影は炎を喰う ― 予兆は、いつも正しい
〈帝国南領・赤土前線 夜明け前〉
夜の闇が、まだ地上に残ったまま。
だが空はかすかに赤く焼け始めている――炎の大地が近い証だった。
セリオは両手で耳を押さえて、震えていた。
「や……やめて……
聞こえる……聞こえるんです……
“焼かれる声”……
そして……笑ってる声……」
アリアが眉を寄せる。 「……セリオの“精霊感応”が、もう予兆を越えてる。
影が“戦場になる未来”を見せているのよ。」
クラリスはレオンの隣で剣に手を添えた。
「旦那様、切迫しているようですね。」
イリナは肩を回しながら、気楽に言う。
「んじゃ、来るなら来るって言ってくれればいいのにね~。
待ち伏せとか影のくせに性格悪~い。」
セリオ、涙目のまま叫ぶ。
「そ、そういう軽口言ってると死にますぅぅ!!
ほんとに!! ほんとに来ますからぁぁ!!!」
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帝国軍、灼炎掃射陣形 展開
前線の大地が揺れる。
魔導砲台が十数台、
巨大魔導甲冑が隊列を組む。
指揮官・ドランヴァル少将が号令を放つ。
「――前線、灼炎掃射準備!! 点火・魔力炉心展開!!」
兵士たちが魔導装置に魔力を流し込む。
ゴオオオオオオオ――ッ!!
赤い魔力が砲口に凝縮し、
まるで“太陽を撃ち出す”かのような熱が溢れた。
ドランヴァル少将(自信に満ちて)
「影獣など、兵器の前では塵に等しい。
王国の剣士は見ているがいい。」
イリナ
「ハイハイ、勝手にどうぞ~~~(棒)」
クラリス
「……(にこり)負けたときに言い訳できないように言質は取りましたわ。」
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黒い霧が地平から湧き上がる。
アリア、即座に解析。
「……影濃度、異常値。
虚界汚染、確定。
魔族が“門をこじ開けてる”。」
セリオ、叫ぶ。
「まだ本体来てません!!
来てるのは“爪”だけ!!!」
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「――撃て!!」
轟音。
炎の奔流。
地平が赤く焼き潰される。
視界すら白く飛ぶほどの灼熱。
兵士
「やったぞ!消し飛んだ!」
「勝った――」
アリア(目を細める)
「いいえ……違う。」
炎の霧が晴れていく。
そこに立っていたのは――
炎を喰っている黒い影。
黒炎を纏う、人型の“深淵の巨兵”。
《影の執行者》
> 『……食事は、終わらない。
もっと持ってこい。もっと燃やせ。
その火――甘い。』
炎を燃料にして再生する存在。
セリオ、膝から崩れ落ちる。
「き……来た……
あれ、倒せないやつです……!!!」
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虚界兵 10体 追加出現
黒い霧から、複数の影が姿を現す。
兵士
「なっ……数が増えてる!?
焼いたはずだろ!!?」
アリア
「再生……炎はむしろ“回復源”になっているの。――逆属性だったのよ。」
クラリス
「つまり……」
レオン
「この戦術は通用しない。」
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虚界兵が兵士を一撃で吹き飛ばす。
マギア・ウォーカーの外装が裂ける。
そのたびに黒い霧が傷から流れ込み、兵器の内側に侵食する。
ドランヴァル少将「馬鹿な……!この出力の灼炎が……通らない……?」
イリナ
「そりゃ言ったよね?
“影って殴っても死なないタイプだよね~?”って!」
クラリス
「後方で“視察”していろ、でしたわよね?」
イリナ
「ね~~~~?(にっこにこ)」
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熱風の中。影の咆哮の中。レオンは一歩だけ前に出た。その表情は――静かな怒り。
「……セリオ。」
セリオ
「は、はいぃ……!」
「まだ“本体”は来ていないな。」
セリオ
「……はい。
あれは……ただの“影の影”です……。」
レオン
「ならば――
まだ間に合う。」
クラリス、即座に横へ。
イリナ、槍を回す。
アリア、魔法陣準備。
セリオ、小刻みに震えつつ……目が澄む。
次回、「反撃の号令 ― 王国式《影狩り陣形》」
帝国の炎は通じなかった。影は燃やすほど強くなる。
レオン一行は“影を断つための刃”を持っている。
次は、クラリス vs イリナの護衛競争戦線
影の執行者との初交戦です。




