セリオの大混乱と迫り来る影
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研究塔の空気はざわめきに満ちていた。
フェルディナンド卿は杖を握りしめ、興奮を抑えきれぬ声で叫ぶ。
「……やはり! 伝説の不死王レオン――数百年前に悪魔王を討ち果たした王が……この場に!」
その言葉に魔導師団員たちが一斉に息を呑む。
レオンは黙して反応を示さぬまま、ただ目を伏せていた。
――その直後。
「ふ……ふひぃ!? す、数百年前!? いま生きてるって……!? お、俺の曽祖父の曽祖父より古い人ですよね!? ぎゃあああ!」
セリオは顔を真っ青にして尻餅をつき、床を転げ回る。
「だ、だだ旦那様じゃなくて……不死王!? 僕、一緒に飲み食いしてましたよね!? やばいやばい、胃に穴開きます!」
クラリスは溜め息をつき、呆れ顔で腕を組んだ。
「……大げさすぎます。食卓を共にしたぐらいで死にゃしません。」
「いえ! 死にます! 心臓がもたないです!!」
場に失笑が漏れ、緊張が少し和らいだ。
だが次の瞬間、セリオの表情が急に強張る。
「……っ、ま、待って……来る……来るぞ……!」
彼は震える指で窓の外を指差す。
「翼の影が……数匹……! 牙……爪……炎を吐く……! うわ、ワイバーンだ! 王都に迫ってる!」
リネアが窓辺に駆け寄り、目を見開く。
「ほんとだ! 黒い影が、空の彼方から……!」
怯えたメイリアは小さく悲鳴をあげ、モルガーナの袖をぎゅっと掴んだ。
クラリスはすでに細剣の柄に手を添え、凛とした声を響かせる。
「旦那様。予兆は外れていないようです。――迎え撃ちましょう。」
レオンはゆるやかに立ち上がり、夜空を睨んだ。
月明かりを切り裂いて迫る、数匹のワイバーンの影。
「……影に染まろうが関係ない。飛べば、落とすだけだ。」
蒼い光が、その瞳に宿った。




