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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第一章 英雄の血脈 ― 光と影の再会

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月華流舞・白鶴の一閃

ルデリア村。

闇に染まった大地を、影狼が踏み荒らしていた。馬車ほどもある巨体は影晶を纏い、赤黒い眼が血のように輝く。咆哮とともに瘴気が溢れ、家々が軋み、地が腐っていく。


「くっ……囲め! 槍を突き出せ!」

村を守る兵士たちは盾を並べ、必死に構えた。だが、影狼の巨腕が一振りされただけで十人近くが宙を舞い、盾は紙切れのように粉砕された。


「ぎゃああっ!」

「こいつは……化け物だ!」


火矢が放たれるも、瘴気に呑まれて掻き消える。魔法の矢すら結晶に弾かれ、兵の叫びと血飛沫だけが夜に響いた。

「下がれ! もう持たん――!」

必死の抵抗は、ただ影狼の猛威を際立たせるだけだった。


その時――。


「退け!」

澄んだ声が混乱を断ち切った。

レオンとクラリスが村へ駆け込む。


影狼の赤黒い瞳が二人を捉え、咆哮が夜空を震わせた。瘴気の波が押し寄せる。だがレオンは一歩も退かず、静かに掲げた手で流れを逸らす。

「……力を誇示するばかりか。下らぬ。」


クラリスが一歩前に出て、細剣を抜いた。

「旦那様。――ここは私に。」


舞台に立つ舞姫のように身を翻すと、彼女は凛とした声で叫んだ。

「――《月華流舞・白鶴の一閃》!」


流麗な足取りが瘴気を裂き、刃が月光を宿す。宙を舞うように回転しながら、振り下ろされた影狼の爪をいなし、返す一閃で結晶を粉砕した。


「なっ……!」

血に染まった兵士たちが息を呑む。


クラリスの剣は舞い続けた。突き、払い、翻り、斬る。

それは戦いではなく、光そのものの舞踏。

影狼の咆哮が苦鳴に変わり、巨体がよろめく。


「舞は美しく、そして鋭い。」

背後で見守るレオンが、低く呟いた。


クラリスは最後に月光を纏った一閃を放ち――。

「――《月華流舞・断影の舞》!」


白銀の光が闇を裂き、影狼の首を斬り裂いた。

巨体は轟音とともに崩れ落ち、瘴気は霧散していく。


静まり返る村。兵士たちは呆然と立ち尽くし、やがて歓声が爆発した。

クラリスは荒い息を整えながら剣を収め、一礼する。

「旦那様。……お役目、果たしました。」


レオンは微笑みを浮かべ、静かに頷いた。

「よくやった、クラリス。だが――影はまだ潜んでいる。これからが本番だ。」


歓声が夜空に響く中、レオンの瞳はただ一人、闇の奥に潜む真の敵を見据えていた。


いつもありがとうございます

今日はここまででまた明日更新します。

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