

〈鉄炉亭〉での夕食を終えた夜。

雪がやみ、空には淡い星明かりが広がっていた。

宿の裏手――小さな焚き火のそばで、ノエルとクラリス、アリア、そしてセリオが肩を並べていた。


火の粉が静かに舞い上がり、湯気のように夜空に消えていく。


クラリスが木の枝で火をつつきながら言う。

「……こうして静かな夜を過ごせるのも、明日までかもしれませんね。」


アリアが頷く。

「ええ。南坑の“炎喰い”……魔力感知だけでも尋常じゃない瘴気を放ってるわ。」


ノエルが短く息を吐く。

「怯むな。闇が深いほど、灯は強く輝くものだ。」


そう言いながら、焚き火を見つめるその瞳は、どこか遠くを見ていた。


すると――。

火の向こう側で、セリオがじっと炎を見つめていた。

その表情は、いつもの情けなさではなく、どこか“真剣”なものだった。


「……あの。」


ノエルが目を向ける。

「どうした、セリオ。」


「なんか……変な感じがするんです。」

セリオは焚き火の炎を指さした。

「火が、すごく綺麗なんですけど……奥の方が、黒く濁って見える。

 でもその奥に――青い光が、隠れてる気がして……」


アリアが小さく眉を寄せる。

「青い……光?」


セリオは小さく首をかしげながら続けた。

「はい。なんか、“火の底に水が眠ってる”みたいな……そんな変な感じがして。

 それが目を覚ますと、炎が優しくなる……そんな気がします。」


ノエルがわずかに目を細めた。

「火の底に……水、か。」


アリアが興味深げに鑑定魔法を展開した。

「……不思議ね。セリオさんの言葉に反応して、火の波長が揺れたわ。」


「えっ!? い、今の僕の発言、物理的に影響ありました!?」

「ええ。あなたの“予知の共鳴”が発動したのよ。」

アリアの声は、静かに確信を帯びていた。

「セリオさんの預言は、感情や直感じゃなく、“未来の魔力の流れ”を読み取ってる。

 つまり――あなたが見た“青い光”は、明日の戦いの鍵よ。」


クラリスが微笑んだ。

「水の精霊アクエラが、炎の試練に備えて教えてくれたのかもしれませんね。」


セリオは頭を抱える。

「うぅぅ……そんな大事なことを、怖がりな僕に教えるなんてぇ……

 もう、責任重大じゃないですかぁぁぁ!!」


ノエルが穏やかに笑う。

「恐れることはない。お前の“青い光”が、我らの道を照らす。」


アリアが軽く頷く。

「“火と水が交わるとき、炎は清浄となる”――

 きっとその意味は、明日わかるわ。」


セリオは焚き火を見つめ、

少しだけ真剣な声で呟いた。


「……じゃあ、明日は……ちゃんと守らないといけませんね。

 この火も、みんなも。」


風が吹き、焚き火の炎が青く揺れた。

まるで――彼の言葉に応えるように。



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