暁の光 ― ルミナ・プロト起動試験
〈帝国東領・ブルーリヴァー前線陣地〉
濃霧が晴れた夜明け前。
山間の要塞跡地にて、帝国軍が再編を進めていた。
あの“影の執行者ヴァルドラ”の再来に備え、兵たちは沈黙の中で剣を磨いている。
その中央、巨大な魔導陣を描いた研究テント。
ミュリオが白衣をひらめかせ、汗まみれで叫んだ。
ミュリオ:「で、できたぁぁぁぁっっ!!!」
ヴェイル:「ま、マジかよ……徹夜で3日じゃねぇか。」
リスティア:「これが……“ルミナ・プロト装備”ですか?」
ミュリオ(ドヤ顔):「そうっ!! 聖槍〈ルミナ・シールド〉の光波を“錬金圧縮結晶”に転写して、
一時的に“対影干渉場”を発生させる簡易システムです!!」
ティル=アクエラ:「簡易って言っても……もう完全に奇跡の領域ですね。」
レイヴン(感心したように):「……あの光を人の手で再現したか。さすがだな、ミュリオ。」
ミュリオ(涙目):「レイヴン様に褒められたぁぁぁぁぁっっ!!!」
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帝国副隊長レオニードがテントに入り、装備を見つめる。
「これが……兵装ユニットか?」
ミュリオ:「はい! この“ルミナ・コア”を胸部に装着すると、
一定範囲内の瘴気を打ち消し、“影化”を防止します!」
レオニード:「持続時間は?」
ミュリオ:「約三分間! でも、再起動に十五分は必要です!」
ヴェイル:「つまり、切り札だな。」
リスティア:「使うタイミングを間違えたら……死にますね。」
ミュリオ:「そういうことですっ」
(帝国兵たちの顔が一斉に引きつる)
レイヴン:「テストする。実戦でなければ意味がない。」
レオニード:「了解。
――実戦模擬、開始せよ!」
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帝国魔導兵が小型召喚陣を起動し、虚界より“下位影兵”を一体呼び出す。
黒い霧が集まり、人型の影が現れた。
帝国兵:「出たぞ……!」
リスティア(構えながら):「いきます!」
ルミナ・コアが蒼く発光し、波紋が広がる。
影兵が一歩踏み出した瞬間――その脚が“光の膜”に触れて、灰のように崩れた。
ミュリオ:「やったっ! 干渉成功!!」
レオニード:「確かに……瘴気の進行が止まっている。」
ヴェイル:「これなら、ヴァルドラの瘴気にも対抗できるかもな。」
ティル=アクエラ(微笑みながら):「水の聖樹も……これで息を吹き返すかもしれません。」
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だが次の瞬間、召喚陣が暴走した。
黒い霧が吹き出し、三体目の影兵が異常反応を起こす。
ミュリオ:「うわぁぁぁ!? 出力が上がりすぎた!? やばい、ルミナ・コアが――!」
リスティア:「レイブン様!! 下がって!!」
レイヴン:「俺が行く――!」
レイヴンの剣が光を纏い、影兵を一刀両断。
しかしその刃に触れた影が、微かに再生した。
レイヴン(目を細めて):「……やはり。
“虚界の主”ヴェル=オルグの干渉が、ここまで届いているか。」
レオニード:「本番では……“奴自身”が来るだろうな。」
ミュリオ(冷や汗):「……プロト装備じゃ、三分が限界……!
けど、光の反応は確かに“影を拒絶”してる!
行ける、やれる、これは使える!!」
リスティア:「つまり……次の戦いが、決戦になるんですね。」
レイヴン:「ああ。“水守”の誓いを果たす時だ。」
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夜が明け、谷の霧が光に透ける。
帝国軍の前線部隊が整列し、ルミナ・プロト装備を装着する。
胸部の蒼い結晶が一斉に輝いた。
レオニード:「これより――ブルーリヴァー峡谷奪還作戦を開始する!」
帝国兵:「応!!!」
ミュリオ(小声で):「三分……いや、三分半までは保つはず……!」
ヴェイル:「死なねぇ程度にな。」
ティル=アクエラ(祈るように):「水の女神よ……この光を導きに。」
リスティア:「師匠、次こそ……ヴァルドラを倒せますか?」
レイヴン(静かに微笑む):「――倒す。
もう、誰も“影”に奪わせはしない。」
風が吹き抜け、聖槍〈ルミナ・シールド〉の輝きが空へ伸びた。
その光は、まるで夜明けの剣のように――
虚界の闇を貫こうとしていた。
ルミナ・プロト装備ミュリオ開発の試作“対影兵装”。使用者の周囲に聖光バリアを展開し、瘴気と影化を一時的に防ぐ。持続時間は3分。
ブルーリヴァー奪還作戦帝国軍+レイヴン一行の共同戦線。目的は“影の執行者ヴァルドラ”の討伐および“水の聖樹”の防衛。
帝国副隊長レオニード指揮官として本作戦を統率。冷静かつ実直で、レイヴンに強い信頼を寄せる。
影の再生現象ヴァルドラは“虚界主ヴェル=オルグ”と繋がっており、下位影兵の消滅にも影響を及ぼす。再生が完全には止まらない。




