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不死王レオンとアルヴィス王国物語  作者: スガヒロ
第三章

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暫定対策 ― 錬金術師ミュリオの実験帳

暫定対策 ― 錬金術師ミュリオの実験帳


〈帝国東領・前線野営地〉

聖堂奪還から一夜。

レイヴンたちは、帝国軍の臨時基地で休息を取っていた。


焚き火の光に照らされ、蒼く光る〈ルミナ・シールド〉が中央に置かれている。

その周囲で――ミュリオが何やら怪しい器具を並べていた。


ミュリオ:「ふっふっふ……錬金術師ミュリオ・ラスターン、天才の出番ですねぇ!」

ヴェイル(眉をひそめて):「お前……何をやる気だ?」

ミュリオ:「決まってるじゃないですか。**“ルミナ・シールドの光を再現する”**んですよ!」


リスティア:「えぇぇ!? そんなことできるんですか!?」

ミュリオ:「理論上は、ですけどねぇ!」

ティル=アクエラ(青ざめて):「理論上という言葉が一番怖いのですけれど……」

レイヴン:「やるなら慎重にしろ。

 あの槍は、聖樹の加護そのものだ。扱いを誤れば――」

ミュリオ:「どっかーん!って爆発ですかね!」

全員:「やめろーーー!!」



---


錬金実験 ― “光の模倣”


ミュリオは机に鉱石と聖水を並べ、ルミナ・シールドの光を水晶に反射させる。

光が分光し、青白い波紋が地面を走った。


ミュリオ:「なるほど……この波長……普通の“聖光”じゃない。

 “対虚界干渉波”だ!!」

リスティア:「たい……きょかい……なんですか?」

ミュリオ:「つまり、“影”そのものを拒絶する光ですよ!

 これを人工的に再現できれば――小型でも“影を断つ”武器が作れる!」


ヴェイル:「おい、本気でやる気か?」

ミュリオ:「本気ですとも!

 天才が一晩でやること、凡人は百年かかるんですよ!!」


レイヴン:「……結果が出るなら構わない。ただし、命を賭けるな。」

ミュリオ:「任せてください! 死なない程度に死ぬ気でやります!!」

ティル=アクエラ:「それ矛盾してますよぉぉぉ!」



---



ミュリオは魔導陣を描き、錬成台に鉱石を乗せた。

「“光精蒸留式・模倣構築――ルミナ・エコー起動!!”」


パァァァッ―――!


光が走り、場の空気が震えた。

リスティア:「わぁっ、すごい! 小さい光の槍が!」

ヴェイル:「おお……見た目だけなら本物みてぇだな。」

ミュリオ:「ふっふっふ……これが“模造光”。

 ただし、持続時間は十秒! 威力は雀の涙! でも、理論は証明されました!!」


レイヴン:「十分だ。

 その光があれば、我らも“影を払う”ことができる。」

ミュリオ(涙目):「ひゃっ……ひゃいっ!! 褒められたぁぁぁ!!!」



---


帝国副隊長レオニードが歩み寄り、模造光を見つめた。

「この光……我々の“聖印兵装”に組み込めるかもしれん。」


ミュリオ:「ええ! 錬金触媒を介せば、三分程度は持続できるはずです!」

リスティア:「じゃあ、帝国兵にも使えるように……?」

レオニード:「そうだ。

 あの“影の執行者”に再び襲われても、今度は逃げるだけでは済まん。」


レイヴンはルミナ・シールドを見つめた。

「……この槍が示しているのは、“光の原理”ではなく、“意思の在り方”だ。

 影に呑まれぬ意志を持つ限り、人は抗える。」


リスティア(小さく微笑む):「……だから、レイブン様は強いんですね。」



---


深夜 ―

ミュリオはルミナ・エコーの結晶を見つめ、うなる。

「……でも、あの執行者ヴァルドラの再生能力。

 あれは単なる影再構成じゃない。

 “虚界そのものの魔力”で再誕してる……」


ティル=アクエラ(隣で記録をつけながら):「つまり、模倣光では完全に消せない……?」

ミュリオ:「そう……。

 本物のルミナ・シールドにある“聖樹の核反応”が必要。

 これを再現するには、別の聖樹――“炎”か“大地”の力を組み込むしかない!」


ヴェイル(テントの外から顔を出して):「おい、徹夜すんなよ。

 お前の天才、燃え尽きたら困る。」

ミュリオ(ニヤリ):「大丈夫ですよ。

 天才は燃えてるうちが一番輝くんです!」


外では夜風が鳴り、遠くで“影の気配”が再びうごめいていた。



---



リスティア:「ミュリオさん、もう寝ましょう……。

 明日からまた戦いです。」

ミュリオ(ぼそりと):「……うん。

 でもね、リスティアちゃん。

 本当の天才っていうのは――世界を救う瞬間に笑える人なんですよ。」


その瞳に、炎のような決意が宿っていた。




ルミナ・エコー ミュリオが錬金術で作り出した光結晶。短時間だけ“対影干渉波”を発生させる。完全再現は不可能だが、臨時的な防衛装備になる。

帝国兵装改修計画ミュリオと帝国工兵隊が協力して、帝国軍の兵装にルミナ・エコーを埋め込む計画。

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