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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第一章 英雄の血脈 ― 光と影の再会

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影に揺れる王都

王都の高い城壁を抜け、馬車が石畳の街路へと入る。

かつては祭りの音楽や商人の呼び声で賑わっていた大通りは、今や不気味なほど静かだった。


両脇に並ぶ市場は半ば閉ざされ、木戸を打ち付ける音だけが乾いた響きを残す。

露店の棚は空に近く、商人たちは怯えた目で荷を抱え込み、家々の窓は固く閉ざされていた。


「……ひどいものだな。」

レオンが低く呟く。

「たった数日のうちに、この王都がここまで荒むとは。」


巡回の兵士たちが通りを行き交い、槍を構えて睨みを利かせる。

市井の人々はその背後に隠れるように身を寄せ合い、不安げな視線を交わしていた。


クラリスが窓越しに景色を見ながら、静かに言った。

「人々は“英雄の血”が奪われたと聞いています。  象徴を失った国は、心の拠り所を失う……それが最も恐ろしい混乱です。」


セリオは肩をすくめて身を縮める。

「な、なんか……市場も、墓場みたいに静かだよ。

 ああ、次は“盗賊に扮した教団の手先が夜の市場を荒らす”とか予知しそうで怖い!」


クラリスが半眼で睨む。

「言霊にするのはやめなさい。そうなったらまた、私が踊る羽目になるでしょう?」

「い、いいじゃないですか! 僕は横で震えてますから!」


レオンは小さく笑い、しかしすぐに真顔へ戻る。

「民の目から光が消えている。……この影の広がり、まだ序の口に過ぎぬのだろう。」


馬車は王都の中心部へと近づき、遠くに白亜の王城が姿を現す。

だが、その城の背後に垂れ込める曇天は、まるで国全体を覆う影の前触れのようだった。

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