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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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空中異変 ― セリオの予兆、紅蓮を裂く影」

〈帝国軍飛行輸送艇〈フレアホーク〉〉

帝国領上空


赤く染まった空を、飛行艇が静かに進む。

火と風の魔石が共鳴し、船体は安定した航路を保っていた。


アリアが計器を確認する。

「……魔力波、安定。推進魔陣も正常稼働中。順調ですね。」

ガイル監察官が頷く。

「この調子なら、あと少しでヴァルハイド上空へ入る。」


クラリス:「静かすぎますわね。帝国の空がこんなに穏やかとは。」

レオン:「……いや、これは“静まりすぎ”ている。」


そのとき――


「ひぃっ……!? ヤ、ヤバいですぅぅ!!!」


突然、セリオが頭を抱えて叫んだ。

全員が振り返る。


イリナ:「ど、どしたのセリオ!? またお腹でも痛いの?」

セリオ:「ち、違いますぅぅ……! “くる”……きます!!

 でっかい……黒いやつが……空の下から……!」

アリア:「感応か……!?」

クラリス:「セリオさん、落ち着いて。何が見えるのです?」

セリオ:「黒い……風が逆さに回ってる……

 “何か”が……上がってくるぅぅぅ!!」


その言葉の直後――


船体が、ギシィッと軋んだ。

警告音が鳴り響く。


アリア:「っ!? 魔力圧、急上昇――! 魔素の流れが歪んでる!」

ガイル:「制御波乱れ!? 風魔石が逆流しているだと!?」


外の空が、黒く染まり始めた。

雲が逆巻き、炎の赤と闇の黒が混ざり合って渦を作る。



---


イリナ:「うわっ!? 何これ!? 雲の中で……何か、動いてる!」

クラリス:「旦那様、瘴気の濃度が急上昇しています!」

アリア:「これ……自然現象じゃない! “影の乱流”よ!」


セリオが震える声で呟いた。

「……くる……! “あいつら”、もう上にいるぅぅぅ!!!」


次の瞬間――

黒い閃光が空を裂き、

翼をもつ影獣の群れが、フレアホークの前方に出現した。


虚界兵ヴォイドリンク……!? 空域で!? あり得ないわ!」

アリアが叫ぶ。

ガイル:「防御陣、展開急げ! 魔導障壁を三層構築!」

操舵士:「機体がもたない! 風魔石が……逆流ッ!!」


船体が激しく揺れ、甲板に警報が響き渡る。

セリオ:「た、助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!」

イリナ:「大丈夫だって! ワタシがぜーんぶ落としてやるヨ!!」

クラリス:「イリナさん!? 冷静にっ!」

イリナ:「冷静だよ!? テンション高いだけっ!!」



---


レオンが立ち上がり、船体外縁へ出る。

「……影よ、退け。」

その声と同時に、剣が閃いた。


“封剣アークレイ”の蒼光が走り、黒雲を裂く。

一瞬だけ、空が青く戻る。


クラリス:「旦那様の剣閃が空を断つ……!」

イリナ:「っしゃあ! ワタシもいくヨ!!」


イリナが槍を構え、甲板の縁に立つ。

「星裂槍・ステラ・スローン!!」

星の光が矢のように飛び、影の群れを一掃した。

燃え散る瘴気が空に弾ける。


アリア:「制御陣、安定中……! 火炉出力を五%上げて! 推進波、保持して!」

ガイル:「この乱流を抜ける! 全員、姿勢を維持しろ!」


セリオが恐怖で震えながらも叫ぶ。

「ま、まだ下からきますぅぅ!! でっかいのがぁぁぁ!!!」


船体下方――

真紅の火の海のような瘴気渦から、

巨大な影の腕が伸び上がった。


クラリス:「旦那様っ!!」

レオン:「見えている――!」

刃が閃き、影の腕を一閃で断ち切る。


炎が舞い上がり、空が再び明るくなる。



---


アリア:「……乱流、減衰中。……ふぅ、なんとか抜けた……!」

セリオはぐったりと床に崩れた。

「も、もうイヤですぅ……この空、悪意ありますぅぅ……」


イリナ:「ナイス感知だったじゃん、セリオ! アンタいなかったら今ごろ焦げてたかもね!」

セリオ:「褒められても嬉しくないですぅぅ……!」

クラリス:「……本当に、あなたの予兆がなければ危なかったですわ。」

アリア:「そうね。あの“影の乱流”……虚界の干渉が表層まで達してる証拠よ。」


レオンは空を見上げ、低く呟いた。

「――これは、ただの乱流ではない。

 “呼ばれている”……誰かが、我々を見ている。」


アリアが顔を上げる。

「まさか……“魔導将級”の力が、もう動いてるの……?」


遠く、黒い雲の中心で――

光のような“眼”が、一瞬だけ彼らを見つめた。


次の瞬間、それは消え、

紅蓮の空に、静寂だけが残った。


いつもありがとうございます。また明日更新します。次回、赤土に落ちる影 ― 緊急着陸と帝国軍の戦術会議

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