王都防衛戦 ― 翼影襲来
鐘の音が王都中に鳴り響いた。
「――ワイバーンだ! 空を見ろ!」
市街地を覆う不安の空に、巨大な影が滑り込む。
漆黒の鱗を纏い、両の翼に影晶の結晶を生やした怪物――ワイバーン。
防御結界の縁を突き破るように急降下し、その巨体が市場の屋根を粉砕した。
「ひ、ひぃぃっ!」
逃げ惑う民、崩れ落ちる瓦礫。
兵たちが駆け寄るが、影晶の棘を纏った尾の一撃でまとめて吹き飛ばされる。
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市街地での迎撃
「クラリス!」
レオンが名を呼ぶと、剣士は既に走り出していた。
「――月華剣舞・白鶴の一閃!」
銀光の舞が尾を弾き飛ばし、火花と瘴気が散る。
その隙にレオンの影がひと閃、ワイバーンの片翼を裂いた。
「ぐおおぉぉ!」
怪物が地をのたうち、家屋をさらに薙ぎ払う。
子どもの泣き声が響いた瞬間、クラリスは身を翻し、舞うようにその前へ――
「――月華剣舞・霞返し!」
回転の刃で落ちてきた瓦礫を砕き、子を抱えた母を守った。
「お怪我はありませんか!」
「は、はい……! 本当に……」
レオンは目を細め、声を低くした。
「……一体でこの破壊か。だが、これは先触れにすぎない。」
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空に広がる激突
その言葉を裏付けるように、結界の上空にさらに数体の影が現れる。
十数の翼が夜空を覆い、瘴気の咆哮が王都全体を震わせた。
「来たか……! 本隊だ!」
城壁の兵たちが叫ぶ。
フェルディナンド卿が杖を掲げる。
「全魔導師、詠唱開始! 結界陣式を起動せよ!」
蒼い光の膜が空に浮かび、王都全域を覆う巨大な魔法障壁が展開する。
だがワイバーンたちは影晶を纏った突撃で結界を削り、火球を雨のように吐き出した。
「結界が……揺らいでいる!?」
「影晶が干渉しているのか!」
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その中で、モルガーナが立ち上がる。
「弟子たち! 見せてあげなさい、“暁の魔女”の術を!」
怯えていたメイリアが必死に魔力を練り、護りの符を空に投げ放つ。
「《護符陣・蒼環》!」
光輪が広がり、結界の揺らぎを安定させる。
一方、好奇心旺盛なリネアは笑みを浮かべ、杖を突き出した。
「――《閃光矢雨》!」
無数の光の矢が空を貫き、群れを分断する。
モルガーナ自身は紅の魔力を纏い、両手を広げた。
「夜明けの火よ、暁を告げよ――《紅蓮の暁光》!」
燃え立つ大火が天空を焼き払い、瘴気に覆われた雲を裂いた。
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その光の中、レオンとクラリスが同時に跳躍する。
「――月華剣舞・断影の舞!」
クラリスの刃が光の花を描き、翼を切り裂く。
「――斬ッ!」
レオンの本気の一閃が轟音と共に炸裂、ワイバーンの頭部を一刀で両断する。
赤黒い瘴気が霧散し、落ちてきた死骸は結界の外に弾き飛ばされた。
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フェルディナンド卿は杖を振り上げ、目を輝かせた。
「見たか!? これこそ伝説の力だ! 我らが今まさに歴史の証人である!」
兵や魔導師たちも息を呑み、そして歓声が次々と上がった。
市街地を覆っていた不安は、束の間ではあるが熱狂に変わっていた。
だが――
レオンの眼差しは冷え切っていた。
「影晶が奴らを操っている……これは序章にすぎない。」
また後で更新します。よろしくお願いします。




