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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第一章 英雄の血脈 ― 光と影の再会

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宰相との謁見

王都の中心、白亜の王城。

民衆の不安をよそに、城内は静謐で重厚な空気に包まれていた。

レオンたちの馬車は中庭を通り抜け、やがて玉座の間とは別棟にある政務棟の前で止まった。


クラリスが一歩先に立ち、兵士へ声をかける。

「宮廷画家ノエル様、宰相閣下に面会の約定がある。」

兵士は驚いたように目を見開き、すぐに深く頭を下げて道を開けた。


セリオは小声で呟く。

「……宮廷画家の名声って、すごいんだな……。まるで王様に会いに行くみたいだ……」

「その通りだ。」とクラリスがさらりと返し、セリオは「えっ?!」と声を裏返らせた。


石造りの廊下を進み、重厚な扉が開かれる。

中は豪奢ながらも無駄を削いだ執務室――壁には地図と布令の文書が並び、机上には封蝋の山が積まれている。

その中心に座すは宰相オルヴィン。

長身の姿勢を崩さず、冷徹な眼差しで来訪者を迎えた。


「……宮廷画家ノエル殿。」

その声音は柔らかい礼を帯びながらも、底に鋼の響きを秘めている。

「この混乱の中、わざわざお越しいただいたこと、王国に代わり感謝する。」


レオンは静かに一礼した。

「王都の混乱は、旅の画布に影を落とすもの。……絵描きにできることは少なくとも、見過ごすわけには参りません。」


クラリスが横で控える一方、セリオは場違いな居心地の悪さに小さく縮こまっている。

「(こ、ここ……一番偉い人の部屋じゃないか……僕、帰りたい……)」


オルヴィンの眼差しがレオンを射抜く。

「……“影の教団”は動き続けている。イリス嬢の奪還、影晶の拡散阻止、そして民心の安定。

 ――この全てを同時に成すには、王国の力だけでは足りぬ。」


レオンは静かに答えた。

「……だからこそ、外から来た者の手が必要となる。」


一瞬、オルヴィンの唇がわずかに動き――彼らにしか聞こえぬほど低く囁かれた。

「“陛下”。」


クラリスの睫毛がぴくりと震えた。

だが次の瞬間、オルヴィンは表情を整え、再び朗々とした声で言う。

「宮廷画家ノエル殿。――王国は貴殿の力を必要としている。」


部屋の空気が張り詰める中、レオンはわずかに笑みを浮かべて応じた。

「光と影を描くのが画家の務め。……ならば、この国の影も、描き尽くすとしましょう。」

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