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オタク同士の結託


「……」


「ごめんなさい。えっと、その──驚いてしまって」


 スピンズ王子の言葉に、ジークは我に返ったのか、慌てていた。


「私の方こそ、申し訳ない。困らせるつもりはなかったんだ。ただ、自分の気持ちを言うなら今しか無いと思ったのです──その、スピンズ様にも婚約者がいますよね?」


「いえ、いません。先日、婚約破棄されてしまいまして。魔術オタクとは結婚できないとか何とか言われて……」


(ちょっと、ちょっと!! スピンズも少しは、空気読みなさいよ)


「そうでしたか。私には、侯爵家長男としての婚約者がいます。でも、私は昔から貴方と貴方の発明する魔術や魔術具が好きだった」


「……」


 口を挟もうとした瞬間、ユリウスが私を後ろから捕まえて、隣の部屋へ引きずっていった。


「ユリウス?」


「陛下。こういう事は、なるようにしか、なりません。()()()()()見守りましょう」


「……」


「……」


「そうね」


 私は何か言うのを諦めて、隣の部屋でユリウスと一緒に紅茶を飲んでいた。



*****



 しばらくして、隣の部屋のしゃべり声が聞こえなくなると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「陛下? お待たせして申し訳ありません。魔術薬と鍾乳魔石について話し合いたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」


「今、行くわ」


「陛下、忘れ物ですよ」


 ユリウスはそう言うと、ドアを開ける前に私の額にキスをした。


「何も忘れてないわよ?」


「私の心を忘れないでください。危険だと思ったら、すぐに逃げてください」


「ユリウス? 心配いらないわ。小心者の私に、民達の命と引き換えに命を投げ出すなんて事、出来ないもの」


「……」


「やっぱり、国王だから命を張るべきかしら?」


 ユリウスは私の額に再びキスをすると、何も言わずに私を抱きしめていたのだった。




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