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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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戦線の影 ― 予兆と軽侮と燃え上がる前夜

〈帝国南領・赤土前線地帯〉

大地が火を孕むように熱を帯び、空には黒い灰が漂っていた。

兵の足跡も、戦車の車輪の跡も、焦げた地面に深く刻まれている。


遠方に、巨大な軍旗。

帝国第七近衛騎士団――“紅炎防衛線”だ。


セリオは歩きながら、胸元を押さえていた。


「……なんか……鼓動が、変です……

 誰かの悲鳴が、喉の奥に引っ掛かって……

 呼びかけて、きて……」


アリアが素早く彼の肩に手を置く。


「セリオ、落ち着いて。

 “水の精霊呼応”が強まってる。

 あなたの感覚は“影の位置情報”に近い。」


セリオの瞳が、水の揺らぎのように淡青く輝く。


「……すぐそこ……来ます……

 “いっぱい”……

 泣きながら……“燃えてる”……」


クラリスは剣の柄へ自然と手を添えた。


「旦那様。セリオさんの予兆は間違いありません。」


レオンは静かに頷く。 「前線は――もう戦場になっている。」



--


背の高い防壁。

蒸気を噴き上げる巨大な魔導甲冑マギア・ウォーカー

移動砲台型魔導兵器バルク・キャノンが列を成す。


帝国近衛騎士たちの視線がレオンたちに向けられた瞬間――

空気に軽い嘲りがまざった。


騎士(小声) 「本当に来たのか……王国の“古式剣士”一行が。」


別の騎士 「剣?槍? そんな前時代的な装備で何をするつもりだ?」


兵士 「炎の獣を相手にするのは――兵器の仕事だ。

 素人は後ろで見てろってことだ。」


イリナ

「はああ~~??」


クラリス(にこり) 「イリナさん、落ち着いて下さいまし?」


イリナ

「ワ・タ・シは落ち着いてるヨ?

 ただ『頭が悪いのかな?』って思っただけ~?」


(※火花、散る)


アリア(大きくため息) 「これだから帝国の“技術至上主義”はめんどくさいのよね……」


そこへ、紅い軍装を纏った指揮官が姿を見せた。


第七近衛騎士団長

カーレス・ドランヴァル少将


カーレス

「王国の客人よ。

 お前たちの勇気は認める。だが――

 この戦場では“剣”ではなく“魔導戦力”が主役だ。」


レオン

「……というと?」


カーレス

「我らが誇る《灼炎魔導砲台群》で影獣を焼き尽くす。

 お前たちは後方で状況を“視察”していればいい。」


クラリス、すぐ反論しようとする――

が、レオンが軽く手で制す。


レオン(穏やかな笑み)

「――了承した。」


イリナ

「レオン様!?

 絶対“納得してない”顔してるじゃん!!!」


レオン

「見るべきものがある。

 それが済めば、どうするべきか分かる。」


アリア(理解)

「……“影の根”の形を読むつもりね。」


セリオ(小声)

「こ、この流れ……絶対後で大変なことになりますよぉ……!」



---



夕刻。

赤い地平線がじりじりと燃える。

兵器は唸りをあげ、帝国軍は前線準備につく。


だが、レオンだけは――

沈む太陽の向こうを見ていた。


「……来る。」


セリオが再び胸を押さえる。


「……燃えてる声……泣いてる声……

 “影”が……

 “怒ってる”……」


アリア(低く)

「この気配……魔導将級。

 氷で出会ったイスカリオスと同等。

 ――いいえ、もっと荒々しい。」


クラリス

「旦那様。指揮官に伝えましょうか。」


レオン、ゆっくりと首を振る。


「言っても準備は変わらない。

 ――帝国は、まず兵器で挑むだろう。」


イリナは槍を軽く回し、笑う。


「んじゃ、兵器が足りなくなったら――

 ウチらの番だね?」


クラリス、すれ違いざまに微笑む。


「いいえ。

 旦那様を守るのは私ですわ。」


イリナ

「言ったなぁ~?

 やろーじゃん、勝負!」


セリオ

「なんで戦場前にヒロイン戦なんですかぁぁぁ!!」


アリア(頭を押さえながら) 「……まあ、どっちも本気なのは伝わるけど。」


いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、影は炎を喰う ― 予兆は、いつも正しい

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