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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第一章 英雄の血脈 ― 光と影の再会

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門出の影

王都の外門近く。

荷車や馬車が行き交う中、レオンたちは出立の準備を整えていた。

クラリスは兵士から受け取った地図を広げ、補給路と中継地点を確認している。


「ここを通れば最短ですが……教団が仕掛けるなら、街道沿いが怪しいですね。」

「うむ。」レオンが頷き、馬具を整えながら静かに言う。

「急ぎたいが、無闇に走って影に呑まれるわけにもいかぬ。」


その時だった。

セリオが突然、顔を青ざめさせて頭を押さえた。

「ひぃっ……き、来る! 来ますよ!!」


クラリスが目を細める。

「また始まったわね。今度は何?」

「な、何って……! あの……黒い翼……牙……ぎゃあああああっ!」

セリオはその場で尻もちをつき、必死に地面を指差した。


レオンが落ち着いた声で問う。

「見えたものを、順序立てて話せ。」


セリオは半泣きになりながら言葉を繋いだ。

「お、王都の外れ! 森の近くに……でっかい、でっかい……“二つ首の影蛇”が!!

 旅人を丸呑みにして……兵士が槍ごと弾き飛ばされて……! 血が……血がああああ!」


クラリスがため息をつき、腰に手を当てる。

「……どうせまた当たるんでしょうね、その恐ろしい幻視。」

「そ、そうなんです!! 僕の“悪い予言”は100%当たるんです!! だから怖いんですぅ!」


周囲で馬車を整えていた兵士が、不安げに顔を見合わせた。

「……二つ首の蛇、だと? そんな魔物、噂でしか聞いたことがないぞ……」

「いや、辺境では影晶の瘴気で魔物が変異してるって話も……」


レオンは淡々と結論づけた。

「ならば向かうべきだ。放置すれば街道が断たれ、王都は孤立する。」


クラリスは剣の柄に手を添え、軽やかに笑う。

「また舞台の幕が上がるわけですね。――旦那様、準備は万全です。」


セリオは全力で首を振り、荷台の端にしがみついた。

「や、やめましょうよぉぉ!! 僕、戦うとか無理ですからね!? 足手まとい確定ですからね!? ほら、この震えた手ぇ見てくださいよ!!」

クラリスがさらりと返す。

「震えてるのは……逃げる足じゃなくて未来を掴む手よ、セリオ。」

「うわああああ! 名言ぽく言ってますけど僕の胃が死にますぅぅ!!」


レオンは口元にかすかな笑みを浮かべ、馬車に乗り込む。

「……行こう。影は我らを待っている。」


こうして一行は、不吉な予言に導かれるように、王都の外れへと進み始めた。

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